スペースシエルさんReboot-R 〜宇宙生物に寄生されましたぁ!〜

柚亜紫翼

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019 - ともだちくらいいるよ! -

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019 - ともだちくらいいるよ! -

「ニート、これ絶対何かの間違いだよ!」

「落ち着けシエル」

「だってほら見て、2桁くらい多いと思わない?」

こんにちは、僕の名前はシエル・シェルダン、駆け出しのハンターです。

今僕は自分の宇宙船の中で携帯端末に映し出された口座の入金額を眺めています、一番下の欄には12億3000万ロリィ・・・その一つ上はこの前の輸送報酬75万ロリィ。

「超大物賞金首と回収した部品やら機材合わせるとそれくらいじゃねぇのか?」

「僕こんな金額見た事ない!」

「くれるって言ってんだから貰っておけばいいだろ」

ピッ・・・通信が入りました

「あ・・・おじさんだ」

「おいシエル、薬が届いたから運んで来てやったぜ」

「もう届いたんだ・・・扉を開けるね」

「おぅ、保管庫の中に入れておけばいいのか?」

「うん」

レオーネ星系第3惑星ゼーレの軌道上にある12号ステーション、ベネットおじさんが幾つかあるドックの一つを丸ごと買って拠点にしている場所に今僕の船は停泊しています。

ドックは全体的に古く壁は油が所々染み出してるし綺麗とは言えないのだけど船が4隻入るくらいの大きな空間で、整備機材もそれなりに揃っています。

僕が管制室から通路に出ると既におじさんはカートに積んだ荷物を保管庫の中に運び入れていました。

「俺に保管庫の暗証番号教えて本当によかったのかよ?、いくら何でも不用心だろ」

僕の姿を見ておじさんは呆れたように言いました。

「おじさんなら大丈夫だと思って教えたんだけど・・・」

「何を根拠に大丈夫だと思ったのか分からねぇ、そんな無防備だと心配だぜ・・・薬は全部で70本運んである、あとで在庫を確認しておけよ」

「うん、ありがとう」

僕が管制室に戻るとおじさんも一緒に入って来ました。

「それで、この後どうするんだ?」

「昨日の夜遅くにハンターギルドから指名依頼があったの、ローゼリアのステーションで荷物を受け取って、デルタ星の地上中継ステーションに運んで欲しいって」

「大金が入ったんだからそんな面倒な依頼は受けなくてもいいだろ」

「依頼主はお得意様だから断れないよ」

依頼主の名前を見ると何年も前から僕に仕事をくれている企業でした、今まで頑張って築き上げて来た信用を失うような事はしたくないし。

「それに受け取り指定場所は8号ステーションの近くにある4号ステーションだから久しぶりにリンちゃんにも会いたいなぁ・・・おじさん、ローゼリア星の近くに転移できるところある?」

「あるぜ、ローゼリアの地上に俺の別荘と整備拠点を持ってる、荷物の受け渡しは何日後だ?」

おじさんが凄い事を言い始めました、地上に別荘があるの?、もしかしておじさん大金持ち?。

「・・・えと、先方の希望は15日後だけど都合が悪ければ30日後まで大丈夫だって」

「一瞬で着くぞ」

「じゃぁその間リンちゃんのところに遊びに行こうかな」

「リンちゃんって誰だ?」

「お友達」

「お前・・・友達居たのかよ?」

「友達くらい居るよ!・・・リンちゃん一人だけど」









あれから半日後、ゼーレのステーションにあるおじさんのドックからローゼリア星の地上に転移しました。

船の真下にある床には転移魔法陣?が描かれていて、今僕の船とおじさんの船は10隻以上の船が横に並んで停められるような広いドックに居ます。

「外の景色を見てみるか?」

そう言っておじさんは僕をエレベータに乗せてドック内を案内してくれました。

ゼーレのステーションとは違いここはとても近代的で綺麗です、おじさんの話だと雇っているメイドさんが2人、定期的にお掃除をしているのだとか。

エレベータを降り白い壁に覆われた長い通路をしばらく歩きます、広くて迷いそう。

「ここは展望室だ、拠点が一望できる」

おじさんが一番奥の扉の前で立ち止まり、中に入ると僕の目の前には信じられないような景色が現れました。

「わぁ・・・」

遠くには雪を被った山脈、その手前には緑豊かな森と湖が広がり目に見える範囲に街はありません、青く広がる空とどこまでも続く大自然!。

「驚いたか、ここはローゼリアにある4つの大陸のうちの一つだ、向こうに広がってる森の手前までは星団から購入した俺の土地だぜ、森からこっちは結界の魔法陣が設置してあるから野生動物は入って来れねぇ、もちろん人間もな」

「周りに全然人の気配がないけど」

「山に囲まれた僻地だ、森の向こうに小さな集落が幾つかあるくらいだな、だが俺が作った転移魔法陣があるからローゼリア王国の王都にも簡単に行けるぜ」

「へー」

僕は窓の外・・・遠くに見える大きな滝を横目に見ながら部屋の中を歩きます、シンプルだけど趣味のいい家具・・・テーブルやソファが整然と置かれた広いお部屋、とても居心地が良さそうです。

