『有意義』なお金の使い方!~ある日、高1の僕は突然金持ちになっちゃった!?~

平塚冴子

文字の大きさ
165 / 280
ハードで楽しい深夜のお仕事

第11話

しおりを挟む
 僕と奈落は駅に着くと、電車に乗って若葉平駅までやって来た。

 電車は土曜日の朝早くのせいか、さほど混んではいなかった。
 こうやって、最近出歩けるのも奈落と出逢ったおかげだ。
 街中を歩くだけで、心が弾む。

 こんな朝早く街中を歩くなんて、部活動さえしてない僕には夢にも思わない光景だ。

 若葉平地下街の順路表示に視線を上げて、確認しつつ歩いた。

「今まで、こんな風に自分で探したり確認して出歩いた事は無かったかな。
 いつも…というか、稀に出歩いても母さんの後を付いてくだけだったし。
 うん…なんか、自分の足で歩いてるのを実感できる。」

 僕は後ろからヒョコヒョコ付いてくる奈落に視線を送った。

「ま、経験ほど勉強になるものは無いからな。
 人間はそうやって成長するもんだ。」
「うん、この数日間で自分が自分じゃないくらいに成長してると思うよ。
 そして、これからも…!」
「おう!頑張れ成長期!
 そのうち1人でなんでも出来るようになるさ。」
「あ…うん。そう…だね。」

 そうだ…1年後には奈落は、こうやって側に居てくれない。
 1年の内に奈落が居なくても全然平気になれるくらいに強く、たくましくならなきゃいけないな。

 けど…今はまだ、甘えさせて欲しいな。
 
 僕は急な孤独感を感じて、奈落から視線を外した。

 夢じゃないけど…1年間限定で、全てが消え去ってしまう。
 いずれ、その事と正面から向き合わなければならないと知りつつ、まだ始まったばかりの夢のような生活を今は堪能したい。

 しばらく歩いて僕等はタワーマンションに続く通路の表示を見つけて、エスカレーターに乗り込んだ。

「時間、大丈夫かな?」
「大丈夫も何も、まだ7時半だぞ!飯食ってねぇし。
 槇ちゃんとこで何か食わして貰おうっと。」
 
 ぐうるるぅ。

 奈落のお腹が朝食を求めて鳴いた。

「駅前で何か差し入れとか買ってくれば良かったかな。
 菓子折りあるから、寄らなかっんだけど。」
「あん?パシリくらいならボランティアでやってやるよ。
 もちろん、槇ちゃんの奢りでだ。」
「奈落はすぐに槇さんに甘えるんだね。
 素直っていうか、何て言うか。
 槇さんもそこが可愛いのかもね。」
「はあああ?べ、別に甘えてなんて!
 俺より高給取りなんだからいいんだよ!
 俺だって出世したら槇ちゃんに倍にして返してやる!」

 奈落は顔を真っ赤にしてムキになって怒った。

「そうだね。
 僕の実験成功したらさ、槇さんに奢ってあげようよ。
 お礼も兼ねてさ。」
「成功したらじゃなくて、絶対に成功する!
 意地でもだ!」
「うん!」

 奈落がやる気を出してくれるってだけで、僕にも何十倍もの力が湧いてくる。

 槇さんの仕事も奈落の仕事も成功させてやる!
 欲張りだろうと何だろうと構わない!
 イジメだって解決してみせるし、図書室の怪人の正体だって暴いてやる!
 出来ないなんて、もう言わない。

 全身全霊をかけて、僕は全てを乗り越えてみせる!
 それが、精一杯の奈落への恩返しになるんだから!
 
 僕は浮き足立つ心を抑えきれずに、エレベーターを駆け上がった。

「うわっ!ちょい待てよ!」

 奈落が慌てて追いかけて来た。

 タワーマンション内に入り、コンシェルジュに一声かけて、部屋番号を聞いた。
 コンシェルジュは優しくて対応してくれて、インターホンを押してくれた。
 
ピンポン。

「はい。有村君?」
「おはようございます。有村です。
 すいません、早く来すぎてしまって。」
「遅れるよりは、全然いいよ。
  早めに来てくれてありがとう。
  開けるから、すぐに上がって来てよ。
 どうせ、奈落は腹ペコだろ。」

 あはは。
 槇さん、わかってる~~。
 
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

異世界で大往生した私、現代日本に帰還して中学生からやり直す。~最強の補助魔法で、冴えないおっさんと最強美女を操って大金持ちになります~

タカノ
ファンタジー
異世界へ転移し、聖女として崇められ、愛する家族に囲まれて88歳で大往生した……はずだった。 目が覚めると、そこは現代日本。 孤児の中学2年生、小金沢ヒナ(14)に戻っていた。 時間は1秒も進んでおらず、待っていたのは明日のご飯にも困る極貧生活。 けれど、ヒナの中身は酸いも甘いも噛み分けたおばあちゃん(88歳)のまま! 「もう一度、あの豊かで安らかな老後(スローライフ)を手に入れてみせる!」 ヒナは決意する。異世界で極めた国宝級の【補助魔法】と【回復魔法】をフル活用して、現代社会で大金を稼ぐことを。 ただし、魔法は自分自身には使えないし、中学生が目立つと色々面倒くさい。 そこでヒナがビジネスパートナー(手駒)に選んだのは―― 公園で絶望していた「リストラされた冴えないおっさん」と、 借金取りに追われる「ワケあり最強美女」!? おっさんを裏から魔法で強化して『カリスマ社長』に仕立て上げ、 美女をフルバフで『人間兵器』に変えてトラブルを物理的に粉砕。 表向きはニコニコ笑う美少女中学生、裏では彼らを操るフィクサー。 「さあ善さん、リオちゃん。稼ぎますよ。すべては私の平穏な老後のために!」 精神年齢おばあちゃんの少女が、金と魔法と年の功で無双する、痛快マネー・コメディ開幕!

