「鶴汀楼戯伝」スピンオフ掌編

鹿月

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七夕記念お遊び企画掌編

「日下部琉&樋口明人のゲームな人生」20××年7月7日配信分の文字起こし(ゲスト・狭山永司)

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日下部くさかべ琉「こんばんは! みんなの心の彦星になりたい日下部琉です! 今日は七月七日ですね~、ということで、生配信でお届けします! よろしくお願いしまーす」
樋口明人ひぐちあきと「どうも~! みんなの織姫になりたい(ふふっ)樋口明人です。……って琉が彦星とか言うから僕が織姫になるしかないだろ。そういうフリやめてくれる?」
琉「だって七夕だし? でも別にどっちも彦星でもよくね? てか会いたい人が女性とは限らないじゃん」
明人「ちょっとお伽噺全否定するのやめて? まあ現代的にはそれも有りだけどさ」
琉「……っていうのが壮大なフリで! そうです、今日は七夕なので、生配信に加えて、俺たちの会いたい人に特別にここに来て頂いているんです!!」
明人「えっ! 誰かなあワクワク!」
琉「まさか生配信の日に来てくださるとは思わなかったんだけど、今日やるゲームに興味があるって言ってくださって」
明人「ほんとに楽しみ過ぎて昨日マジで眠れなかったんだよね! だってあのスーパースターにまた会えるなんて!」
(不意に画面外から声が聞こえる)
??「……君ら前フリが長いよね。しかもちょっと上げすぎで出づらいんだけど。早く紹介してくれるかな?」
琉「あっ、すみません! 尊敬すべき我らの大先輩、狭山永司さやまえいしさんが今日のゲストです!」
永司「どうも~! みんなの織姫、狭山永司です!」
明人「うわー! いい声! 僕すでに落ちそうです!」
琉「ここにいる誰よりもイケメンボイスな織姫...……って先輩も引っ張るな~」
永司「ははっ、乗っかれるところには乗っかるタイプなんで。で、俺と君たちの関係、紹介してくれる? ここのリスナーさんは俺のこと『誰?』って思ってるかもしれないでしょ」
琉「いやエイシ先輩のこと知らない子はここのリスナーさんにはいないでしょ……。しかしそれではあらためて。狭山永司先輩とは、俺と明人も出ていたゲーム、『鶴汀楼戯伝』で共演させて頂いておりまして。エイシ先輩の演じた洸永遼は、なんとその後開催されたキャラクター人気ランキングで一位になったんですよ!」
明人「まさかの、主人公を差し置いて(笑)。まあこの声ですからね、魅力が違いますよね!」
琉「明人、俺の傷をえぐるのやめてくれる?(笑)。でもまあこの声ですからね、仕方ないです!」
永司「ははっ、君ら褒めてるんだか落としてるんだか。まあ俺は長くこの仕事やってるから、その分応援してくださる方が多いのかもしれないね。ありがたいよね」
明人「いやいや、心の底から褒めてます。僕エイシ先輩と琉との絡みのとき、収録の現場にいたんですけど、エイシ先輩の声にメロメロになってましたよ。僕関係ないのに(笑)」
永司「あの頃は毎回アフレコで会ってたよな」
明人「そうなんです。僕はおふたりのシーンのとき、ちょい役で出てたりしたんですよね。お茶持って行ったり」
琉「そうそう、いいところで『お茶持ってきました~!』って邪魔する役(笑)」
明人「邪魔じゃないよ!(笑)出番なんだから仕方ないだろっ」
永司「そこ、じゃれないじゃれない! でもお陰様で人気になってありがたかったんだけど、脚本家さんと話していたとき、あのゲームには幻の本命がいたって聞いたことがあるんだよな」
琉「幻の本命?」
永司「そうそう。なんか物語にうまく組み込めなくて結局出てこなかったらしい」
琉「へえ~。雑誌のインタビューとか見てましたけど、初耳です」
明人「僕もです」
永司「でもおかしな話だよな。マルチエンディングなのに本命って。だってあのゲームでは、俺も明人も同じく本命だったわけでしょ?」
明人「そうですよね。僕も雪柳とのグッドエンディングありましたよ。一人ひとつ」
琉「……そういうゲームだからね。でも実際俺があのゲームの世界に入ったら、そういう訳にはいかないわけで。俺の体は一つしかないわけだし、一人を選ばなきゃいけないし」
明人「そうだよね~!! で、実際もし一人選べるとしたら、琉なら誰を選ぶの?」
琉「それ昔雑誌のインタビューでもたくさん聞かれたな~!! ……選べません!」
永司「おっ? それは今日のゲストである俺を選ぶところじゃないの?」
琉「……すみません(笑)でも、みんなそれぞれ心のなかにあのゲームのなかの推しっているでしょ? 俺が選んじゃいけないんじゃないのかなって当時から思ってて」
明人「だからあの頃もかたくなに誰も選ばなかったんだね」
永司「そうか。時が経っても君の本命は聞けないんだな(笑)」
琉「いやいやゲームのなかではちゃんと言ってますから! ここゲームじゃないですからね??(笑)」
永司「今日は七夕だし、君の『幻の本命』が現れるといいな……」
(そのとき一瞬音声が乱れる)
琉「(焦って)あれっ!? いま画面乱れましたよね? すみません、おっかしいなあ、なんだろう」
(画面正常に戻る)
明人「もしかして……『幻の本命』がここに来た? 何? 生き霊とか? 怖いんだけど!」
琉「(焦って)ちょ、やめてくれる? そういうの! そういうことないから! 俺は仕事が恋人だから、マジで!」
永司「ふふっ、そういうことにしておこう。いまのは琉に会いたいリスナーの皆さんの念なのかもしれないな!」
明人「リスナーさん? リスナーさんですかいまの生き霊!」
琉「こら!! リスナーさんを生き霊にすな! すみませんね、全国の織姫、いや俺らのファン、最近は男性も多いから彦星もいるのかな。織姫星」
明人「彦どこ行った(笑)」
琉「すみません(笑)でも、今日はみんなが、自分の会いたい人に会えるといいなと願っています。俺たちがそうなれていれば幸せです! それではこのあとはいつものゲーム配信を、エイシ先輩も一緒にやりたいと思います! 今日のゲームは……(以下略)」                     【END】
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