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笑顔に潜む、策士の罠
第15話
しおりを挟む夕日が美しいくらいに、空をオレンジ色に染め上げていた。
帰宅後、僕はジャージに着替えて、奈落とランニングして公園で小休止していた。
「今日は久々に、慌ただしかったな。
有村も、驚かせて悪かったな。」
「ううん。
サブもちゃんと動いてくれるって、実感湧いたから逆に良かったよ。
で…具体的に何なの?
その…技能…技術検査って。」
「あー、応用力、判断力と手先の技術検査ってとこかな。
別に資格とかあるもんじゃなくて、個人のデータを詳細に取るためなんだ。
仕事の適応力にも関わるからさ。
そういうデータや体力データを合わせて、その後の移動とかが組まれる訳だ。」
「つまり、人事で必要なデータを効率よく得る為に行ってるの?」
「そういう事。
10秒以内に細い針を糸に何本通せるかとか、この材木の寸法を感覚のみで測れとか、オムツの替え方の速さと美しさを競わせたり、毎回違うんだなぁ、これが。
今回なんか、ピッキ…いやいや、えーと。
鍵の交換みたいなのを急に30秒以内でなんて…。」
え…今、ピッキングって言おうとしたの?
そんな事まで~って、そうか、爽さんも旧校舎の鍵の型取りを難なくこなしていた。
スパイ養成所のノリだよな。それって。
「今日は奈落だけなの?」
「んにゃ、ランダムに上層部以外の人間が20人ほど男女別で選ばれる。」
「男女別?意味あるの?それ。」
「あ、えーと、つまり…検査はさほど時間がかからない。
残りの時間は、いわゆる…異性との関わり方の講義を受ける。」
「それって…性…教育⁉︎」
「んー。
それも含めてって感じかな。
セクハラやパワハラとか、女性が感じる嫌な行為とか。
男同士なら笑って済ませられる事も、女はそういかねぇからさ。
トラブルの事前回避は社会に出たら、必要不可欠だ。
ま、性教育の部分だけは、異様に盛り上がるんだけどな!
もう、体験談とかまで話してくれるから!」
「相変わらず、エロいの好きだな…。」
「おう!恋愛やエロは愛という名の平和の象徴!」
「極論過ぎだなぁ。まったく。
でも、そうキッパリ言い切れるところが、カッコイイかな。」
「まあな!」
鼻の下を人差し指で擦りながら、自慢気に奈落は胸を張った。
「…それと、この前の宮地のいた旧校舎の教室の場所。
特定出来たかな?」
「おう、簡単簡単。
校内見取り図を見て、俺が写真を撮った位置から考えて、2階の端から3番目の教室だ。
写真をよく見ると、机の他に壁に掛けられた工具らしき物も。
おそらく、工作室。」
「工作室か…。
そんなのあるの、知らなかったな。」
「だろうな。
工作授業は何年も前から、廃止されてる。
工具を使う人も限られてるし。
用務員には用務員室に工具箱くらいあるだろうし。」
つまり、滅多に人の出入りの無い教室な訳だ。
同好会に使うにも、工具があるのは危険で、教師からの許可は得られないと思われる。
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