〜レイアさんはおかしな魔物に寄生されましたぁ!〜(魔法使いなのに魔物で双剣使い?)

柚亜紫翼

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5章 さうすうっどだいしんりん〜かぞくにあおう〜

Side LE - 16 - 04 - ようじょかののろい? -

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Side LE - 16 - 04 - ようじょかののろい? -

私の名前はペトラ・ヨウジョスキー、61歳・・・元は銀級のハンターだったのだが今は訳あって見た目が幼女だ。

楽しみにしていた甘味店に行く途中で謎の集団と遭遇し泥だらけになった、今は中年男に抱えられてどこかに連れて行かれている・・・と思ったら領主の家じゃないか。

路地裏に連れ込まれて何かされそうになったら暴れて逃げ出そうと思っていたがその必要はないようだね・・・。

背の高い男が門を守る衛兵と何か話している、しばらく待っていると中に通された。

「おい、嬢ちゃん、寒くねぇか?」

中年男が私に尋ねた、もうすぐ街に雪が降ろうかって時期だから寒くないわけ無いだろう!・・・と答えたくなったが相手が何者か分からないし領主の家で騒ぎを起こしたくもないから幼女のふりをする。

「・・・大丈夫・・・くしゅっ!」

自分でも驚くほど可愛いくしゃみが出たじゃないか・・・。

屋敷の人間は突然の訪問にも驚かず私達に対して扱いがとても丁寧だ、もしかしてこの連中はお貴族様か?。

「こちらへ・・・すぐにお湯の用意を致します」

年配のメイドが中年男から私を奪い取りメイド3人がかりで隅々まで洗われた!、着ていた服は洗濯すると言われ代わりにフリルの付いた可愛いドレスを着せられちまったよ畜生!。


ほこほこ・・・

とてとて・・・

別のメイドに髪を乾かされ客間に案内されると部屋の中には謎の連中と領主が居た。

「ふむ・・・私の娘が幼い頃に着ていた服だがよく似合っている、服が乾くまでゆっくりしていって・・・」

言葉の途中で領主が固まり私の顔をじっと見ている、何だよ照れるじゃないか。

「・・・」

「・・・」

お互い無言で見つめ合う・・・領主は口を開けたまま呆然としてるね、私から何か言った方がいいのかい?。

「領主様、この姿で会うのは初めてだが・・・私だと気付いたようだね」

「・・・いや・・・魔物の討伐作戦に出ていた部下から報告は聞いていたが・・・まさか本当に幼女になっているとは・・・確かに面影が残っている、もしペトラさんに孫がいたらこんな感じだろう」

ガタッ!

「ひぃっ!」

ソファに座っていた中年男がいきなり立ち上がった、驚いて思わず変な声が出たじゃないか!。

「し・・・失礼しました・・・領主様・・・今、彼女の事をペトラと・・・」

「紹介しよう、彼女・・・今は幼女だが・・・元銀級のハンターでね、うちからの依頼を時々受けてもらっているのだよ、この街のハンター達の間では鎖鎌(くさりがま)のペトラと呼ばれていてちょっとした有名人だ」

「・・・領主様からの依頼は報酬が良いしそう難しくない、引退した年寄りにはいい小遣い稼ぎさ」

「難しくないって・・・うちが依頼している魔物の素材は大森林の入り口付近まで行かないといけない、中堅ハンターでも辿り着くのに苦労する場所だよ」

「あぅ・・・あ・・・」

さっきの中年男が何か言いたそうにしている、あ・・・私と目が合った。

「あの、発言をお許しくださいね、領主様、彼女の事はご存知だったのですか?」

中年男ではなく黒髪に少し銀髪の混ざった赤目の少女が領主に尋ねた、どうやらこの集団のリーダーは彼女のようだ。

「ご存じも何も・・・この街を代表するハンターだ、残念ながら「元」が付くがね、家に引きこもり過ぎて腕が衰えないようギルド長と相談して定期的に仕事を振っていたのだ」

「ですが・・・まだ彼女は幼い・・・」

少女が言いかけたが途中で遮り領主が答える。

「数日前までは確かに初老の女性だったのだ・・・彼女が言うには見たこともない魔物と戦って幼女化の呪い?をかけられたらしい」

「は?・・・」

ずっと何か言いたそうにしていた中年男が我慢の限界だったのか、立ち上がり私に近付いてきた、そんなに見るんじゃないよ、照れるじゃないか。

「お・・・俺の名前はマルコー・ヨウジョスキーだ、母親の名前はペトラ・ヨウジョスキー・・・」

「なん・・・だって・・・いや、あの可愛かったマルコーがこんなくたびれたおっさんな筈が無いだろ!」

「くたびれたって・・・酷ぇなおい!」

中年男が叫んだ・・・だがその口調、目元のホクロ・・・確かに見覚えがある、それじゃぁ私の目の前の男は本当に・・・。

「ちょっと屈みな」

「おぅ・・・」

マルコーだと名乗る冴えない中年男が私の目の前で膝をついて屈んだ。

つかみっ!

ぐいっ!