いいなぁ・・・僕の夢はどこかの惑星に土地と市民権を買って田舎でのんびり過ごす事・・・おじさんは僕がどんなに頑張っても不可能な夢を実現してる・・・。

「世の中って不公平だなぁ・・・」

「何言ってんだ、シエルも・・・いや何でもねぇ」

「話の途中でやめられると気になるんだけど」

「・・・お前の両親も大金持ちだぜ、俺みたいな暮らしなんてあいつらに頼めば簡単に出来るだろ」

おじさんがおかしな事を言っています、僕の両親はステーションのシステムエンジニアの筈なのに・・・もしかしてここは笑うところだった?。

「この部屋の隣はシャワー室と便所、それから反対側の部屋には寝室がある、仕事が終ったら俺はいつもここで酒を飲みながらゆっくりしてるんだ」

ガチャ・・・

おじさんが寝室の扉を開けると・・・女の子が部屋のお掃除をしていました、メイド服を着てお掃除道具を手に持っています。

「こいつはエルザだ、この拠点の管理をして貰ってる、もう一人ライザってのが居るからそのうち紹介してやろう」

ぺこり・・・

おじさんに紹介されたエルザさんは僕に向かって頭を下げました、僕も頭を下げて挨拶をします。

「初めまして、僕はシエルっていいます」

じー・・・

「・・・」

じー・・・

「・・・」

エルザさんは無表情で僕を見つめています、黒くて長い髪と黒い瞳、とても美人さんです・・・僕何か怒らせるような事したかな?。

ぱこっ・・・

「あぅ」

「こいつは無口で無表情、無愛想だが怒ってるわけじゃねぇから安心しろ」

おじさんがエルザさんの後頭部を叩いて言いました、叩かれたエルザさんは少し不満そうな表情をしています。

ぼそっ・・・

「私の名前はエルザです、よろしくお願いしますシエルさん・・・って言ってるぞ」

「そんなに長く喋ってないし!」

「この展望室の一階下に客室が5つある、この部屋より狭いがガラス張りで眺めがいい部屋だ、一つシエルにやるから好きに使っていいぞ」

「え・・・」

「お前は俺の命の恩人だ、それくらいはさせてくれよ」

「でもこんなに凄い施設・・・普通に借りたら家賃が高いでしょ、そこまでして貰うのは・・・」

「心配しなくても家賃なんて取らねぇぞ、それにシエルは友人の娘だからな!、遠慮なく使え」

おじさんの提案は凄く魅力的でした、思わずその言葉に甘えてしまおうかと思ったのだけど・・・。

「僕・・・宿主だし」

「俺は気にしねぇって言ってるだろ、それとも俺みたいな中年男と一緒に暮らすのは嫌か?」

「そんな事ないよ、でもエルザさんが嫌がらない?」

僕はおじさんの後ろに立っているエルザさんを見て言いました、まだ無言で僕を見つめています!。

「こいつはただの・・・いや、なんでもねぇ、とにかく大丈夫だぞ」

「また話の途中でやめちゃったぁ!」



結局僕は客室の一つを使わせて貰う事になりました、おじさんとエルザさんに施設の中を色々と案内してもらったのだけどこの建物はとても広いです。

宇宙船用のドックの隣にある建物は5階建て、トレーニングルームや食堂、今は水を抜いている室内プールまでありました!。

人の住んでいない自然の中の一軒家なのに上下水道や空調もきちんと整えられています、上水は川から水を引き、浄化の魔法陣?が描かれた魔道具で綺麗にしているからステーションのお水よりも美味しいし、使い放題なのです。

「こんなに良くして貰っていいのかなぁ・・・」

今僕は自室のベッドに座って目の前に広がる大自然をガラス越しに眺めています、しばらく使っていなかったのかエルザさんが信じられない速さでベッドのシーツを替えてお掃除をしてくれました。

20日ほど前までは想像もしていなかった地上での静かな暮らし、ギルドの銀行口座には贅沢しなければこの先100年は遊んで暮らせるほどの貯金もできました。

この別荘やゼーレ軌道上にある12号ステーションを拠点にして僕はこれからもハンターのお仕事を続けていく事になりました、唯一おじさんが出した条件はしばらくハンターのお仕事をおじさんと一緒にする事。

まだ僕は未熟だからおじさんがハンターのお仕事を教えてくれるそうです。

「だが俺はまだ傷が癒えてねぇ・・・今日から10日ほどここで静養したいからそれまではリン?とやらのところに行って来るといい」

この部屋に僕を案内して別れる前におじさんは申し訳なさそうに言いました、そういえば重傷だったよね・・・大丈夫なのかな。

「ステーションまでは地上から1日あれば行けると思うし輸送任務も今までやってた事だから一人で出来るけど」

「いや、輸送任務は俺を連れて行け」

「じゃぁ明日の朝ここを出てリンちゃんのところに遊びに行って・・・5日くらいステーションで過ごして帰って来るよ、しばらく留守にしてたからステーションにある僕のお家の様子も見ておきたいし・・・」





外の景色を眺めているうちに陽が傾き空が赤くなってきました、軌道上のステーションが光っているのが見えます。

「急に行ったら驚くだろうから連絡しておこうかな」

僕は船から持ち出した携帯端末を開き、リンちゃんにメッセージを送りました。
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