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笑顔に潜む、策士の罠
第4話
しおりを挟む「騒がしいからですか?」
「いや、それも無きにしもあらずなんだけど。
逆利用される可能性があると思ってね。」
「…それって…。」
「わかるだろ。
単細胞って事。」
あまりにハッキリと言う神谷先輩に、僕は目を細めてしまった。
「土屋さんは、良くも悪くも素直だ。
他人にも自分にもね。
簡単に相手の誘導に引っかかってしまう。」
「確かに。
良い人なんですけどね。
相手に気取られない様にしたり、欺くなんて無理な人種ですね。
でも、初対面で見抜かれますかね、そこまで。」
「本気でそう、思うのかい?」
「あ、いえ。
間違いました。
コンマ1秒で見抜けるほど、全身オーラが語ってます。」
「だろ。
神部先輩の時は絶対に行くって、言ってたけど、状況次第で土屋さんには、お留守番させなきゃならないと考えてるんだ。」
「黙って、お留守番しますか?あの土屋先輩ですよ。」
「ま、その時は、有村君も知恵を貸してくれよ。」
「はあ。」
メガネをクイっと上げて、苦笑いする神谷先輩に、思わずため息をついた。
ふと、時計に視線を流すと、そろそろ宮地や早川さんの登校時間に差し掛かりそうだった。
「あっと!すいません、朝…ちょっと用事が。
昼休みに、必ず来ます。
きっと、土屋先輩も藤谷先輩からの返事を持って来ますからね。」
「そうだね。
僕も、あとで大野先生から話しを聞いておくよ。」
神谷先輩と別れて、足早に屋上へと向かった。
ゾロゾロと生徒達が坂を上って来るのを、腹ばいになって、柵の下から覗き込んだ。
もうすでに、結構な人数が坂を上って来ていた。
少し、遅かったかな…。
視線を上下左右に動かして、早川さんや宮地の姿を探した。
「あ、宮地だ…。
田中と安村と登校してる…。
今朝は早川さんと一緒じゃないのか…。」
ここのところ、早川さん絡みが多かったせいか、この3人の登校風景に、ちょっと違和感を感じてしまった。
まあ、失礼な話なんだろうけど。
そもそも、これが元々の風景なんだよな。
ザラザラする屋上の床に、顎を乗せて、ふとそんな風に思った。
…お似合い…に見えてたのかな…。
早川さんと…宮地が一緒に登校してくるの。
田中と安村も2人が、付き合っても違和感ないって感じだったもんな。
宮地本人は否定してたけど…。
いやいや!
これは、決してヤキモチではない!
そう!
そもそも、宮地が良い奴に改心すれば、全くもって、早川さんとの付き合いだってお祝いするよ!
けど、今のままの宮地を、あの早川さんとは付き合わせたくないだけだ。
捻くれた心の宮地で、傷付くのは僕1人で十分なんだから。
その場でしばらく待ってみたが、早川さんは登校して来なかった。
もしくは、早くに登校して既に、校内にいるのかもしれない。
…例えば、旧校舎とか…。
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