『有意義』なお金の使い方!~ある日、高1の僕は突然金持ちになっちゃった!?~

平塚冴子

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ハードで楽しい深夜のお仕事

第11話

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 僕と奈落は駅に着くと、電車に乗って若葉平駅までやって来た。

 電車は土曜日の朝早くのせいか、さほど混んではいなかった。
 こうやって、最近出歩けるのも奈落と出逢ったおかげだ。
 街中を歩くだけで、心が弾む。

 こんな朝早く街中を歩くなんて、部活動さえしてない僕には夢にも思わない光景だ。

 若葉平地下街の順路表示に視線を上げて、確認しつつ歩いた。

「今まで、こんな風に自分で探したり確認して出歩いた事は無かったかな。
 いつも…というか、稀に出歩いても母さんの後を付いてくだけだったし。
 うん…なんか、自分の足で歩いてるのを実感できる。」

 僕は後ろからヒョコヒョコ付いてくる奈落に視線を送った。

「ま、経験ほど勉強になるものは無いからな。
 人間はそうやって成長するもんだ。」
「うん、この数日間で自分が自分じゃないくらいに成長してると思うよ。
 そして、これからも…!」
「おう!頑張れ成長期!
 そのうち1人でなんでも出来るようになるさ。」
「あ…うん。そう…だね。」

 そうだ…1年後には奈落は、こうやって側に居てくれない。
 1年の内に奈落が居なくても全然平気になれるくらいに強く、たくましくならなきゃいけないな。

 けど…今はまだ、甘えさせて欲しいな。
 
 僕は急な孤独感を感じて、奈落から視線を外した。

 夢じゃないけど…1年間限定で、全てが消え去ってしまう。
 いずれ、その事と正面から向き合わなければならないと知りつつ、まだ始まったばかりの夢のような生活を今は堪能したい。

 しばらく歩いて僕等はタワーマンションに続く通路の表示を見つけて、エスカレーターに乗り込んだ。

「時間、大丈夫かな?」
「大丈夫も何も、まだ7時半だぞ!飯食ってねぇし。
 槇ちゃんとこで何か食わして貰おうっと。」
 
 ぐうるるぅ。

 奈落のお腹が朝食を求めて鳴いた。

「駅前で何か差し入れとか買ってくれば良かったかな。
 菓子折りあるから、寄らなかっんだけど。」
「あん?パシリくらいならボランティアでやってやるよ。
 もちろん、槇ちゃんの奢りでだ。」
「奈落はすぐに槇さんに甘えるんだね。
 素直っていうか、何て言うか。
 槇さんもそこが可愛いのかもね。」
「はあああ?べ、別に甘えてなんて!
 俺より高給取りなんだからいいんだよ!
 俺だって出世したら槇ちゃんに倍にして返してやる!」

 奈落は顔を真っ赤にしてムキになって怒った。

「そうだね。
 僕の実験成功したらさ、槇さんに奢ってあげようよ。
 お礼も兼ねてさ。」
「成功したらじゃなくて、絶対に成功する!
 意地でもだ!」
「うん!」

 奈落がやる気を出してくれるってだけで、僕にも何十倍もの力が湧いてくる。

 槇さんの仕事も奈落の仕事も成功させてやる!
 欲張りだろうと何だろうと構わない!
 イジメだって解決してみせるし、図書室の怪人の正体だって暴いてやる!
 出来ないなんて、もう言わない。

 全身全霊をかけて、僕は全てを乗り越えてみせる!
 それが、精一杯の奈落への恩返しになるんだから!
 
 僕は浮き足立つ心を抑えきれずに、エレベーターを駆け上がった。

「うわっ!ちょい待てよ!」

 奈落が慌てて追いかけて来た。

 タワーマンション内に入り、コンシェルジュに一声かけて、部屋番号を聞いた。
 コンシェルジュは優しくて対応してくれて、インターホンを押してくれた。
 
ピンポン。

「はい。有村君?」
「おはようございます。有村です。
 すいません、早く来すぎてしまって。」
「遅れるよりは、全然いいよ。
  早めに来てくれてありがとう。
  開けるから、すぐに上がって来てよ。
 どうせ、奈落は腹ペコだろ。」

 あはは。
 槇さん、わかってる~~。
 
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