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笑顔に潜む、策士の罠
第6話
しおりを挟むブルルルル。
奈落からの返事が来た様だ。
机の下にスマホを隠して覗き込んだ。
「え…。」
奈落だと思ってたのが、違った。
『おはよう。
奈落は昼過ぎまで、別の用事でね。
それまでは、私がサポートするよ。
旧校舎の鍵の件は、校内にいるんで、早急に調べて連絡するよ。』
そ、爽さん!
ど、どこに?えっ…校内にいるって、学生服着てるの?
違和感ありすぎだろ。
爽さんの制服姿を想像してみた。
背がヒョロヒョロと高くて、落ち着き払った、知的なメガネの…。
やっぱ無理あるって!
生徒じゃ通用しないよ。
そうこうしてるうちに、宮地が教室に戻って来た。
慌てて、スマホをしまい、宮地と視線を合わせない様にした。
だが、向こうからこっちに、真っ直ぐに向かって来た。
「おい!最近、朝ギリギリじゃねーか。
どこで、何やってる!」
「ひっ!別に…何も…。」
「ふざけんな!」
グイッ!
宮地が僕の襟首を持ち上げた!
僕はポケットのICレコーダーに手を掛けた。
「コラァ!席に着け!」
1時間目の数学の教師が、細長い指し棒を回しながら、教室に入って来た。
始業ベルに気が付かなかったが、既に鳴っていたらしい。
「チッ!」
宮地は舌打ちしながら、こっちを睨んだまま、僕から手を離して自席に着いた。
ふうぅっ。
宮地が明からさまに警戒して来た。
これは、行動に気を付けなきゃいけないかな。
警戒してるのは、もしかして…重谷先輩が来るから?
だとしたら、やはり重谷先輩には何かあるという事か…?
うううっ!それにしても、爽さんが気になる!
一体、学校にどうやって潜り込んでるんだ?
さっきのホームルームでは、先生は何も言ってなかったぞ!
教師としてではないのか?
えー、目立つよな…。
もう、授業どころではなかった。
早く時間が過ぎて、爽さんと連絡し合えたら…とその事ばかり気になった。
背後で睨みを効かせる宮地にしてみれば、全然意識されてない僕に、苛立ちを感じてるだろうけど。
この状態じゃ、次の休み時間にスマホを安易に使えないな。
宮地にスマホを奪われ兼ねない。
よし!ここは逆に僕から攻めて、宮地を封じてみよう!
宮地の触れられたくない部分…そこに触れれば一時的にしろ、気まずさで今日一日くらいは、近づかないはずだ。
僕は1時間目が終わった途端に、深く深呼吸して立ち上がり、宮地の前まで歩いた。
「なっ!お前!」
「…図書室で、手伝いでもしてるの?
僕が本を借りたりするのも、目障りだから威嚇してるの?
…それとも、他に何か図書室にあるの?」
僕のいきなりの先制攻撃に宮地は面喰らっていた。
「あっ…いゃっ…!
くそっ!もういい!
何もねぇよ!あるもんか!
とにかく、図書室に出入りすんな!」
焦った宮地は、顔を赤くして大声を上げた。
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