叡知の夢

序章

プロローグ

麻綾（大いなるかな・・・大いなるかな・・・大いなるかな。大いなる調和の世界（セルフ界）。セルフ界の島国の大和。そこは、月神（シャトラ）の眷属が組織する秘密結社である大和協会が支配する島国。)

麻綾（時に西暦２０１９年。来年の2020年は、セルフ界を始めとしたF20に加盟した異世界による異世界競技に向けての教義が、六合を祀る和合の館で行われ、セルフ界の住人は勿論、各地の異世界の民も大いに賑わっていた。）

麻綾（そんな中、ある男が異変を起こす。彼の名は金森勇樹。牛宿曜星（いなみぼし）の宿曜師。）

麻綾（彼は20年前、その強大な力を恐れた月神（シャトラ）の眷属の一員が密やかに封印を施し、月の民の科学技術を背景に成り上げた西の大国大コスモス帝国と共に、彼を月の裏側の住人達である月の民に引き渡し、彼を宇宙空間に幽閉した。）

麻綾（月の民は我々月神（シャトラ）の眷属の祖となる種族月兎と言う亜人種であり、彼らはセルフ界に置いての通信手段である水晶盤の管理を務め、表向きは、水晶盤のサポートを行いつつ、裏側では利用者の情報を抜き取り管理し、地上を陰から支配していた。）

麻綾（しかし、状況は一変する。勇樹は身動きすら取れない状況にも関わらず、自分を拒絶した者達に対する憎悪で第1チャクラ（ムーラダーラ）に潜む太陽チャクラ（アグニ）を覚醒させた。）

麻綾（ついには封印されながらも、外への干渉が可能となり、セルフ界各地で大規模な波動障害が生じ、一部の水晶盤の機能が使用不能となった。）

麻綾（事態を重く見た室宿曜星（はついぼし）の宿曜師の開花慧は、宿曜師候補の松本叡知を伴い、大コスモス帝国を経由し、月の民の地であるルナティックシティーを訪れるも、時にすでに遅く、2人は勇樹に挑む。）

麻綾（しかし、彼の強大な力の前に叡知は為す術無く敗北・・・歴代最強の実力者である慧も奮戦していたが、叡知を庇って瀕死の重症を負う。）

麻綾（元より、勇樹の眼中に2人は無かったため、彼はセルフ界の大和を目指す。慧は最後の力を振り絞って、叡知に室宿曜星（はついぼし）の系譜を継承し絶命する。叡知は、急いで勇樹の後を追う。）

麻綾（勇樹は、セルフ界の島国の大和に舞い戻ると、大和・・・引いては、セルフ界の秩序の象徴である三種の神器（甘露の球、金剛峯鏡、羅刹の剣）の１つである羅刹の剣が奉納された汝陰公の墓から入手する。）

麻綾（叡知は単身駆け付けるも、羅刹の剣に封印されていた六凶星（騰蛇、朱雀、天空、勾陳、玄武、白虎）の一角である騰蛇が命宿の特性（刑）である自刑で慧の姿となって襲い掛かる。）

麻綾（叡知も戦いを始めて21年の猛者だが、冷静さを欠いた状態では騰蛇にあしらわれた挙げ句、一突きを喰らい瀕死の重症を負わされ、彼の実力の源である出世地、血液型、年干支、生まれた曜日、日干支、指紋は勇樹によって、奪われてしまう。）

麻綾（最後に旧暦を奪った上で止めを刺そうとした所で、新たに駆け付けてくる者がいた。）

麻綾（危宿曜星（うみやめぼし）の宿曜師の安倍彩夏。）

麻綾（房宿曜星(そいぼし)の宿曜師の松平亜樹（後に、松本亜樹）。）

麻綾（底宿曜星(ともぼし)の宿曜師の松岡鋭気。）

麻綾（そして、私。）

麻綾（彩夏達（亜樹、鋭気、麻綾）は、叡知を救出して退却。勇樹は復讐と、大和引いては、セルフ界の秩序の根源である地下の宝珠と都市の機能を停止を優先して、騰蛇の他に朱雀、天空、勾陳、玄武、白虎を召喚し、叡知から奪った実力の源は・・・。）

麻綾（騰蛇に出世地、朱雀に血液型、天空に年干支、勾陳に生まれた曜日、玄武に日干支、白虎が指紋に継承させると各々の拠点に戻ると、直属の妖魔軍（龍蛇族、怪鳥族、幻妖族、金剛族、怪魚族、魔獣族）の集結させて、大和中枢の中宮府の総攻撃の準備に掛かる。）

