『有意義』なお金の使い方!~ある日、高1の僕は突然金持ちになっちゃった!?~

平塚冴子

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憎しみのパズルピース

第20話

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 その後雨の中を合羽を着て自転車を漕いで帰った。
 どうせ、この雨でランニングは無しだ。
 焦らず確実に家路に着いた。

 僕は帰宅すると、すぐにICレコーダーに入っている宮地の肉声を再生してみた。

 昨日…奴は更衣室で何を言いながら、僕のシャツを破いたのか。

ガサガサッ。ビリビリ。

(ぎゃあ!何やってんだよ宮地~!)
『クズ野郎にふさわしい服にしてやんだよ!
 不幸顔で自分が可哀想って思ってるナルシストにはお似合いだろ!』
(やり過ぎじゃねーの?先生にバレたらまずいっしょ。)
『これだけやりゃあ、反論してくるだろ!
 ウジウジした面なんて、そこにいるだけで目障りだし、罪なんだよ!』
(確かに、アイツが居るだけで教室の雰囲気悪くなるよなぁ。
 目障りぃ~?あははは。)
『これだけやれば、そろそろ休み始めるんじゃねぇの…。』
(登校拒否させんのかよ~?ヤバくね?2年の事もあるしぃ。)
『消えるなら…消えればいい!』

 クラスのざわめきも酷いが…最後の宮地のセリフ…悪意…憎しみ…敵意…。
 …あの美少年の時に感じた様な寒気を感じた。
 暗くて、深い…闇…。

 人間が人間をこれほどまでに憎めるっていう現実に打ちのめされそうになる。
 どんなに綺麗事並べても正義感を振りかざしても、闇は人間である限り付きまとう。
 それも…自分では気が付かないうちに…。
 …否定したいけど、僕もその人間だ。

 だからこそ、僕は宮地に気が付かせなきゃならない。
 自分の闇と向き合わせる為に。
 
 これで、宮地が僕を…いや、僕の存在を憎んでいる事がハッキリと分かった。
 そして、クラスのヤツらはおそらく宮地を否定すれば、その矛先が自分に向いてくるのを恐れての僕に対する態度なんだ。
 
 逆に言えば…クラスのヤツらは宮地の異常さに気が付いてるって事だ。
 表面上は合わせていても…違和感が半端ないはずだ。
 
 あ…れ…?

 僕はふと、気が付いた。

 宮地の憎しみは、本当に僕が対象なんだろうか?
 誰が見ても彼の態度は僕に対するものにしか見えない…それは、そうなんだけど…。

 僕を通して、誰かを見ているって事はないだろうか?
 僕を通して…僕ではない誰かを、憎んでいるとは考えられないだろうか?
 宮地の目に映ってるのは…本当に僕なのか?

 確証は一切ない、あくまでも仮定の話だ。

 けど…そう一度考えてしまうと、その考えが頭から離れなくなっていった。

 胸の奥が…息苦しさを覚えて…モヤモヤする。

 宮地の視線は誰を見ている…?

 ピロリロリーン。

 途端、奈落からのメッセージが入った。

『なぁに、自分で録音した音声に落ち込んでんだよ。
 それも、立派な証拠だ。
 利用出来るなら、とことん利用してやれ!
 自分のやろうとしてる事が、間違ってるって感じないうちは、真っ直ぐに突き進め!
 間違ってたら、そん時考えりゃいい。
 お前の敵は何なのか…お前はわかってるはずだ。』

 モヤモヤしてたはずの胸の奥が、メッセージを見ただけで、春の陽射しのようにポカポカと暖かくなってきた。
 
『くだらない事…聞いてもいいかな?
 奈落は人間が汚いとか嫌だとか…感じた事あるかな?
 今さ、宮地も僕も…同じ人間という生物で、どこかに同じ性質があるんだと思うと…って考えちゃって。』

 送信。

 僕はありのままの気持ちを、奈落に打ち明けてみた。
 自分をさらけ出せる…奈落になら…。

ピロリロリーン。

『あのなぁ。
 人間とか問わず、生きるってのはそれ程綺麗なもんじゃねーだろ。
 どこかで誰かの犠牲の上で成り立ってたり、クソもするし、ションベンだって出る。
 それを全て含めての人間だし生き物だ。
 綺麗とか汚いって区別する事自体がおかしいと俺は思うぜ。
 汚かろうが、何だろうが好きな相手なら受け入れちまうだろ。
 それと同じだ。
 人間である事は変えられない現実だ。
 どんなに否定したって、それから逃れられないだろう。
 だったら…汚かろうが、何だろうが、すんなり受け入れた方が楽だし、次のステップを踏めるだろ。
 人間を楽しめるようになった方が人生楽しいぜ!』

 クソって…はは。
 奈落らしいな…。
 奈落の本心からの答えだって伝わる。

 本当にくだらない事で悩んでた。

『だね!僕もそう思う!』

 送信。

 僕の顔は奈落とのメッセージだけで、緩みっぱなしだった。
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