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笑顔に潜む、策士の罠
第22話
しおりを挟む「さあ!褒めて!私を称えなさい!」
保健室に入るなり、宝塚の女優ばりにポーズを決めた土屋先輩が、顎を突き上げていた。
「どうしたんですか…?
あ!重谷先輩の来校記録、調べてくれたんですね。」
「モチロン!仕事の速さは出来る女の証しです!
さあ!褒めて!」
両手を挙げて、賞賛を求める土屋先輩に、神谷先輩が、明らかにドン引きしていた。
どう考えたって、誰でも出来る仕事だ。
それを、こんなにまで、胸を張って自慢する自己主張の強さは鋼のようだ。
「わ、わ~さすが!
土屋先輩だな…。」
「…乗らなくていいよ。有村君。
これ以上付け上がると、歯止めが利かなくなりそうだ。はあっ。」
放課後に向けて、精神がピリピリしてる神谷先輩のオーラが肌に刺さるように感じられた。
「冷たい!教えないわよ!
褒めて減るもんじゃないし、少しくらいおだててくれてもいいじゃない!」
あ、おだてられてるって、ちゃんと理解してたんだ。
「まあまあ、神谷先輩も放課後の事でナイーブなので、許してあげて下さい。
貴重な情報ありがとうございます!
是非、教えて下さい!
重谷先輩との話しに何か、役立てるはずです。」
僕は2人の間に飛び込んで、濁った空気を打ち払った。
「ま、そうでしょうね。
結果を先に話すと、予想通りかな?
重谷先輩は怪人事件の前後に、校内を訪れてるわ。」
「前後に⁉︎
毎回ですか?」
「あ…うんと…大雑把に言うとなんだけど…。」
「何だよ、急にお茶を濁すような言い方して。
…ま、時間も無いし弁当広げながら詳しく聞こう。」
神谷先輩の一言で僕等は保健室の隅に机を囲むようにして丸椅子を並べた。
お互いがお弁当の蓋を開けたのを確認して、話しを続けた。
「毎回怪人事件の前後に来校したと言うより、前3日に来ていたり、翌日だったり、翌日3日だったり…とにかく、怪人事件の当日以外の前後1週間以内に来校してるのよ。」
はあ?
それって…逆にどうなんだ?
「こりゃ、逆に予想外じゃないか!
定期的に決まった日にちとかならまだしも、幅が広すぎだ。
偶然に来校した確率の方が、大きくなってしまった。」
神谷先輩は仰け反るようにして、天井を仰いだ。
「ええっ⁉︎そうなの?」
「ええ、つまり。
事件当日じゃなくても、定期的なら何かしらの準備とか、策略と考えられます。
けど…それがランダムに近いとなると、そこに思惑を当てはめるには、多少の無理を感じます。
関係性が薄くなってしまうんですよ。
…どういう事なんだろう…1番怪人に近いと思ってた人物がこの情報で、そうでは無くなってしまった。」
「見方を変えるしかないだろう。
つまり、重谷先輩の頻繁に来校する理由。
そっちから、考えるしか無いだろう。
怪人事件と関わりがある保証はないけど。
まあ、本人の口から聞くしか、今のところ考えつかないけど…。」
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