忘却の魔法

平塚冴子

文字の大きさ
上 下
90 / 191
ナンバーズ

第22話

しおりを挟む
「どちらにしろ、気持ち悪りぃ~~な。」
事件のあまりのグロさに胃液がフツフツと湧いて来る。

おそらく、刑務所の入所順からして『田中 聖』『田所 秀雄』の2人の実験が先に行われたはずだ。

そして…あの場にいたのは、その後の3人。
金井の言った通り何かありそうだ。
とは言え、後の2人は生存確認さえ出来ない。
家族は死亡と言い張るだろう。

後の3人は記憶は無いにしろ、同じ人間には変わりない。
そして…現在、生きてあの研究所にいる。

この先、本当に更生出来るかどうか…。
犯罪が、育て方のみで発生するものなら、再犯は無いのかもしれない。
けど…仁科 加奈子は遺伝子に過去の殺戮の快感の情報があると…。
もしそうなら、再犯の危険は無くなっていないはずだ!
生まれ持った性格的に何かあるかもしれない。
殺戮の快感や、暴行欲求の快楽を起こす引き金があるのかもしれない。

パソコンと睨めっこしながらアレコレと思考していると、いつの間にか午前3時になっていた。
「ソロソロ眠るか…。
一応、3人の幼少時代の話しを調べようかな。」
カチッ。カチッ。
俺はイスの上で伸びをして、パソコンを切った。

月明かりの中…照らされる鈴を覗き込んでみた。
安心しきってグッスリと眠っている。
「お前にとって、俺は何なんだ…?」
俺は無意識に自然と鈴の頬にキスをした。

「おやすみ…鈴。」

カーテンを閉めて床の上に横になった。

相楽教授と鈴の関係は何なんだ…?
スマホの『ナンバーズ』の写真をもう一度じっくり見た。
この子供が今現在なら、鈴と同じくらいの年齢だ。
しかし…鈴に似た子供はいない…。
ふと、鈴も『ナンバーズ』では?と思ったが、どの子供も鈴とは似ても似つかない。
整形でもしていれば別だが…って、整形するならもっと美人にするはずだな。
こんなチンクシャ…やっぱり、鈴は無関係か。

俺はまぶたを閉じて眠りについた。
しおりを挟む

処理中です...