『有意義』なお金の使い方!~ある日、高1の僕は突然金持ちになっちゃった!?~

平塚冴子

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憎しみのパズルピース

第16話

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 午後の授業を終えて、職員室に呼ばれた僕はトボトボと廊下を歩いていた。

 先生の話なんか受け流す技はとっくに身に付けていたのでそれ程苦にはならないが、時間の無駄にしか思えなかった。

 ブルルルル。

 ポケットのスマホのバイブが鳴った。

「あ…、やっぱり見ていてくれたんだ。」

 奈落からのメッセージだった。

『よく耐えたな。
 俺だったら、無言で先生共々蹴り倒してるぞ。
 …意思の強さをヒシヒシと感じた。
 めっちゃ、カッコ良かったぞ!』

 自然と顔が緩んでニヤケてきた。
 やっぱり、奈落に褒められると嬉しいや。
 これだけで、さっきの嫌な事なんて屁でもなくなる。

『奈落が見ていてくれるだけで、勇気が出るよ。
 いつもありがとう。』

 送信。

ブルルルル。

 あ、またスタンプ。
 卵からガッツポーズでスフィンクスが現れる…。

 シュールだなぁ。

 まあ、頑張れって事だよな。
 よし!いっちょ叱られに行くか!

 僕は足取り軽く職員室の扉を開けて、先生の元に行った。

 案の定、結構怒鳴られたし怒られたけど、全然気にならない程だった。
 むしろ、先生の眉間にハエが止まって、ホクロみたいになってるのに気が付いて、笑いをこらえるのに必死だった。
 
 まぁ、これで本日の宮地のイジメ終了ってとこで、図書室に清々しい気持ちで向かえる訳だ。
 こうやって、物事を全然違う方向から捉えられる事で僕は前を向いて、しっかりと歩き出せる。
 生きる為に必要なスキルを学んだ僕はちょっとだけレベルアップしてる事を実感出来た。

 教室に戻ると相変わらず、冷ややかな視線でクラスメイトに出迎えられるけど、それすら全然苦ではない。
 むしろ、こっちがクラスメイトを憐れんでしまう。
 そういう態度しかとれない可哀想な人間ってね。


 帰りのホームルームを終えて、僕は保健室に寄ってから図書室に行く事にした。
 
「雨…まだ降ってるな…。
 少し遅めに帰ろうかなぁ。」

 窓の外の土砂降りに逆にゆっくり、図書室で過ごせそうだと楽観的に思った。

 
 保健室に行くとちょうど加納先生が救急セットを持って中に入ろうとしていた。

「何かあったんですか?」
「あ、うわっ!」
 
 僕が扉前で加納先生に声を掛けると、少しビックリさせてしまったようで、コケそうになってしまった。

「有村君。
 ごめんごめん、サンダルの裏が濡れてたから滑ってしまった。」
「大丈夫ですか?
 濡れたって、外に行ったんですか?」
「いやいや、旧校舎だよ。
 あちこち、雨漏りしてて。
 滑って怪我した子がいてね。
 足首をひねったようだった。
 あそこは、雨の日は危険だから近づかない方が身の為だね。」
 「確かに…この雨じゃ旧校舎はあちこちで雨漏りしてても不思議じゃないですね。
 とはいえ、同好会とかは活動場所があそこしかありませんから難儀ですよね。」

 保健室に入って救急セットを片付けた加納先生が振り返って、思い出したように口を開いた。

「あ!そういえば、早川さんの事だけど…。」
「もしかして…さっそく様子を伺ってくれたんですか?」
「ちょうど、今さっき図書室前で会ってね。
  少し話をしてみたんだ。」

 加納先生は少し含み笑いをして僕を横目で見た。
 やっぱり、片想いしてるって勘違いしてるから、半分面白がってるな…先生も日々、退屈してるのかなぁ…。
 
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