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Side - 12 - 4 - むすめがおかしい -

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Side - 12 - 4 - むすめがおかしい -


初めまして、私はシェルダン家当主、アーノルド・シェルダンと申します、この大陸にある国、ローゼリア王国の王家に仕える貴族であり、恥ずかしながら筆頭貴族を名乗らせて頂いております。

私には愛する妻と天使のようにかわいらしい娘と息子がおりまして、仕事も充実、家庭も円満、これ以上ないほど幸せです。

ただ、長女であるリーゼロッテが10歳の時、とある事件に巻き込まれ身体に大きな傷を負ってしまった事だけが悔やまれます、本人は何も気にしてない風に明るく振舞っていますが女の子なのに不憫でなりません。

彼女は言葉を話し始めた頃に気が付いたのですが少し変な・・・いや個性的な子供でした。

無邪気で子供らしいところがある反面、時々大人の女性と話しているような不思議な感覚になったり、引っ込み思案で人見知りなところはあるものの優しく穏やかな性格で、私への最初の言葉は「お父様」か「パパ」と言って欲しかったのですが何故か「ターミネーター!」と呼ばれ、少し大きくなってからは私に何度も「アイルビーバック」と言わせようとします。

これが何か危険な呪文ではないかと心配で娘が呟いた言葉は全て書き留めておりました、それをまとめて友人の司祭長や魔法騎士団長にも相談しましたが「わからない」との事でした。

本人が言うには自分には「前世の記憶」があり、そこで使っていた言葉なのだとか・・・娘の言う事を全て信じるかは別として、本当であれば今までの奇妙な行動が納得出来るのです、家族に嘘をつく理由も無いですし親としては信じてやりたい、だから今は前世の記憶がある事を前提として娘とは会話をしています。

そういえば相談するために騎士団本部に連れて行った時に近衛騎士団長を見て「ラオウだ・・・」「ワガショウガイニイッペンノクイナシ!」、彼がチェルシーちゃんと名付けてかわいがっている愛馬を見て「黒王号」、と呟いた事についても意味が分かりません。

私の年齢だと世代の違いなのか娘との意思疎通がうまくできないのです、娘が変だとは思っていても何か余計なことを言って「お父様大嫌い!」なんて言われたら私は・・・私わぁぁっ!!。

いや失礼しました、娘に嫌われたらと思うとつい大声を、おっといかん向こうでメイドの子がまた怯えて・・・・、いえ、先日も娘と話していると「お父様古いんだぁ!」と笑われてしまって・・・・年頃の娘と話を合わせるのは難しいものです・・・。

実は娘は魔力量が非常に多く、幼い頃から魔法に興味を持っておりまして、今は信頼できる人物に師事しています、その人物に教えを乞いながら関連書物を熱心に読み漁り今では古の魔導書を翻訳無しで読めるようになっています。

魔法騎士団に憧れがあるようで、この前魔法騎士団長を脅して・・・いやお願いして譲ってもらった魔法騎士団の制服である金糸で刺繍された国章入りのローブを見て「すごい!かっこいい!」「お父様大好き」と喜んでおりました・・・あ、いや申し訳ない嘘をついてしまいました「お父様大好き」とは言ってなかったかな・・・。

それを真似して自分サイズの衣装を妻と作ってしまったのには驚きました、今度ローブの裏地に魔導回路を組み込んで暑い季節は涼しく寒い季節は暖かいようにするのだとか?。

最近呟き始めた「ヤミニノマレヨ!」は意味不明ですが控えめに言ってうちの子天才じゃん!って皆に大声で自慢したいのです。

勢い余って執務中でしたが陛下に「うちの子天才!」「うちの子可愛い」と自慢していたら「うるさい黙れ」と怒られてしまいました、なんだよ親友じゃないか、少しくらい娘の自慢してもいいだろ。





話は変わりますが、私はどうやら顔がとても怖いらしいのです、鏡を毎日見て身だしなみを整えているので自覚はしているのですが、最近入った新人メイドの子を泣かせてしまいまして・・・・。

泣かせたというか絶叫して失禁させてしまったのです。

少し執務室を空けて隣室で資料を整理していたのですが、執務室で物音がしておりまして、この体重の軽そうな足音と甘い香りは娘に違いない、娘には最近構ってもらえていないから少し驚かせてやろうかな、と。

扉を開けて「リゼたん!」と抱き着いたところ小さなメイドでございました、泣き叫び失禁するメイド、冷たい目の執事長、妻と娘からは責められ、散々でした。

誤解が解け、メイドにも謝罪しましたがあの子の心に傷が残っていないか心配です、今度お小遣いをあげようかな。

そのメイドはとある貴族家のご令嬢で、家が借金を抱えてしまい、弟の学費と行儀見習いの為にと頼まれ家で採用しました、よく働くとても良い子です。

娘はその子を初めて見た時「デレステノタチバナアリスチャン!」と謎の言葉を叫んでいましたが・・・・。

おっと、つい長々と話してしまいましたね、ではまた何かの機会がありましたら私の愚痴・・・いえ、話を聞いてください。
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