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Side - 15 - 75 - え、なんでぜんら? -(挿絵あり)

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Side - 15 - 75 - え、なんでぜんら? -


ざぱぁ・・・

「ふぅ・・・朝風呂気持ちいぃ・・・博士の所の宿、お風呂があるから快適・・・昨日は日本でコナンザといっぱい遊んだし、楽しかったぁ・・・でも、明日はまたデボネア帝国かぁ・・・やだなぁ」

ふわっ・・・

「ひぃっ!、何?」





ぱぁっ・・・

ぼとっ・・・ごろん・・・

「わぁぁん!、リゼちゃん聞いてよー・・・え、何で全裸?」

「ひぃぃぃ・・・いやあぁぁぁ!」





「ひっく・・・うぅ・・・ぐすっ・・・」

「リゼちゃんごめん、まさか朝からお風呂に入ってるとは思わなくて・・・」

「・・・ぐすっ・・・見られたの・・・私の全裸・・・ムッツリーノさんや護衛の騎士様、執事さんにも・・・転がってお股全開のところ全部・・・ひっく・・・」

「本当にごめん、でもそれどころじゃないの」

「ぐすっ・・・私の全裸をみんなに晒す以上に大変な事があるのです?・・・それにリィンちゃん、私言ったよね、お風呂やお手洗いの時に急に転移したら大惨事になるから指輪からの強制転移は事前に連絡してって・・・」

「でも大変なんだよぅ・・・今日予定してた第2王子殿下の結婚式、花嫁が行方不明なの!」

「私には関係ないし・・・確かに大変だけど私を呼び出しても仕方ないよね・・・私は明日デボネア帝国に行くからセフィーロの綺麗な街で心を癒そうと思ってたのに」

「確かにそうだけど・・・私も巻き込まれちゃったの!、大変なの!」

「リィンちゃんが巻き込まれても私には関係ない事なのです」

「酷い!酷いよリゼちゃん!、私達友達でしょ!」

「はぁ・・・それでリィンちゃんは何に巻き込まれたのです?、下らない内容だったら怒るからね」

「結婚式って今日のお昼でしょ、なのに花嫁が居ないのは都合が悪いの、逃げたのかもしれないし誰かに連れ去られた可能性もあるけど、各国の王族やお隣のミラージュ大陸からも使節団が集まってるのに結婚式は中止ですって言う訳にいかないじゃない!、だから花嫁と似た年齢、背格好で、上級貴族の立ち居振る舞いが出来る女性を探してるの」

「誰か見つかったのです?」

「・・・うん」

「なら問題ないじゃん、私帰るからね」

「大問題だよ!、それ私だから!」

「は?」

「結婚式を中止になんてしたら第2王子殿下に問題があったと思われるし、国の恥になるの、こんな醜聞は絶対に他国には知られたくないだろうし身内にしか相談できないでしょ、でもはい代わりにやりましょうって人なんて居ないよね、陛下と私達はお友達になったでしょ、今朝になって万策尽きた陛下が泣きながら「お願い助けてリィンちゃん!」って言って来たの」

「わぁ・・・」

「そんな事、私一人じゃ決められないからローゼリアの王城に転移させてもらって、お父様の許可を取ろうと思って・・・」

「リィンちゃんが代わりをやるとして・・・リィンちゃんの席には誰が座るのです?、ローゼリア王国の席が空いてたらまずくない?」

「そう、だからお父様かお兄様を連れて来て座ってもらうの」

「わぁ・・・」

「もう時間がないから早く転移しよう!、お父様の私室か執務室分かるよね、そこに転移させて!、早く!」

コンコン・・・

ガチャ・・・

「リィンちゃん、どう?、やってくれるかな?、やってくれなきゃ私困るの・・・」

女王陛下がお部屋に入って来ました・・・泣いてたのかな・・・目が真っ赤なのです。

「はい、今からローゼリアに転移して、お父様の許可をもらって来ます、私の席にはお父様かお兄様を連れて来るので・・・」

「ありがとう!、助かるわ!、この借りは必ず返すからお願いね!、あ、そうだ!転移するなら私も行くわ、久しぶりにエルヴィスちゃんにも会いたいし」





ぱぁっ!