疎遠だった叔父の遺産が500億円分のビットコインだった件。使い道がないので、隣の部屋の塩対応な美少女に赤スパ投げまくってる件

月下花音
恋愛
貧乏大学生の成瀬翔は、疎遠だった叔父から500億円相当のビットコインが入ったUSBメモリを相続する。使い道に困った彼が目をつけたのは、ボロアパートの薄い壁の向こうから聞こえる「声」だった。隣人は、大学で「氷の令嬢」と呼ばれる塩対応な美少女・如月玲奈。しかしその正体は、同接15人の極貧底辺VTuber「ルナ・ナイトメア」だったのだ! 『今月ももやし生活だよぉ……ひもじい……』 壁越しに聞こえる悲痛な叫び。翔は決意する。この500億で、彼女を最強の配信者に育て上げようと。謎の大富豪アカウント『Apollo(アポロ)』として、5万円の赤スパを投げ、高級機材を即配し、彼女の生活を神の視点で「最適化」していく。しかし彼はまだ知らなかった。「金で買えるのは生活水準だけで、孤独は埋められない」ということに。500億を持った「見えない神様」が、神の座を捨てて、地上の女の子の手を握るまでの救済ラブコメディ。

娘を返せ〜誘拐された娘を取り返すため、父は異世界に渡る

ほりとくち
ファンタジー
突然現れた魔法陣が、あの日娘を連れ去った。 異世界に誘拐されてしまったらしい娘を取り戻すため、父は自ら異世界へ渡ることを決意する。 一体誰が、何の目的で娘を連れ去ったのか。 娘とともに再び日本へ戻ることはできるのか。 そもそも父は、異世界へ足を運ぶことができるのか。 異世界召喚の秘密を知る謎多き少年。 娘を失ったショックで、精神が幼児化してしまった妻。 そして父にまったく懐かず、娘と母にだけ甘えるペットの黒猫。 3人と1匹の冒険が、今始まる。 ※小説家になろうでも投稿しています ※フォロー・感想・いいね等頂けると歓喜します!  よろしくお願いします!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

おっさん料理人と押しかけ弟子達のまったり田舎ライフ

双葉 鳴
ファンタジー
真面目だけが取り柄の料理人、本宝治洋一。 彼は能力の低さから不当な労働を強いられていた。 そんな彼を救い出してくれたのが友人の藤本要。 洋一は要と一緒に現代ダンジョンで気ままなセカンドライフを始めたのだが……気がつけば森の中。 さっきまで一緒に居た要の行方も知れず、洋一は途方に暮れた……のも束の間。腹が減っては戦はできぬ。 持ち前のサバイバル能力で見敵必殺! 赤い毛皮の大きなクマを非常食に、洋一はいつもの要領で食事の準備を始めたのだった。 そこで見慣れぬ騎士姿の少女を助けたことから洋一は面倒ごとに巻き込まれていく事になる。 人々との出会い。 そして貴族や平民との格差社会。 ファンタジーな世界観に飛び交う魔法。 牙を剥く魔獣を美味しく料理して食べる男とその弟子達の田舎での生活。 うるさい権力者達とは争わず、田舎でのんびりとした時間を過ごしたい! そんな人のための物語。 5/6_18:00完結!

帰国した王子の受難

ユウキ
恋愛
庶子である第二王子は、立場や情勢やら諸々を鑑みて早々に隣国へと無期限遊学に出た。そうして年月が経ち、そろそろ兄(第一王子)が立太子する頃かと、感慨深く想っていた頃に突然届いた帰還命令。 取り急ぎ舞い戻った祖国で見たのは、修羅場であった。

最弱Sランク冒険者は引退したい~仲間が強すぎるせいでなぜか僕が陰の実力者だと勘違いされているんだが?

月ノ@最強付与術師の成長革命/発売中
ファンタジー
冒険者のノエルはSランクパーティーの荷物もちだった。 ノエル自体に戦闘能力はなく、自分のことを足手まといだとすら思っていた。 そして、Sランクになったことで、戦うモンスターはより強力になっていった。 荷物持ちであるノエルは戦闘に参加しないものの、戦場は危険でいっぱいだ。 このままじゃいずれ自分はモンスターに殺されてしまうと考えたノエルは、パーティーから引退したいと思うようになる。 ノエルはパーティーメンバーに引退を切り出すが、パーティーメンバーはみな、ノエルのことが大好きだった。それどころか、ノエルの実力を過大評価していた。 ノエルがいないとパーティーは崩壊してしまうと言われ、ノエルは引退するにできない状況に……。 ノエルは引退するために自分の評判を落とそうとするのだが、周りは勘違いして、ノエルが最強だという噂が広まってしまう。 さらにノエルの評判はうなぎのぼりで、ますます引退できなくなるノエルなのだった。 他サイトにも掲載

処理中です...