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保健室同盟(仮)と前期図書委員

第51話

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「そう、彼には直接怪人事件を引き起こす事は不可能なんだ。
 だだし、直接に限り…。
 そして、怪人に破かれてる本の貸し出し率が高い。」
「じゃあ、まず、どう書こうかしら。
 前期の図書委員で重谷先輩とは友人関係。
 12月に交通事故。
 現在まで入院中。
 怪人の破く本に接点?
 …こんなところかしら?」
「高橋先輩の元カレってのも一応、情報として。
 そうだな、2人の間に元交際って記入するか。
 事件以降疎遠って足して。」
「相関図らしくなってきましたね。
 人間関係を記入していくと。
 リアルに捜査してるみたいです。」
「恋愛事情なんて、不倫捜査みたい。
 探偵物的な。」

 もう、突っ込むのも面倒くさいので、土屋先輩の妄想は放って置いて、先に進めた。

「そして、重谷先輩。
 さて、僕の勘では神部先輩と、図書室、もしくは図書委員を繋ぐキーマンは彼だと思う。
 神部先輩が入院してから頻繁に本を運んでる、しかも以前より神部先輩との仲は親密だと高橋先輩も感じている。」
「しかも前期図書委員であり、図書室との関わりはダントツと言っていいですよね。」
「あ!そうそう。
 大野先生と雑談してたのを、話すのを忘れてたわ。
  重谷先輩は結構、今の図書委員に逢いに来てるみたいよ。
 金曜日も、そのついでって事みたいよ。」

 土屋先輩は呟くようにポツリと言い放った。
 途端に、神谷先輩は土屋先輩を指差した。

「!そういう大事は早く言ってよ!土屋さん!
 結構、大事な事だよ!ソレ!」
「忘れてただけじゃない~!
 そんなカリカリするとハゲるわよ!」
「まあまあ、ハゲるかどうかは置いておいて…やっぱり、いくつかの線は重谷先輩に繋がってますね。
 OBですから、来る事に格別問題があるわけではないですが、現在の図書委員との繋がり方が気になりますね。」
「そう、そこがポイントかも知れない。
 けど、高橋先輩から聞いた人物像で、僕が想像する限り、話しを逸らすのが上手そうだ。」
「そこまで、予想します?」
「頭が良いだけなら、別方向から攻めるってのも考えられるけど…、コミュニケーション能力も高いとなると、厄介だよ。」

「ねぇ!ねぇ!何て書けばいいの?」
「あ、そうですね。
 とりあえず、神部先輩と親友で結び、三谷先輩とは先輩後輩として繋げます。
 そして、そこに現在進行形で繋がり有り。
 神部先輩との間には、本の差し入れなどの、やり取り…。」
「それっぽっち?キーマンなのに?」
「不服だろうけど、まだ情報が少な過ぎる。
 と、こんなところだろうか。
 …あとは、藤谷さんと重谷先輩の話しをまとめてからだね。」
「神部先輩もですよ。
 2人の話しを聞いたあとで、神部先輩への接触を考えましょう。」

 ある程度仕上げた相関図を僕等は、少し絵画でも見るかの様に、眺めてから、藤谷先輩への質問を取りまとめる作業に入った。
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