麻綾（そんな中、騰蛇は命宿の特性（刑）である旺気刑を展開して、騰蛇率いる龍蛇族や妖魔化した動植物らを各地で蜂起させて、各都市の連携を妨害し、中宮府を孤立させた。）

麻綾（彼らの魔手は、F20に参加していた各地の要人にも及んでおり、警護に当たっていた亢宿曜星(あみぼし)の宿曜師の道端利沙は、要人の警護に当たっていた者達と共に応戦する。）

麻綾（この事態に、六凶星（騰蛇、朱雀、天空、勾陳、玄武、白虎）の対となる存在である六吉星（貴人、六合、太陰、太常、青龍、天后）は大和・・・引いては、セルフ界の中枢である紫微城に立て籠もる。）

麻綾（彩夏達（亜樹、鋭気、麻綾）も混乱の最中、散り散りになるも、麻綾が奎宿曜星（とかきぼし）の宿曜師の木村彰の元に叡知を運び込み、一輪の彼岸花に宿った霊魂と融合させ、九死に一生を得る。）

麻綾（また、彩夏は中宮府に避難すると、その場に居合わせた虚宿曜星(とみてぼし)の宿曜師の毛利元春。女宿曜星(うるきぼし)の宿曜師の前田亜里沙と合流すると、六吉星（貴人、六合、太陰、太常、青龍、天后）と共に紫微城に立て篭もる。）

麻綾（数日間の療養を得た叡知は、十分な実力も発揮出来ないものの、麻綾の助力を得て、騰蛇のいる巽宮市辰巳町の九頭龍川に急行。騰蛇は油断していたことで、叡知の一閃によって撃破！叡知は出世地を取り戻す。騰蛇の魂魄は羅刹の剣に回帰する。）

麻綾（また、紫微城を襲撃していた勇樹は、政府高官達を虐殺し、宝珠の都市まで強行しようとするも、彩夏の一突きによって致命傷を負い、白虎に救出されて、騰蛇の拠点である九頭龍神社まで退却する。）

麻綾（騰蛇が撃破されたことを確認した朱雀達（天空、勾陳、玄武、白虎）は、総攻撃を断念して、室宿曜星（はついぼし）に対しての六害宿（命、同、聚、克、事、意）に該当する宿曜師に憑依するべく行動を開始する。）

麻綾（室宿曜星（はついぼし）にとっての六害宿（命、同、聚、克、事、意）の該当する宿曜星は・・・。）

麻綾（栄の中距離の房宿曜星(そいぼし)の宿曜師　松平亜樹（後に、松本亜樹）には朱雀が憑依。）

麻綾（壊の遠距離の軫宿曜星(みつかけぼし)の宿曜師　小松美緒には天空が憑依。）

麻綾（安の遠距離の星宿曜星(ほとほりぼし)の宿曜師　沖田吉平には勾陳が憑依。）

麻綾（業の井宿曜星(ちちりぼし)の宿曜師　涼風智恵には玄武が憑依。）

麻綾（安の近距離の婁宿曜星(たたらぼし)の宿曜師　沢木美里には白虎が憑依。）

麻綾（憑依すると同時に、直属の配下の妖魔と共に一斉蜂起！そのため、宿曜師達は各地で分断されてしまい、連携もままならない状態に追い込まれ、大和全土を混沌が支配する。）

麻綾（初動を誤ったものの協力して挑む者、妖魔軍（龍蛇族、怪鳥族、幻妖族、金剛族、怪魚族、魔獣族）の圧力に屈して降伏する者、自分には関係が無いと傍観を決め込む者がいる中で、無理を押して騰蛇を撃破した叡知。）

麻綾（叡知の行動に、他の宿曜師は勇気付けられたと言う。側で見たいた私もその1人。また、六吉星（貴人、六合、太陰、太常、青龍、天后）も、叡知に希望を見出し、彩夏にその旨を伝えて、各々の拠点に戻った。）

麻綾（時に西暦2019年7月8日（月）の陽の刻。水星の逆行期間（2019年7月8日（月）から2019年8月1日（木））が発生した頃、私と叡知は、彩夏と合流すると、貴人と対面するべく、艮宮市丑寅町にある九星殿を訪れる。）