華京院 爽 16歳 夏〜『有意義』なお金の使い方! 番外編〜

平塚冴子

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第1話

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 私の名前は華京院 爽かきょういん そう
見かけは細身の背の高く、顔がパッとしないために伊達メガネを常に掛けている。
 年齢は16歳だが、すでにインターナショナルでのスキップ(飛び級)で高校卒業資格を得て大学2年ほどの単位を取得している。

 これは、通常の常識とはかけ離れていると思うが、我が華京院家では極、普通の事だ。
 
 華京院とは元貴族で、今は親族経営でいくつかの会社をグループ運営している一族で、それなりの規模もある。
 しかも、親族経営にこだわり、幼少の頃から子供達は経営や仕事に携わらなければならない立場だ。
 私もその例外ではなく、現在はアンケートやデータ収集の会社でマスコミ関係セクションの担当責任者だ。
 
 仕事はそれ程、苦ではない。
 もう、生活リズムも慣れてるし、それなりの評価もキチンと得ているので、不満なんて全く無い。

 …ただ、最近の憂鬱と言えば、一族の子供達の世話だ。
 私は歳上とは上手くやれるが、中々歳下の扱いが根本的に下手な様だ。

 いずれ、共に仕事をする関係になるかも知れない彼等と上手くコミュニケーションを取らなければならないのは、わかっているのだが…何せ思春期の子供は騒がしいやら、繊細やらで、仕事みたく思うように動いてはくれない。

 そして、そんな中…夏休みを兼ねての、後輩指導とコミュニケーション強化が図られる。
 私の直接の担当が華京院 槇かきょういん まき14歳、華京院 奈落かきょういん ならく12歳。
 果たして、仕事以外の面で上手くコミュニケーション取れるのか…。


 8月初旬、
「よろしくお願いします。爽さん。」
「よろしく!爽!なぁ?チ◯コにどの位毛が生えてるか、見せてよ!」

 明らかに、正反対と思われる2人組が仕事場にやって来た。

 顔は幼い頃から見てるが、子供の成長とは早いもので、この歳になると個性が表面にハッキリと出ている。

 槇は知的で、シャープな印象の整った顔立ちにストレートにの艶やかなおかっぱ頭だ。
 大人しく直立不動で立っている。
 反して奈落は、癖っ毛のウェーブのかかった寝癖全開のボブくらいの髪の毛で、大きな瞳をクルクルと動かして、辺りを見回して、落ち着きのない態度をしている。

 2人とも同じ、白Tシャツに黒の短パンなのに、明らかにヘタレ具合が違った。
 槇の方はアイロンがキチンとかけられた感じなのに対して奈落は襟首は伸びっぱなし、袖はヨレヨレ、短パンはシワだらけ。

 この2人を同時に見ろってかぁ?
 結構な強敵にすでに、軽いめまいを覚えた。

「コホン。今日の目的はあくまでも、コミュニケーション強化のプログラムだ。
 かと言って、馬鹿騒ぎの場ではないから。
 ちゃんと、2人のレポートは提出しなければならない。
 わかってるな。」
「はい!大丈夫です。」
「オッケー!オッケー!」
「前もって言っておく、私は同級生以下と話すのが苦手な方だ…。」
「そりゃ、そうだな。
 同級生相手に、男が『私』なんてドン引きだぜ絶対に。
 会社臭が染み付いちゃってんだろ。」
「奈落~!どうせ社会に出れば、その方が有利だし、手っ取り早いだろ。
 無駄な労力を使ってない証拠だよ。」
「はあああ。
 とにかく、今日一日のプランを説明する。
 昨日や一昨日は誰ん所にいたんだ?」

 1人はクソガキで、1人はこまっしゃくれやがって!くそっ!

「昨日はテレスさんのところで、ナンパ術講座を受けて、一昨日は彼方かなたさんとみさきさんのところで、下着ファッションショーをしました。」
「おう!ケツにパンツ食い込みまくりだったぜ!」
「何をやってるんだ…アイツらは…。
 つぅ!頭痛が…。
 と、とにかく!今日は真面に行くぞ!」
「華京院でマトモ言われてもな~。
 そもそも、変態集団家族だしぃ~。」
「いやいや、奈落。
 本当はマトモって人種の方が少ないんだよ。
 みんな仮面を着けて生活を維持してるからね。
 一皮むけば、皆変態だよ。」

 あー言えば、こう言いやがる!
 だからガキは苦手なんだ!
 私はもっとスマートに生きたいんだ!

 とにかく、2人を事務所の会議室内へとぶち込んだ。

「まず、ここがどんな会社で、私がどんな仕事をしてるか知ってるな!」
「知ってる!知ってる!
 アンケート調査やデータを企業やテレビ業界に提供するんだろう。」
「派手に見えるけど、地味な仕事をコツコツとやる根気のいる仕事だよね。
 まあ、爽さんには適した職種ですね。」
「よし!じゃあ、これからお前達は…地元テレビ局とその周辺の商業施設にて、アンケート対決を行う!」
「アンケート対決ぅ~?」
「奈落と槇で、同じ項目のアンケートを行い、面白い回答、なるほどと思える回答を、より多く集めた方が勝者だ。
 夕飯はそいつの好きな物、なんでも奢ってやる!
 …手当の範囲内でだけどな。」
「ゲームだな!つまり対決ゲーム!」
「適性も見られて一石二鳥だからかな?
 爽さんのところは人手不足だって、テレスさんが言ってたし。」
「なっ…!必要としてないだけだ!
 アンケート収集なんて、バイト頼む方が面倒が無いんだよ!」
「お!ムキになって~。
 図星だなぁこりゃ!」

 ゴチン!

 思わず、無意識に奈落の頭上にゲンコツを落としてしまった。

「っう~!」
「自業自得だねーって、毎回毎回良くやるよ。
 やっぱり、奈落はマゾスキルじゃん?」
「はあああ?
 俺はサドスキル!Sスキルだよ!」
「あーもう!
 マゾでもサドでも構わない!
 時間もないし、行くぞ!」

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