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第二章 ”動”
第十二話「閑話Ⅰ」
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「そういやあいつら、お前の家で一体何するつもりなんだろうな」
緑間は、ふと頭に思い浮かんだ―というか、今の今までなるべく考えないようにしていたことを口にする。もちろんあいつらというのは響達のことだ。
一体あの三人は、もぬけの殻となった赤崎の家に、何の用事があって家の鍵を渡してくれと言ったのだろう。泊まることになるとも言っていたが、それでは一体、何日あの家に居座るつもりなのだろうか。一体何を、するつもりなのだろう。
「俺、お前は絶対ダメだって言うと思ってた」
「なんで?」
「だってお前、あの家嫌いだろ」
緑間は赤崎がどれほどあの家を嫌っているか、よく知っている。自分の家だと認識していないことも知っている。それを響達に気取られたくないと思っていたことも、知っていた。愛すべき後輩達は、良くも悪くも赤崎の家の外側しか見えていなかったから。
あの三人だけで赤崎の家に入るということは、赤崎の家がいかにからっぽで空虚なものであるかということを、知られてしまうこととほぼ等しい。なんだかんだいって響達は、もうすっかり自分たちの内側まで入り込んでいて、以前なら気づかなかったあの家のからっぽさにも、今なら気づいてしまうだろう。
それを赤崎は嫌がっているのだろうと、緑間は思っていたのだ。
「それは確かにその通りなんだけどね…前に言われたんだ、響に。僕の家が羨ましいって。その時、じゃあいつでもおいでって言って、結局その場限りのやり取りになったんだけどさ」
(―そうか、あいつは)
羨ましいと言ったのか。
あの家の本質を知ってしまえば、羨ましいなどとは口が裂けても言えないだろうに。
「響って、多分僕に似ていると思うんだよね。響を見ていると、なんだか自分を見てるような気持ちになるんだ。だからかな…響はちゃんと僕のことを知って、僕みたいにはならないようにしてほしいって思って」
それに、なんだかとても大切なことみたいだったから。何も教えてはくれなかったけど、響達のことは信頼してるし。そんな風に赤崎が言う。
「そ…っか」
どうやら赤崎の方も赤崎の方で、思うところがあったらしい。特に響が赤崎に似ているというのは、なんとなくだが緑間にもわかった。
だが、赤崎のように“信頼している”の一言で片付けることが、緑間にはどうしてもできなかったのだ。
―教えることはできない、と三人は言った。
ケンカ腰で別れることになってしまったけれど、本当はそれが寂しかったのだ。誰にだって、他には言えないことや内緒事があるというのは緑間もわかっている。それでもやはり、隠し事はしないでほしかったのだ。
赤崎の家を使うとなると、必然的に家主である赤崎自身も、少なからず関わっていると見て間違いないはずである。そうなると、彼に近しい存在である緑間や青子に関係がある可能性も、なくはないだろう。時期が来れば話すと言ったのだから、尚更だ。
響達と出会って、一緒に関わるようになってもう二年が経つ。二年は、言葉にするのは簡単だが、正直感覚的にも早いものであったような気がする。緑間の感覚では、響達と出会ってから、まだそう時間は経っていないような気がしていた。
だがそれでも緑間は、とりわけ彼らのことを気に入っていたし、好かれているだろうとも思っていた。
(信頼…されていると思ってたんだけどな)
自惚れだったのかもしれない、と緑間は思った。
(そういえば俺は、あいつらのことを知らなすぎる)
「祭の目って、しょうもないところで節穴だよね」
「ああ?」
「そんなに気になるなら行ってみれば?僕の家」
「来るなって言われて行かないって言ったんだから、下手に詮索するわけにはいかないだろ」
