『有意義』なお金の使い方!~ある日、高1の僕は突然金持ちになっちゃった!?~

平塚冴子

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『有意義』な1日をエンジョイ!

第1話

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 翌日、晴天に恵まれたゴールデンウイーク。
 朝5時前からバタバタと準備をし始める。
 母さんも朝食がわりのおにぎりを握ってくれた。
 
「あら、そんな服…持ってたかしら?」
「あ!今日迎えにくる、非常勤講師の先生のお古を貰ったんだ。
 学生時代の物らしくて…。」
「物持ちの良い方なのね。
 新品みたい…似合うわよ。」

 本当はほとんど新品。
モデルが着用してクリーニングされた物だし。
 お財布に5万円の現金を入れた。
 ウエストポーチに財布とハンカチ、ティシュなど簡単な物を入れた。
 電子マネーカードはまだ、怖くて持てない。
 無くしてしまいそうだし。

 母さんに見つからない様に、机の裏側の隙間に通帳とカードの入った缶を隠した。
 現金の残りは別な引き出しの奥の缶に入れて隠した。

 ちょっと罪悪感あるな…別に悪い事して手に入れた物じゃないけど。
 
ピンポンピンポンピンポン。

 この、鳴らし方は奈落だ。

ガチャ。
 
 「おっはようございます!
 有村君を迎えに来ました。
 非常勤講師でっす!」

 おいおい…随分とチャラい非常勤講師だな。
 ま、服装は僕が選んだんだけど…。
 
「おはようございます。
 じゃあ、母さん、行ってくるね。
 帰りに連絡入れるから。」
「先生、宜しくお願いします。
 恵、楽しんで行ってらっしゃい。」
 
 母さんに見送られながら、奈落とアパートを後にした。

 駅迄2人で歩く事にした。
 バス通りを抜けながら、公園を横切って歩いた。
 バスでも良かったけど、天気が良かったし。
 朝の空気も気持ち良かった。
 
「そうだ、歩きながらで悪いけど、おにぎり食べる?
 母さんが朝ご飯に作ってくれたんだけど、朝から2つも食べられないから。」
「食べ歩きかぁ~!懐かしい~!
 隠れて槇ちゃんとよく、ボリボリ棒食ってたな~。
 ウチの家厳しくて食べ歩きとか、そういうの絶対NGでさ。
 でもよ~普通のガキどもが食べてるの見てると、美味そうでさぁ~。
 家抜け出して、駄菓子屋寄って、急いで口に突っ込んだ。
 美味かったな~~!
 やっぱさあ、そういうの大事だよな経験としては。
 マナーに欠けるのかもしんないけど。」
「うん!わかる。
 特別な味がするんだよな…同じ物なのに。
 気持ちもウキウキしてさ。」

 僕と奈落はそう言いながら、おにぎりを頬張った。

「お!おかか!俺、大好きなんだ!」
「僕は昆布。
 奈落はもっとお金持ちで、豪華な料理を食べてるのかと思ってたよ。」
「仕事ではあるけど、毎日は無いよ。
 家が金持ちって言っても、自由に出来る金がある訳じゃないし。
 結局、労働対価が基本だしね。
 ま~ケチな家系ったら、それまでなんだけどな。
 金の使い方にうるさい訳だ!
 ウチのババア達は特にな。」
「いつもは何食べてるの?」
「ご飯に、味噌汁、アジとか秋刀魚とか鯖とか、カレーライス…普通だよ。
 てか、どっちかっていうと貧乏飯寄り。
 高いものは、外で奢られろ!がモットーです。」
「あはは!面白いな~!」
「ウチの家系は女が強いんだ。
 金管理も女がしっかり握ってんの。
 しかも、ウチの女どもの教育方針にはドン引きするぜー。
『女の武器は最大限に!男は利用してこそだ!』
 って…こっちは聞いてるだけで、恐ろしい。
 ほら、ウチの家族は言わば、歌舞伎役者の家系の会社経営バージョン。
 幼少から手伝いと言いながら、しっかり労働させられる。」
「奈落は何歳から仕事してるの?
 よく憶えてねぇけど、4、5歳から手伝いとして引き回されてたな…担当が与えられるのが小学校4年生くらいからだ。
 責任あり過ぎだよな…さすがの俺も、初年度はストレスで2度ほど倒れたし。」
「し、小4?」

 僕はあまりの過酷な環境に驚いて目を丸くした。

「それでも、役者家業よりは遅いだろ。
 それなりに、楽しさもあるし。
 同世代が切磋琢磨してるのも、刺激になったし。」
「凄いな…ますます、僕とは別の世界の人だ。」
「あんん?変わんねーよ。
 スタートの差だけだ。
 後はやる気と根性!そんだけあれば社会で、ある程度は生き残れるさ。
 俺らは、まだまだ凡人だ。
 …天才に追いつこうともがき、苦しむ凡人だ。」
「奈落…?」

 奈落が不意に遠い目をした。
そして、悔しそうに、奥歯を噛み締めていた。
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