【暗殺貴族】短編集

八重

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短編

誰よりも早く(シルキー・現代パロ・クリスマス)

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12月24日の夜

私は夕食も終え、自分の部屋でゆっくりと過ごしていた。

そろそろお風呂に入る準備をしようかと考えていると、スマホからメッセージを知らせる音が鳴った。


シルキー【今外にいるから即刻降りてきて】

シルキー【寒いから早くね。3分以上待たせないでよ】


一方的なメッセージに驚き、窓から下を覗くと、玄関の門に寄りかかる彼の姿が目に入った。

私は慌てて上着を着て彼のもとへと急いだ。



「……3分は越えなかったね」
「だってあんな風に言われたら急ぐでしょ。で、シルキー君。こんな夜遅くにどうしたの?」

私の問いにシルキー君言葉を詰まらせ、視線を横にずらす。

「なにか家で問題でもあったの?」
「……いや、そうじゃなくて…」

再び言葉を詰まらせる。

私は追及せずに次の言葉を待つことにした。

するとシルキー君は意を決したように私の方に視線を向け、ズイッと何かを私の方に差し出した。



「えっと…これは……」
「……見てわかんない?」
「……クリスマスのプレゼント…?」
「……そうだよ」
「これ…私に……?」
「なに…いらないの?」
「あっ…! いや! そうじゃなくて…!
明日みんなでクリスマスパーティーしてプレゼント交換するって聞いてたから…」
「それはみんなでくじ引きして交換するってやつでしょ…。これはその…僕個人からのだから…」

シルキー君の頬が紅潮している様に見えるのは寒さのせいなのか、それともー…

「だから…貰ってくれたら…嬉しいんだけど」
「…うん。ありがたく貰うね」

きっと今の私の頬の熱は寒さが原因ではない。

私はシルキー君の手からプレゼントを受け取ると、その箱に目線を落とした。
なんだか恥ずかしくてまっすぐ彼の方を見れない。

少しの沈黙が流れたところでシルキー君が口を開いた。

「……じゃあ、僕帰るね」

シルキー君は踵を返し自分の家の方に歩みを進めていく。
慌てて私はその背中に声をかけた。

「え、えっと…私もシルキー君にプレゼント渡すからっ…!その…個人的に…」

するとシルキー君は立ち止まり、首だけをこちらに向けた。

「別にお返しなんていいよ。僕が勝手にしたことだし」
「でも、わざわざ家にまで届けに来てくれたし……」
「それは……」

そこで一旦言葉を区切ると、シルキー君は体ごとこちらに向きなおった。

深呼吸するように吐き出した彼の息が白く立ち上る。

「誰よりも早く…プレゼント渡したかったから…。他の兄弟達よりも早く…先に…」

再び大きく深呼吸する彼。

まっすぐこちらを見つめる綺麗なアクアマリンの瞳に私の息が詰まる。

「っ…。そんな風に言われたら…私…勘違いしちゃうよ…?」

私がそう言うとシルキー君は一瞬目を見開き、ふわと笑顔を作った。

「…いいよ。勘違いしても」
「えっ…」
「じゃあ、また明日」
「え、あ…う、うん」

先ほどの言葉の意味をちゃんと別の言葉で聞きたかったけど、シルキー君は足早に帰ってしまった。

残された私は手元にある箱に目線を落とした。
可愛くラッピングされたそれを見て、私の口元が自然と緩んでいく。

明日彼と再び顔を合わせることを考えると、嬉しいような、恥ずかしいような…とても心がくすぐったい。



私が貰ったプレゼントを開けようと部屋に戻ると、スマホのメッセージを知らせるライトがチカチカと光っているのが目に入った。


シルキー【さっきは急に押しかけてごめん。明日楽しみにしてるから】

シルキー【それと明日はちゃんと言葉にして伝えるから。だから待ってて】


シルキー君からのメッセージを読んだ瞬間、私は嬉しさのあまりベットへとダイブした。

叫びだしたい衝動を抑えて、何回か深呼吸を繰り返して心を落ち着かせる。

そして再びスマホの画面を見ては顔を緩ませるのだった。





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