叡知の夢

松本羊平

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命の章

裏・核の符号(セフィラーコード) 中編

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麻綾(亜里沙達(元春、美樹、仁、美緒、康史、美言、一樹、亜矢)は、凌犯期間(6月2日(火)から6月28日(日) にして6月6日(土)の射手座の満月(部分月食)の日に備える。)

麻綾(一方、鋭気達(亜樹と利沙)は、天帝山の五帝龍王廟と五輪霊園の五輪塔(タットワタワー)に隣接する四神館にいた。)

麻綾(四神館は、東の青龍、西の白虎、南の朱雀、北の玄武の四神相応に恵まれた地に構える館は龍王会の総本山にして山海(丑寅・卯町)の砦。)

麻綾(叡知達(彩夏、達哉、智恵、司龍)が彰との交渉に成功しても、私の狂戦士状態を考慮すれば、凌犯期間(6月2日(火)から6月28日(日) にして6月6日(土)の射手座の満月(部分月食)の日は二人三脚での対応となる。)

麻綾(既に全員集結が完了した亜里沙派(保守派)と、間も無く全員集結の鈴夜派(革新派)に対し、叡知派(中立派)は依然として別行動を取っている。)

麻綾(守りに優れた亜里沙派(保守派)と、攻めに優れた鈴夜派(革新派)で、何方も両極端。勇樹ら八将神との戦いの鍵は、如何にして両者の均衡を立てるかが明暗が分かれるだろう。)

利沙「相手が神威の領域に近い彰じゃあ、苦戦はするだろうが、本来の実力を取り戻していた上に、彰や麻綾以外の宿曜師の紋章は勿論、価値観を取り入れた叡知は以前よりも強く、その上に彩夏、達哉、智恵、司龍が同行していれば、彰との交渉も希望が持てるな。」

鋭気「その彰が超人以上神人未満たる故は、限界突破した生命(ライフ)と波動(マナ)にある。彰に接近するには、奴が展開した方陣(スプレッド)の死角となる南西(裏鬼門)を制さない事には勝負にすらならない。」

亜樹「もう一つ方法があるわ。それは叡知自身が限界突破をすれば良いのよ。勿論それだけじゃあ、彰に一日の長があるけど、利沙も言ったけど、叡知には彰や麻綾以外の宿曜師の価値観を取り入れているから、同じ目線なら叡知の方が格上よ。」

麻綾(彰との交渉が成功するか否か。前者は、みんなが言う南西(裏鬼門)を制するか。後者は、叡知自身が限界突破をして、彰と同じ目線に立つか。)

麻綾(一方、天后との対面を終えた叡知達(彩夏、達哉、智恵、司龍)は、彰に会うべく、風魔の里を目指すも、彰の神威の領域の方陣(スプレッド)と併せた風魔の結界によって、無限ループに陥っていた。)

達哉(おかしい・・・既に風魔の里に辿りついても良い頃だ。魔切り法に乗っ取ったルートで正解のはず・・・しかも、俺達は森の中にいる筈なのに、大和各地の名所のようなこの空間は一体・・・幻惑の樹海とも隣接しているから幻惑茸にやられたのか・・・。)

智恵「考えたも仕方あるまい達哉。相手は彰ぢゃぞ?魔切り法を知らない者ならいざ知らず、身体の一部に等しい儂等を相手とあっては、パターンを変えて来る事は解り切った事ぢゃろ。とにかく中央の小屋まで戻るぞ。」

司龍「水晶盤が使用不能は勿論、ワープや無限ループ等々・・・完全に時空術だな。俺達超人の域でも此処までの芸当は至難の業。これが超人と神人との実力差って訳かよ・・・せめて、南西(裏鬼門)の方位に行ければ、俺が一泡吹かせてやるのに・・・。」

彩夏「ちょっと変な事を言うけど、此処に入ってから何ヶ月も彷徨ってるようで、それでいてそんなに時間が経っていない不可解な感覚が・・・そう、まるで時間を緩やかにされたり、何度も戻されてるような・・・。」

叡知「それで同じような事が繰り返されてるような・・・彰の時空術を破らん事には堂々巡りやな。ちょっと試してみたい事があるんやけど、智恵は達哉と司龍と一緒にもう一回魔切り法に乗っ取って進んでくれんへん?」