「そんでどうでもいいところばっかり律儀だよね」
「うっせえよ」
夏は夜の訪れが遅い。だが、もう十七時半を回っていて、もうすぐ本格的に夜がやってくるだろう。そろそろ姉も帰ってくるに違いない。
さて、と緑間は立ち上がり、ううーんと大きく伸びをした。深く息を吐き、よし、と眼鏡をかける。普段は裸眼だが視力は悪い方で、緑間は家では基本的に眼鏡を着用しているのだ。眼鏡をかけると、ほんの少しだけ大人びて見える。
「晩飯の仕度でもすっかな」
そんな風に呟いて、緑間と赤崎はリビングへ向かった。
そしてちょうど同時刻―白金ツインズ宅にて。
「大体、お前らはいつも時間にルーズすぎるんだ。自分で十七時に待ち合わせっつったんだろうが、違うのかああん?おい、そんなんで社会に出てから通用すると思ってんのか?寝坊しましたっつってクビ飛ばねえと思ってんのか?ほら、言ってみろよ。ほら、」
「だからごめんって。悪気はなかったんだよ…つい眠っちゃって、それで」
響は痺れ始めてきた両足に叱咤しつつ、もう既に小一時間は経過しているであろう優の説教に、もう何度目かになるかもわからない謝罪と言い訳を口にする。同じく隣りで正座している琴乃は、呑気なものでこっくりこっくりと、夢への舟漕ぎを開始していた。
「ほう…人を三十分も待たせておいて“悪気はなかった”、“つい”が通用するとでも思ってんのかお前…は!」
優が冷たく微笑みながら、「は!」と言ったのと同時に琴乃の頭をはたく。普段の彼ならばおそらく絶対にしないことだろう。
優はキレると喋り方が粗暴になり、若干暴力的になる節がある。
「いたっ」
叩かれて目を覚ました琴乃は、自分の身に何が起きたのかわかっていないようで、きょとんとした表情を浮かべている。
「人が話している最中に居眠りか…?琴乃」
そして、優のその言葉にようやく状況を理解した(というか思い出した)琴乃が、「ひっ」とまるで幽霊でも見たかのような声を上げる。彼女の表情から、さーっと血の気が引いていった。
「あー…えっとー…その…」
だらだらと冷や汗をかき始めた琴乃は、響にSOSサインを送ったが、さすがの響もこの状態の優には全く逆らえないので、ごめん無理という意味を込めて首を横に振る。
「いやーでも、ほら!早くしずか先輩の家行かないと!遅くなっちゃうし!」
「誰のせいで遅くなったと思ってんだ?ああ?」
「あう」
彼女の抗議はなんなく一蹴され、優の怒りは上昇する一方であった。まあ、何を言ったところで今の優には全て一蹴されるだろうということは、初めからわかりきっている。
涙目になった琴乃を、よしよしと響は慰めた。
「…まあ」
だが、その琴乃の一言が、優の心をほんの少し動かしたのだろう。彼はやれやれといった風に溜息をついて、響と琴乃のことを交互に見やり、心底仕方なさそうに言った。
「あまり遅くなるわけにはいかないからな…今日はこの辺にしておいてやる」
「「優…!」」
たちまち目を輝かせて生気を取り戻した二人が、「本当に!?」と優へ詰め寄る。彼の説教が二人にとって、相当な苦痛になっていたことがよくわかる図であった。
優が、二人の気迫に押し負け、若干体を仰け反らせながら「ああ」と頷く。どうやらこの様子を見る限り、優の怒りはある程度しぼんできているようだった。
「…ほんと、優ってキレたら性格変わるよね…昔の響みたい」
「そ、そうか?俺は全く無意識なんだが」
優が困ったように頬をかく。まさかあれが無意識だったとは。恐ろしいこともあるものだ。
「まあ、そんな優も愛してるけどね」
琴乃がにっこりと笑った。過剰に反応した優の顔が、真っ赤になる。女子が苦手なせいでまともな恋愛ができていないこともあり、優はこういったものに免疫がない。
ね?と琴乃が響に振った。そこで響に振るあたり、彼女は本当に響のことをよくわかっている。
「もちろん僕も愛してるよ」