「うわ眩しっ!」

「あ、いたいた!、お父様ぁ!」

執務室に転移すると陛下とお父様が居ました、会議中だったかな?。

「え?、リィンたん?急に転移して来てどうしたの!、リゼちゃんも・・・今日はラングレー王国で結婚式だし、リゼちゃんはデボネア帝国の筈だよね」

「お久しぶり・・・エルヴィスちゃん、元気そうね、それからアーノルドちゃんも」

「げぇぇぇ!、インフィニちゃん!・・・じゃなかった女王陛下!」





「・・・という訳なの・・・エルヴィスちゃん!、お願い協力して、このまま式が中止になったらまずいの!」

「なるほど・・・大変だなぁ・・・分かったよ、インフィニちゃんの頼みなら断れないな、リィンたんは体調不良のため客室で療養、代わりにリゼちゃんが転移で私を連れて来た・・・という段取りで行こう、リィンたん、花嫁役は本当に大丈夫?」

「・・・うん、花嫁さん黒髪じゃないらしいけど結ってベールか何かで顔や頭を隠せば何とかいけると思う、式の間は壇上に居るから遠目だと分からないだろうし」

「では私は正装を持って来るから待っててくれ、向こうで着付けの手配を頼む」

「分かったわ、任せて」

「それにしても花嫁さんどこに行ったんだろうね」

「他国の上級貴族の娘なの、政略結婚的なものだから2人が愛し合ってるとまではいかないけれど何度か会った時には息子とも上手くやってるみたいだったから安心してたの・・・」

「誘拐かな?」

「その可能性もあるわね」





「陛下、転移する前にこの指輪を付けてもらえますか?」

「何だいリゼちゃん、この指輪・・・」

「あ、リゼちゃんそれ!」

「これを付けてる限り、陛下が受けた物理、魔法、毒、呪いによる攻撃が全て無効になります、外す時は魔力を通しながら外れろと念じてください」

「リゼちゃんが作ったやつかい」

「・・・はい、公表するつもりはなかったのですが、向こうで陛下に何かあると国際問題になるし、私の首も無くなりそうなので・・・あ、ここに唾液を付けてもらうとこの指輪は陛下にしか使えません」

「ほぅ・・・唾液を付けると虹色に変わった・・・リィンたんが嵌めてる指輪と同じだね、この前リィンたんが自慢してたリゼちゃんにもらった凄い指輪ってこれかぁ」

「・・・あの、後で返してもらえるとありがたい・・・です・・・」

「えー、返さなきゃダメかい(ニコッ)」

「・・・いやいいです、持っていてください」

「あらその指輪私も欲しいわぁ(ニコッ)」

「・・・」

「冗談よ、ローゼリアの魔法技術の結晶が他国に流出したらまずいものね」





「じゃぁ行ってくるね」

「リィンちゃん本当にありがとう、こちらは花嫁のご両親、娘さんの事は心配だろうけどうちの騎士団が全力で探してるわ、だから何とか今日の式だけは成功させましょう」

「はい・・・」





私は陛下達をラングレーの王城に転移させた後、一度セフィーロの街に戻ってレストランと宿が一緒になった、「アップルツリー」に居る博士に事情を説明しました。

博士がワインを飲みながら「嬢ちゃん大変だなぁ」って笑うのをチベットスナギツネみたいな表情で聞きながら、お部屋に置いてあったローブを持って再びラングレーの王城へ。

式の後で陛下達を転移させないといけないから私も警護の魔法騎士として式典に参加するのです、やだなぁ・・・。





ざわ・・・

「あそこに居るのってローゼリアの国王陛下じゃないか!」

「え、嘘だろ、名代として王女殿下が出席される筈だったよな」

「あぁ、王女殿下の体調が悪いらしくて急遽陛下が代わりに来られたらしい」

「急遽って、そんなに急に来れないだろ」

「転移魔法陣の開発者、シェルダン家の娘が王女殿下の専属魔法騎士になったらしい、いくら距離が離れていても彼女が居れば対応できる」

「・・・すげぇな、ローゼリア王国、ただでさえ超大国なのに転移技術まで手に入れたら脅威どころじゃないだろ」

「あの国が他国に侵攻する気がなくて本当に良かったよな、でなきゃ今頃この大陸の国全部が属国だ」

「シェルダンの娘か・・・魔力量が多くて不老不死って話だよな、それに優秀な魔導具士だ・・・是非欲しい、うちの国に嫁に来てもらえないかな」

「絶対に無理だろ、ローゼリアが手放す筈が無い」

「そうだぞ、彼女は幼いまま成長が止まってるから子を産めない、妾でいいから嫁に欲しいって国王に無断で申し込んだベレット王国の王太子が居たが、あの国、ブチ切れたローゼリアから酷い制裁を受けたらしいぞ」

