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少年達の軌跡
第9話
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「ここまで観て頂き、おわかりの様に『加藤 星斗』には違和感を感じました。」
「おっ!天堂も感じたのか?」
俺は身を乗り出した。
「はい。そこで、彼が留置所に居た時に精神鑑定を行った精神鑑定医の先生をお連れしました。」
「何から何まで先を行くな~。」
天堂は一旦会議室を出て、客室から精神科医の先生を会議室にと招き入れた。
ガチャ。
「初めまして。精神鑑定医の美山です。」
おっとりした中年のスーツ姿の男が入って来た。
「初めまして。フリーライターの梶です。」
「ここの、副社長の金井です。」
美山先生と俺達は握手をして席に着いた。
「『加藤 星斗』は私が今まで観たどの犯罪者とも違いました。
彼の思考は恐ろしいものです。」
「と、言うと?特異な点があったんですよね。」
金井が美山先生に視線を合わせた。
「ええ。
まず、犯罪者とは自分が悪い事をした罪悪感、または高揚感、快楽感、など殺害時に持つ感情があるのが普通なのです。
しかし、彼にはいずれも無かったのです。
…つまり、恐ろしい事に、彼の中では殺人や遺体解剖は日常で、普通の行為と捉えていたのです。」
「なっ!人殺しが普通の出来事だっつーのかよ!」
俺は思わず立ち上がり叫んだ。
「梶!ここは美山先生の話しをじっくり聞きましょう。」
金井が俺の目の前に片手を広げて静止した。
「いや、梶さんの反応がただしいですよ。
さすがの私も、彼との話しには面食らってしまいました。
正常な精神では無いものの、異常とは違う感覚でした。
彼曰く、本来なら殺人なんて誰も裁かれないものだと。
人間が都合のいい様に作ったルールでしか無いと。
法律や国が無ければ誰が裁くのか?神か?自然か?いや…どれも違う。
当たり前のように受け止めるだけだと。
強者が弱者を殺めるのは自然の摂理。
屁理屈のようですが…真理なのです。
彼の思考は別次元に居るような物なのです。
あたかも…神の領域に居るような…。」
俺の頭の中で『加藤 星斗』のあの涼やかな笑みが蘇った。
子供の腹わたを開きながらも、尚そんな顔をしていたんだと実感した。
「おっ!天堂も感じたのか?」
俺は身を乗り出した。
「はい。そこで、彼が留置所に居た時に精神鑑定を行った精神鑑定医の先生をお連れしました。」
「何から何まで先を行くな~。」
天堂は一旦会議室を出て、客室から精神科医の先生を会議室にと招き入れた。
ガチャ。
「初めまして。精神鑑定医の美山です。」
おっとりした中年のスーツ姿の男が入って来た。
「初めまして。フリーライターの梶です。」
「ここの、副社長の金井です。」
美山先生と俺達は握手をして席に着いた。
「『加藤 星斗』は私が今まで観たどの犯罪者とも違いました。
彼の思考は恐ろしいものです。」
「と、言うと?特異な点があったんですよね。」
金井が美山先生に視線を合わせた。
「ええ。
まず、犯罪者とは自分が悪い事をした罪悪感、または高揚感、快楽感、など殺害時に持つ感情があるのが普通なのです。
しかし、彼にはいずれも無かったのです。
…つまり、恐ろしい事に、彼の中では殺人や遺体解剖は日常で、普通の行為と捉えていたのです。」
「なっ!人殺しが普通の出来事だっつーのかよ!」
俺は思わず立ち上がり叫んだ。
「梶!ここは美山先生の話しをじっくり聞きましょう。」
金井が俺の目の前に片手を広げて静止した。
「いや、梶さんの反応がただしいですよ。
さすがの私も、彼との話しには面食らってしまいました。
正常な精神では無いものの、異常とは違う感覚でした。
彼曰く、本来なら殺人なんて誰も裁かれないものだと。
人間が都合のいい様に作ったルールでしか無いと。
法律や国が無ければ誰が裁くのか?神か?自然か?いや…どれも違う。
当たり前のように受け止めるだけだと。
強者が弱者を殺めるのは自然の摂理。
屁理屈のようですが…真理なのです。
彼の思考は別次元に居るような物なのです。
あたかも…神の領域に居るような…。」
俺の頭の中で『加藤 星斗』のあの涼やかな笑みが蘇った。
子供の腹わたを開きながらも、尚そんな顔をしていたんだと実感した。
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