「お…っお前ら馬鹿か…!」
茹でダコのように真っ赤な顔をする優に、響と琴乃は顔を見合わせて笑った。
緑間は、ふと頭に思い浮かんだ―というか、今の今までなるべく考えないようにしていたことを口にする。もちろんあいつらというのは響達のことだ。
一体あの三人は、もぬけの殻となった赤崎の家に、何の用事があって家の鍵を渡してくれと言ったのだろう。泊まることになるとも言っていたが、それでは一体、何日あの家に居座るつもりなのだろうか。一体何を、するつもりなのだろう。
「俺、お前は絶対ダメだって言うと思ってた」
「なんで?」
「だってお前、あの家嫌いだろ」
緑間は赤崎がどれほどあの家を嫌っているか、よく知っている。自分の家だと認識していないことも知っている。それを響達に気取られたくないと思っていたことも、知っていた。愛すべき後輩達は、良くも悪くも赤崎の家の外側しか見えていなかったから。
あの三人だけで赤崎の家に入るということは、赤崎の家がいかにからっぽで空虚なものであるかということを、知られてしまうこととほぼ等しい。なんだかんだいって響達は、もうすっかり自分たちの内側まで入り込んでいて、以前なら気づかなかったあの家のからっぽさにも、今なら気づいてしまうだろう。
それを赤崎は嫌がっているのだろうと、緑間は思っていたのだ。
「それは確かにその通りなんだけどね…前に言われたんだ、響に。僕の家が羨ましいって。その時、じゃあいつでもおいでって言って、結局その場限りのやり取りになったんだけどさ」
(―そうか、あいつは)
羨ましいと言ったのか。
あの家の本質を知ってしまえば、羨ましいなどとは口が裂けても言えないだろうに。
「響って、多分僕に似ていると思うんだよね。響を見ていると、なんだか自分を見てるような気持ちになるんだ。だからかな…響はちゃんと僕のことを知って、僕みたいにはならないようにしてほしいって思って」
それに、なんだかとても大切なことみたいだったから。何も教えてはくれなかったけど、響達のことは信頼してるし。そんな風に赤崎が言う。
「そ…っか」
どうやら赤崎の方も赤崎の方で、思うところがあったらしい。特に響が赤崎に似ているというのは、なんとなくだが緑間にもわかった。
だが、赤崎のように“信頼している”の一言で片付けることが、緑間にはどうしてもできなかったのだ。
―教えることはできない、と三人は言った。
ケンカ腰で別れることになってしまったけれど、本当はそれが寂しかったのだ。誰にだって、他には言えないことや内緒事があるというのは緑間もわかっている。それでもやはり、隠し事はしないでほしかったのだ。
赤崎の家を使うとなると、必然的に家主である赤崎自身も、少なからず関わっていると見て間違いないはずである。そうなると、彼に近しい存在である緑間や青子に関係がある可能性も、なくはないだろう。時期が来れば話すと言ったのだから、尚更だ。
響達と出会って、一緒に関わるようになってもう二年が経つ。二年は、言葉にするのは簡単だが、正直感覚的にも早いものであったような気がする。緑間の感覚では、響達と出会ってから、まだそう時間は経っていないような気がしていた。
だがそれでも緑間は、とりわけ彼らのことを気に入っていたし、好かれているだろうとも思っていた。
(信頼…されていると思ってたんだけどな)
自惚れだったのかもしれない、と緑間は思った。
(そういえば俺は、あいつらのことを知らなすぎる)
「祭の目って、しょうもないところで節穴だよね」
「ああ?」
「そんなに気になるなら行ってみれば?僕の家」
「来るなって言われて行かないって言ったんだから、下手に詮索するわけにはいかないだろ」
「そんでどうでもいいところばっかり律儀だよね」
「うっせえよ」
夏は夜の訪れが遅い。だが、もう十七時半を回っていて、もうすぐ本格的に夜がやってくるだろう。そろそろ姉も帰ってくるに違いない。
