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第四章
国境越え、いざアルバ国入国へ①
しおりを挟む「アル、キャラバンにつく前にそろそろ、少し話せる範囲でよいのでアルバ国の現状や概要を聞かせていただけませんか?」
「概要ってもよくわかんねぇべ。
ただ、現状が良くないのは国を出る時に感じただ。
この国は土地が痩せてるところが多いし、デルア国の様に水路や生活道路の整備も国が崩壊した当時からさほど進んでねぇべ。
とはいえ財政も良いとは言えねえ。
この国の売りっつたら、さっきの浮遊石とか砂漠大百足、砂漠大トカゲの肉とか名物だべ。
だから屈強な鉱夫やら猟師が多い。」
確かに、私の記憶では浮遊石の産出国だがそれ以外に目新しいもののない貧しい国があって、侵略し易く初めの段階で攻め落とした国があったが、それがこの国か。
当時は特に欲しい国ではなかったが、領土拡大を世界に知らしめるにはうってつけだった。
それが現在のアルバ国。
アルバックには国の政治を主導する能力は無い。
勇者であったネームバリューのみが先行して国王になってしまった。
民衆に担ぎ上げられ、痩せた土地を与えられたアルもまた被害者なのかも知れない。
「アルの国では、物事を決めるのには、
王が主導ですか?
民衆が主導ですか?
と聞かれたら、どちらと答えますか?」
「そら、民衆だべ!当然だ。
沢山の民衆が望む様に。」
アルは胸を張って言った。
なるほど、予想通りの答えだ。
だが、私ならその答えは間違いだ。
「では、ここに十人の国民がいるとしましょう。
1人は天才、残りの9人は普通の人です。
一対九で意見が分かれました。
どちらの意見を優先的にしますか?」
「えっ…数が多い方の意見が正しいんじやなかんべ?」
「…この国が発展しないのは、どうやらそこら辺に原因がありそうですね。」
「はあ?わかんねぇべ?
多数決でよく決めねーか?
違うのか?」
私はごまかす様に、にっこりアルに微笑みを返して歩みを早めた。
数が優先の国造りなど、芯がブレる原因に他ならない。
民衆はその時その時が精一杯だ、多くの者はその場の意見に同調し、流され易い。
たった一人の天才の言葉を聞く耳を持たなければ良い国にはなれないのだよアル…。
自分の失敗をも含めて私は心の中で囁いた。
「おお!白いテントが沢山見えるべ!あれがキャラバンだべな!」
「キャラバンはまとまって動きますしね、国境警備隊駐屯所の入国審査待ちですね。
いつも暇な国境警備隊がこの時期だけ大忙しで、事務手続き作業が難航してるのかも知れませんね。」
「エリザの言う通り、ナナシは言葉にちょいちょい小毒が入るべ。
国境警備隊ディスってるべ。」
流石にアルにも私の事が少しわかって来た様だ。
私達は目指すキャラバン隊へ小走りで向かった。
国境警備隊の入国審査待ちの間にグループごとに互いの品物を売買したり、情報交換したりキャラバンのスポットはまるで小市場の様に賑わっていた。
商人は明るい者が多い。
しかも、人種も様々だ。
こういう商人の中には定住して仕事が出来ない事情の者もいるから、多少の怪しさは私達が紛れるにはうってつけだ。
キャラバン中央では旅芸人らしき一団が、大道芸を披露していた。
アクロバットやパントマイム、軟体芸など。
どうやらショーサーカスの一団らしい。
色物満載だな。
「アル、あのサーカス団に接触してどうにか仲間に入れて貰いましょう。
あれだけの個性的な人種が何人もいますし、私達の個性など掻き消して貰えるでしょう。
アクロバットくらいなら、セクシーキャッツの時同様にこなせますよ。」
「サーカスかぁ!この服も入り込むにはピッタリだべ!」
赤い上着をこれ見よがしに見せて来た。
ああ、悪かったよ。
この前、その上着をサーカスのサルだとディスったのしっかりと憶えてやがる。
しかし、アルにはああ言ったものの、上手く入り込めるか自信は無かった。
ただ、大事なのはアルの前で一旦はサーカス団長と交渉して見せる必要があった。
最悪、深夜にアノ手を使えば入り込む事など簡単なのだ。
ミーヤを魅了したあの力。
本来ならもう2度と使いたくないのだが、最終手段として使用するのもやむを得ない。
ただ、アルの前で力を使うのは出来ない為に、辻褄合わせの為にもこの交渉は外せない。
一通りの大道芸のショーを終えたサーカスの一団がテントに戻るのを確認して、後をつけた。
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