しあわせの魔王〜ポンコツ勇者と天才魔王のふしぎな建国記録〜  アルバ国攻略編

平塚冴子

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第9章

闇の知将⓷

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「しかし、アルバック王もナナシ殿のような飛び道具まがいの者をどうやって見つけたのでしょうか?
 まさか、ラチェット国やデルア国が密かに協力でもしてるのでは?
 デブラブ殿、私は心配で心配で。」
「ダック大臣、連合国規定で不可侵及び不可協力規定というのがあり、特段たる有事でない限り、自国以外に影響を及ぼす行為は控える事とありました。
 まだ、こちらが表沙汰に動いていない以上、それは無いと思います。」
「よかった。
 それは何より。
 アルバック王のオツムはともかく、デルアビド王にいたっては、何を考えているか全くわからないくらいの奇才天才との噂が。
 目をつけられてはたまりません。」

 それは褒め言葉なのか?
 ドSのデルアビド王が聞いたら、抹殺されるんじゃないか?
 私の中で何故か、デルアビド王のイメージがだんだんと具現化れて行く気がした。
 顔だけは、まったく覚えてないんだよなぁ。
 
「ダック殿は心配症ですな。
 あくまでも合法的にアルバック王を失脚させるのですぞ。
 誰が文句を言えましょう。
 それに、この国、いや連合国を狙っているのは私達のみではありませんぞ。
 早めに手を付けないと、他国に先を越されます。
 そうなったら、貴方が国王になるどころか、国ごと飲み込まれてしまう。
 言わば、私のやっている事はアルバ国を守る事に繋がってるのです。」

 屁理屈が上手いな。
 さすがは詐欺師。
 回りくどく、自分は正しい論理をダック大臣に擦り込んでやがる。
 ちょっと考えれば、不自然な論理なのに。
 あれか、そうか。
 ふくよかな見かけもわざとなのかもしれない。
 これは錯覚なのだが、痩せてギスギスした者の言葉とふくよかで丸っこい者の言葉では、その言葉すら姿形を模したイメージがつき易い。
 まさに、プロの詐欺師。
 では、こちらもプロの詐欺師に対抗する為に、それなりの作戦を立てさせて貰おう。

 
 私は一旦、意識の集中を寝室へと戻した。

「さ、アル。
 今日からは1人で寝て下さいね。
 私は使用人に別室を用意して貰いますので。」
「ええ~!そりゃないべ!
 せっかく、湯たんぽがわりの人肌なんだし。
 人肌は癒しになるべな。」
「いやいや、そう何度も連日連夜にベッドインなんて、使用人に関係を疑われます!
 もう、使用人の頭の中ゴシップの嵐で仕事になりませんから!」
「関係は大切な人だべ!」
「だから、それが大誤解を生むんですよ!
 言い方!言い方!
 勘弁してください!
 それに、私にはまだ仕事が残ってますから。
 貴方は体調管理が大事ですから、早く休んでください!
 これは、お願いであり、命令です!
 いいですね!」

 私はアルに、ビシッと釘を刺した。
 ここで甘やかす訳にはいかない。
 デブラブの目がどこで光ってるやもしれないからだ。
 こちらがデブラブをら調べるという事は、相手も同じことをしてる可能性を想定した行動は必須なのだ。

 こういう時なぜにこうもアルは無防備な子供のように甘えてくるんだよ。
 もし私…の正体を知っても、この態度を変えてくれなければ良いのだが。

「ちぇっ。
 仕方ねぇべ。
 けんど、その代わり、色々片付いて温泉開発が進んだら、一緒に温泉入るべな!な!」
「何の代わりですか?
 どこまで、お気楽ご気楽なんですか。
 もういいです。
 夢の中でじっくり、お付き合いしますから、早く布団をかけて寝て下さい。
 ベッドが広いのなら、クッションや枕を左右に入れますから。」
「あ!それか!
 だったら、こうするべ!
 ここのクッションを縛って、頭にして…。」

 おいコラ、何やってんだよ!
 ああ、もう予想通りだよ!
 靴下丸めて目にするなよ!
 縫い付けるな!
 目が飛び出てるし、赤い手袋の唇垂れまくりだろうが!

「早く寝て下さいって!
 ってか、なんですかその、いびつなクタクタ人形は!」
「白い長クッションの上部縛ったら顔みたいになったべ。
 これをナナシ代わりに抱っこして寝るべ。」

 ガシっ!バシッ!

 私は、むんずとみすぼらしいクタクタ人形を取り上げると、床に叩き付けた。

「素直に湯たんぽとクッションのみで我慢してください!
 創作意欲湧く必要ありません!
 これは、没収します!」
「うぇ~。
 せっかく、ナナシ人形作ったのに!
 あんまりだべ。」
「私はこんなにブサイクではありませんし、これはハゲてるじゃないですか!
 銀色だが白髪じゃないし、ハゲてもいません!」
「ナナシは細けぇな。
 もういい!
 オラ大人しく寝てやるべ!」

 アルは駄々っ子が、ふてくされるように布団をかぶってベッドで丸くなった。
 しかも、結局パン1だし。
 このパン1王めが。
 
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