さて、と緑間は立ち上がり、ううーんと大きく伸びをした。深く息を吐き、よし、と眼鏡をかける。普段は裸眼だが視力は悪い方で、緑間は家では基本的に眼鏡を着用しているのだ。眼鏡をかけると、ほんの少しだけ大人びて見える。
「晩飯の仕度でもすっかな」
そんな風に呟いて、緑間と赤崎はリビングへ向かった。
そしてちょうど同時刻―白金ツインズ宅にて。
「大体、お前らはいつも時間にルーズすぎるんだ。自分で十七時に待ち合わせっつったんだろうが、違うのかああん?おい、そんなんで社会に出てから通用すると思ってんのか?寝坊しましたっつってクビ飛ばねえと思ってんのか?ほら、言ってみろよ。ほら、」
「だからごめんって。悪気はなかったんだよ…つい眠っちゃって、それで」
響は痺れ始めてきた両足に叱咤しつつ、もう既に小一時間は経過しているであろう優の説教に、もう何度目かになるかもわからない謝罪と言い訳を口にする。同じく隣りで正座している琴乃は、呑気なものでこっくりこっくりと、夢への舟漕ぎを開始していた。
「ほう…人を三十分も待たせておいて“悪気はなかった”、“つい”が通用するとでも思ってんのかお前…は!」
優が冷たく微笑みながら、「は!」と言ったのと同時に琴乃の頭をはたく。普段の彼ならばおそらく絶対にしないことだろう。
優はキレると喋り方が粗暴になり、若干暴力的になる節がある。
「いたっ」
叩かれて目を覚ました琴乃は、自分の身に何が起きたのかわかっていないようで、きょとんとした表情を浮かべている。
「人が話している最中に居眠りか…?琴乃」
そして、優のその言葉にようやく状況を理解した(というか思い出した)琴乃が、「ひっ」とまるで幽霊でも見たかのような声を上げる。彼女の表情から、さーっと血の気が引いていった。
「あー…えっとー…その…」
だらだらと冷や汗をかき始めた琴乃は、響にSOSサインを送ったが、さすがの響もこの状態の優には全く逆らえないので、ごめん無理という意味を込めて首を横に振る。
「いやーでも、ほら!早くしずか先輩の家行かないと!遅くなっちゃうし!」
「誰のせいで遅くなったと思ってんだ?ああ?」
「あう」
彼女の抗議はなんなく一蹴され、優の怒りは上昇する一方であった。まあ、何を言ったところで今の優には全て一蹴されるだろうということは、初めからわかりきっている。
涙目になった琴乃を、よしよしと響は慰めた。
「…まあ」
だが、その琴乃の一言が、優の心をほんの少し動かしたのだろう。彼はやれやれといった風に溜息をついて、響と琴乃のことを交互に見やり、心底仕方なさそうに言った。
「あまり遅くなるわけにはいかないからな…今日はこの辺にしておいてやる」
「「優…!」」
たちまち目を輝かせて生気を取り戻した二人が、「本当に!?」と優へ詰め寄る。彼の説教が二人にとって、相当な苦痛になっていたことがよくわかる図であった。
優が、二人の気迫に押し負け、若干体を仰け反らせながら「ああ」と頷く。どうやらこの様子を見る限り、優の怒りはある程度しぼんできているようだった。
「…ほんと、優ってキレたら性格変わるよね…昔の響みたい」
「そ、そうか?俺は全く無意識なんだが」
優が困ったように頬をかく。まさかあれが無意識だったとは。恐ろしいこともあるものだ。
「まあ、そんな優も愛してるけどね」
琴乃がにっこりと笑った。過剰に反応した優の顔が、真っ赤になる。女子が苦手なせいでまともな恋愛ができていないこともあり、優はこういったものに免疫がない。
ね?と琴乃が響に振った。そこで響に振るあたり、彼女は本当に響のことをよくわかっている。
「もちろん僕も愛してるよ」
「お…っお前ら馬鹿か…!」
茹でダコのように真っ赤な顔をする優に、響と琴乃は顔を見合わせて笑った。
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