「やばいな、その王太子バカだろ」

「それな!、暗殺されなかっただけでも感謝しないとな」





「はぁぁ・・・やっと終わったぁ、お料理食べたかったの、美味しそうだった・・・」

「リィンたん、私が代わりに食べてあげたぞ、流石は観光と食の国、ラングレーだ、どれも美味かった」

「わーん!、お父様ずるい!」

「お疲れ様、リィンちゃん綺麗だったわよ、そのままうちの息子の嫁になって欲しいくらいだわ、式のお料理ちゃんと取ってあるから後でお部屋に運ぶわね」

「わーい、ありがとう陛下!、でも聞いてよ!、式の時に誓いのキスするでしょ、あれはフリでいいって聞いてたのに王子殿下本当にキスしてきたよ!」

ミシッ・・・

あ、陛下の拳がミシッ・・・って、それにお顔が怖いのです!。

「あのクソガキ・・・」

女王陛下も般若のような表情に・・・それに自分の息子をクソガキって。

「まぁ、私は気にしないけどね、好きでもない人にされてもなんとも思わないよ」

「そう、ごめんなさいねリィンちゃん・・・あのクソガキ・・・いや息子には後でキツく言っておきますから・・・」

「花嫁さんは見つかったのかな?」

「式の途中で連絡があったのだけど、見つかったわ、予想通り誘拐ね、昨日の夜寝てる所を連れ去られたの、うちの警備をすり抜けられたのは落ち度だけど、犯人は花嫁の両親が連れてきた護衛、金を積まれて誘拐を頼まれたって」

「わぁ・・・」

「それを聞いたご夫婦、こっちが申し訳なくなるほど平謝りだったわ、でもこの結婚はうちが頼んだものだからあまり強く言えないの」

「ラングレー側から頼んだのか?、確か花嫁はスタンザ帝国の令嬢だよな」

「そう、うちの国は観光に力を入れてるでしょ、だから裕福で観光地にお金を落としてくれそうなローゼリアやフローリアンの人達を沢山呼びたいの、それだとどうしてもスタンザ帝国かメールセデェェス共和国経由になるわけ、でもほとんどの人は高速鉄道が発展してるメールセデェェス共和国を通るでしょ、スタンザ帝国って国境は少しだけ接してるけど不思議と交流が少ないのよ」

「そうだな、ローゼリアとも国境に山脈や大森林があるからそれほど交流してないな、ラングレーやカリーナに行く時に通過するくらいか・・・」

「通過するって言ってもあの国の鉄道は貧弱で乗り継ぎや時間がかかって旅行者は避けて通るでしょ、だからスタンザ帝国の中央に高速鉄道を作ってフローリアン側に接続したいと思って、向こうで鉄道を仕切ってる上級貴族と縁を結ぼうとしたんだけどね・・・」

「なるほど・・・直線ならメールセデェェス共和国を経由するより距離が短くて済むな」

「そう、それに観光客はメールセデェェス経由だとあの国でお金を沢山使うからこの国であまりお買い物しないのよ!、悔しいけどあそこは娯楽がいっぱいあるから」

コンコン・・・バタン!

「た・・・大変です女王陛下!・・・ひぃっ!、ローゼリアの国王陛下・・・し・・・失礼しましたぁ!」

「大丈夫よ、少しお話ししてただけ、どうしたの?」

お話ししていると女王陛下のお部屋にセイヴァーさんが入って来ました、お部屋の中には私とリィンちゃん、うちの国王陛下と護衛のトリエラさん、そしてラングレーの女王陛下、もちろんお部屋の外にはラングレーの騎士様が立っています。

「あ・・・あの・・・」

「ローゼリアの国王陛下に聞かれたくない話かな?」

「いえ、誘拐の件で少し」

「ならここにいる全員関係者だから問題ないわ」

「では報告いたします、誘拐は被害者令嬢の虚偽、実際は護衛の男とは恋仲だったと・・・昨日の夜、私を愛しているのなら連れて逃げてと迫ったそうです、護衛が処刑されると聞いて泣きながら命乞いを・・・」

「わぁ・・・」

今日私は何回「わぁ・・・」って言ったかな、もう覚えてないのです・・・みんな口を開けて呆然としています。

「元々その護衛とは仲が良かったのようなのですが婚約の話が出て・・・ラングレーと結び付きが強くなる、これで地味で目立たない我が国は飛躍する!、と喜んだ皇帝陛下、娘が王族か、凄い!、夢のようだ!、と抱き合って喜ぶ両親を見て断りきれず・・・でも最後に挨拶に来た護衛の悲しそうな顔を見て自分の気持ちに嘘は吐けないと行動に移したようで・・・」

「あぁぁ・・・なんて事、私の無神経な申し込みのせいでその令嬢が不幸に・・・」

女王陛下が外聞もなく泣いています、こんな感じの恋話好きそうなのです・・・。

「うりゅりゅ・・・かわいそう・・・ぐすっ・・・私もそんな恋してみたいなぁ」

リィンちゃんが柄にもなく泣いています。

「・・・」

トリエラさんが無言で上を向いて唇を噛んでいるのです、トリエラさん今自分とムッツリーノさんの事考えてたでしょ、そういえば前から好きだ告白するって言ってたけどどうなったのです?。

「・・・」

陛下が難しい顔をして俯いています、何このお葬式みたいな雰囲気、明日はデボネア帝国だからもう帰っていいです?。

セイヴァーさんの方を見ると私と目が合ったのです、そしてにっこり微笑んで頷きました、そうだよね、早く帰りたいよね・・・。


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