忘却の魔法

平塚冴子

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エピローグ

第1話

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その後、警察が入り、『近藤 海』『近藤 空』の遺体を発見、地下シェルターにいた怪我人や研究員達も助けられた。
しかし…仁科 加奈子と『近藤 陸』の遺体は見つからなかったそうだ。

俺達も何度か事情聴取を受けたが、さすがにバックに政府やら政財界の大物がいるだけあって、事件はうやむやで、大きなニュースにもされなかった。
『脳内記憶研究所』も早急に活動を停止して、今や廃虚同然だった。

全てが無かったかのように…まるで、この事件自体が『忘却魔法』を受けたみたいだった。

その分、俺達にも何もお咎めなかったので、竹中さんに全てを話し、都市伝説としての『忘却魔法の全容』の連載を雑誌に掲載して貰う事になった。

元々オカルト雑誌なので、信じる人は少ないもののネットでの噂が広がり、意外と世間に面白がられて、書籍化して増刷され、映画製作の話まで舞い込み、竹中さんはウハウハで喜んでくれた。

それから1年経って、竹中さんの定年退職祝いの花を持って編集部に俺はやって来た。

「梶!お前のおかげで、花道を飾れたよ!感謝してる!」
竹中さんが俺に飛びついて来た。
「竹中さん!やめて下さい!
こっちこそ、感謝してます。
ゴリ押しで連載を組んで貰って。
おかげで生活できてますし。
円満定年退職、おめでとうございます。」
そう言って、花束を手渡した。
「サンキュー!まあ、座れよ。
缶コーヒーでいいか?」
「あ、はい。ありがとうございます。」

ソファに座った俺に、竹中さんが体を乗り出して来た。
「どうだ?この際、ここの編集部に入らないか?
俺も退職で、この編集部が持つか心配なんだよ。」
「就職ですか?
記者でならともかく…編集は…。」
「お前も身を固めるんだろ。
職を安定させた方がいいんじゃね?
ま、考えておいてくれよ。」
「…はあ。確かに悩みどころですが…。」
「何ヶ月だっけ?」
「えっ…と6ヶ月に入りました。」
「お前が父親ね~。
今度は逃げたりすんなよ。」
「はい。…これから…そのプロポーズをしようかと…。」
「なんだよ!早く言えよバカ!
こんなところで油売ってんじゃねーよ!
バシッと決めて来いよ!」
「はい!決めます!
ありがとうございます!」
俺は立ち上がると、一礼してその場を足早に立ち去った。
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