忘却の魔法

平塚冴子

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ナンバーズ

第3話

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それから俺は『忘却魔法』のや『パンドラの箱』の説明をした。

「…なるほど、少年達はその研究の人体実験…、これから先を見据えてのテストパターンの作成の為に、少年刑務所から戸籍を抹消された状態で連れて来られていたんですか。
戸籍を変える為に、家族と接触し、金品の受け渡しが行われた。
…で、梶はこれからどうするんですか?
もうこの件を追うのを止めるのですか?」

「まさか!
別方向から調べようと思ってる。
絶対に何か穴がありそうだし、天外博士の死因にも引っかかってる。
それと…『18番』。
先ずは、そこから攻めて見ようと思ってる。」
「相変わらず、諦めが悪いですね。
『18番』の情報は仁科 加奈子から引き出せましたか?」
「ん~。それが何とも。
どうやら仁科 加奈子と天外博士が会う前の研究での物らしい。
『ナンバーズ』と呼ばれていた物だとしか。」

「一つ、聞いていいですか?
少年刑務所から移送が始まったのは5年前…しかし…梶が見た少年達は3人…。
後の2人はどこに消えたのでしょう?」
「ああ!気がつかなかったー!」

バタッ!
俺は後ろにひっくり返った。
そうだ!俺が見たのは近藤 陸、海、空の3人だけだ。
もしかして…実験の失敗が起きていたのか?
いや、単に別行動だったのかもしれないし。

「では、その件も含めて調べた方がいいですね。
いいですか、実験内容をオープンにしたのには理由が2つ考えられます。」
「2つ…?」
「1つは、色々と陰で調べられるよりは、自分達から先に情報を流す方がマシであると言う事。
もう1つは、知られたくない事から相手の目を逸らす為です。」
「俺は…逸らされたのか…?」
「恐らく。可能性は高いでしょう。」
「もう!マジ次は着いて来てくれよ!
やり残しばっかりじゃねーかよ。」
金井のありがたみが身に染みる!
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