麻綾(叡知は智恵達(達哉と司龍)に、もう一度魔切り法に乗って進むように願い出て、自身は彩夏と共に中央の小屋に入る。一方、彰は風魔の里の結界陣の中におり、桃矢は美里の意識を復活させるべく三尸を駆除する呪文を唱えつつ性交渉に励んでいた。)

彰(これで3回目。叡知はようやく裏・核の符号(セフィラーコード)に気づいたのかな?1回目は此処に辿り着けれる見込みが無く巻き戻し、2回目は此処まで来れたものの、麻綾の溜めに溜め込んだ陰の波動(マナ)に取り込まれる不安感を拭えずに巻き戻した。)

桃矢「瞑想中失礼するぜ。魔獣族から受けた呪詛や憑依は大体浄化したけどよ。長い間、白虎に憑依されて同化までされたとあっちゃあ、一筋縄では行かねえ・・・うんでもって、美里以上に心配なのが・・・。」

彰「麻綾だろ?こうなっては、叡知が裏・核の符号(セフィラーコード)を紐解いて、神威の領域の入り口を開く他に大和の秩序を護る未来は無い。それが叶わないようなら、僕は何度でも時間を2019年7月8日(月)まで巻き戻すつもりだ。」

麻綾(亜里沙曰く何人かは何度も同じ事が繰り返されている事に、彰の時空術の仕業なのではと勘付いていたが、彰の意図まで理解出来ている者はいない。)

麻綾(果たして叡知は、彰の意図を理解したのだろうか?叡知は自らの氏名と受胎年月日から裏・核の符号(セフィラーコード)を紐解く。3 9 3 6 3 7。)

麻綾(神威の領域の門を開けた叡知の前に様々な障壁が立ち塞がるも僅かな歪みを見つけては叡知の剣の鋒に波動(マナ)を集中させて破壊して進んで行く。)

麻綾(すると赤い糸があり、叡知は自らの霊糸を繋げて共鳴させる。其処には、彰の姿があり、両者は対面する。)

叡知「かなり遠回りしたけど、お前の口癖やった深淵を超えた先の観念の領域をようやく出来たで彰。」

彰「見事だよ叡知。でも、それだけなら先に神威の領域に到達している僕に一日の長があるよ。君は、まだ僕の目線に立っただけに過ぎないんだよ。」

叡知「それはどうかな?お前が俺に気を取られてる内に、智恵達(達哉と司龍)は風魔の結界を攻略して里への道は開いたで。後は、起きて自分の目で確かめてみ?」

麻綾(彰が目を覚ますと、彩夏が龍蛇の矛を振り下す一歩手前であり、空かさず全ての波動(マナ)を奇妙な杖に集中して防ぐ。)

麻綾(これにより、彰の展開した方陣(スプレッド)は完全に機能を失い。叡知を始め、智恵達(達哉と司龍)もやって来た。)

彰「見事だよ叡知・・・いや、君達と言った所かな。意地悪な事をして済まないね。君が麻綾との交渉が上手く行く未来が見えなくてね。」

叡知「今日まで此処に引き篭もってたお前には分からんやろうな。みんなのお陰で此処まで来れたんや。まだ、なんか文句があるんか?」

彰「そうだね。美里の意識が依然戻らない。僕が意識を回復させても良いけど、折角だし君の神威の波動(マナ)による凶夢を吉夢に変える呪文で彼女を救って見せてくれ。」

麻綾(叡知は彰の頼みで、美里の意識回復を行う事となる。)

叡知「赫赫陽陽、日出東方、断絶悪夢、辟除不祥、急急如律令!」

麻綾(凶夢を吉夢に変える呪文を唱えつつ、叡知は美里の霊糸を絡めた上で、魔羅を挿入!其処は、花咲く森の中であり、彼女はその奥にある雨の境内にいた。)

美里「お前達には迷惑を掛けてしまった。特に、麻綾は独りで戦っていたからな。」

叡知「謝るのはおっ・・・。」

麻綾(そう言い切る前に、叡知は射精すると元の場所に戻り、美里の意識も回復する。これにより彰もようやく叡知を認めた。そして、奎宿曜星(とかぎぼし)の紋章が六壬神課式盤に刻まれる。)
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