「・・・痛ぇ!、ちょっと待て髪引っ張るな!」

頬にまで広がる髭を掻き分けると・・・あった、5歳の時に刻まれた刻印・・・だがまだ信じられない!。

「マルコーは12歳の時私に殴られた、何をした?」

「12じゃねぇ、11歳だ、お袋が後で食べようと隠してたケーキを食った」

「正解だ・・・あの時の私はいい歳して食い物の事で腹を立て初めて息子に手を挙げた」

「だが手加減してた、全然痛くなかったぜ、お袋は本当は俺と半分こして食いたかったんだろ、次の日は俺の誕生日だったから・・・あの時は貧しくてケーキなんて買えなかった、苦労して買ってくれたケーキを先に全部食っちまった俺が悪かったんだ」

「・・・」

「逆に質問だ、俺の頭のこの辺にはハゲがある、何故こうなった?」

「住んでる所に物盗りが押し入って、私を庇おうとしたマルコーが刃物で斬られた」

「・・・」

「・・・」

「事の経緯は今彼女から聞いた、このマキシマの領主である私が保証しよう、彼女は10年前からこの街に住んでいるペトラ・ヨウジョスキー本人だ、疑うなら街の住民にも聞けばいい」

私達が話している間に赤目の少女が領主に説明していたようだ。

「本当に・・・お袋なのか?」

「マルコーか・・・探したよ、人生の大半かけてね、ようやく会えた、大きくなったねぇ・・・」

・・・

・・・

「ぐしゅっ・・・えぐっ・・・母さん・・・」

なでなで・・・

ずっと探していた息子に突然会えちまった、マルコーは私に抱き付き膝に顔を埋めて号泣している、私も涙が溢れて止まらない、昔のように彼の頭を優しく撫でている。

「幼女の膝に顔を埋めて泣く髭面の中年男・・・側から見ると凄い光景なのだ・・・」

「うん・・・でも良かったね」

マルコーに同行している少女たちが何か話しているがそんな事はどうでもいい、今日はとんでもない日だね、甘味店に行こうとして泥だらけになり、領主の家で長年探していた息子に会えた・・・。








「・・・というわけで、我々はこの街に住んでいる鍛治職人、トンガリィ・コーン氏の剣が欲しくて買いに来たのです」

この妙な団体の目的はトンガリィの剣が目当てか、確かにあいつの作る剣はよく斬れるし美術品としても美しいと評判だ。

「王女殿下の巡業・・・いや、移動でシーマの街に立ち寄ったからついでにこの街に寄ろうって話になって、その時ちょうどマルコーさんの探している母親がマキシマに住んでいるという情報がインフィー・ヴィラという人物から入ったので一緒に連れて来ました」

インフィーさん・・・私のアクセサリーをよく買ってくれるお得意様だ、新作ができたら送ってくれと言われている、彼女が息子に伝えてくれたのか・・・今度何か礼をしないと・・・。

この客間には私とマルコー、領主様の他に背の高い男、銀髪で眼帯をしている幼女、褐色の肌に金髪の少女、それから今領主に訪問の目的を説明している赤目少女が居る。

話の内容から察するにこの連中はローゼリア王国の王女殿下を守る護衛らしい・・・私も同席していいのか戸惑ったが席を外せと言われていないのでマルコーの膝の上に乗って大人しく話を聞いている。

「トンガリィ氏の剣は周辺の街でも人気で結構な数を街の外に出荷していると聞いている、他の場所では品不足らしいのだが直接彼の店に行けば手に入るだろう」

「予想外のトラブルでいきなり押しかける形になってしまい申し訳ありません」

「客室を用意してあるので今夜はここに泊まっていくといい、皇帝陛下からも協力するようにと言われているのでね・・・それと、この街を守護している魔女様がリーゼロッテ・シェルダン様にぜひ会たいと・・・」



その後、私は自分の店に帰ろうとしたのだが領主に引き留められて美味い夕食を連中と食べた、マルコーと一緒の客間に泊り話をする。

2人が順番にこれまで辿ってきた人生を話した結果、いくつかの新しい事実が判明した、何十年も昔、私のアクセサリーを綺麗だと言って買ってくれていた男はクズ野郎で、私達親子を引き裂いた張本人だったのだ、マルコーが居なくなって私の方から離れた形になったが・・・。

「私に偽の手紙を掴ませてマルコーからの仕送りも懐に入れていたとはね・・・」

「安心しろ、俺が散々痛めつけて殺してやった・・・だがお袋もハンターになっていたとはな、鎖鎌を使う凄腕のハンター2人組が居るってのはスタンザに居る時耳に入ってた・・・あの時興味を持って顔を見に行ってればもう少し早く会えてたかもしれねぇ」

「だが弟分の坊やと一緒にした旅は楽しかった、最後にこの場所に落ち着いて・・・マルコーにも会えた、もう何も思い残す事は無いねぇ・・・」

「幼女のくせに年寄りみたいなこと言うんじゃねぇ、見た感じ俺の方が先にくたばりそうじゃねえか」

「まだ私の身体の事は何も分からないのさ、明日この街にやって来る魔女様に相談する予定だった・・・ある日突然元に戻るかもしれないし、身体だけ若返って寿命は実年齢のままって可能性もある」

私達はベッドに仰向けになって、夜遅くまで話し続けた。
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