漆黒の白魔族~最弱生徒の成り上がり~

sizuma

文字の大きさ
27 / 28
一年生編 第一章 オルエイ入学

第二十七話 休日

しおりを挟む
入学初日の放課後。



意味のない狩り滅茶苦茶させられる。



二日目。



十二キロ走らされた挙句、魔力を枯渇させられ、しかも二時間近く剣術の練習。



三日目。



昨日と同じく十二キロ走らされ、魔力を枯渇。その後は一生筋トレ。



四日目。



走らされる距離が十三キロに増え、魔力の枯渇はなし。しかし、剣術を一時間させられた挙句、最後にもう十キロ走らされた。



五日目。



最初に魔力を枯渇させられ、その後十二キロ走らされた。一時間半剣術をし、最後には再び魔力を枯渇。もう魔力なんてほどんど残っていないというのに。



そして六日目、入学後初の休み。



この学校は日曜から金曜まで学校があり、土曜日が唯一の休みになっている。



俺達新入生は、皆体を休ませていた。









「地獄かッ!」



朝日がさす部屋の中、俺は布団の上でひとりでに叫んだ。



隣にはナルキ、同じ部屋にはヨロとミナクールが俺と同じようにベッドの上でくつろいでいた。



「ふっ、どうかしたのかい? エスタ。まさか、僕のビューティフルな顔に惚れてしまったのかい?」



「うるせえ、誰がお前なんかに惚れるか変体ナルシスト。ちがう、そうじゃない。地獄かよ! この学校ッ!」



俺が頭を抱えていると、ナルキが死んだような目でこちらを見つめてくる。



「何を言っているんだエスタ。これくらい普通じゃないか。先輩はいつも倍の特訓をしているんだよ? 大丈夫。まだ大丈夫。はは、はははは。」



そういいながらも、彼の体は液体になって溶けそうになっている。



目は完全に死んでいた。



一週間前はあんなに目を輝かせていたというのに、もう見る影もない。



「まずい、ナルキがぶっ壊れ始めてる。」



「はは、ははははははははははは。」



もうだめそうだ。



奇妙な声で笑い始めた。



止められそうにない。



全く、こんなの続けてたら誰かしらつぶれるぞ…



俺は彼から目を逸らして、なんとなく二段ベッドの上にいる、一言も喋らないヨロの方を見る。



彼は、教科書を手に持って仰向けに読書していた。



休日の朝だというのに勉強をしている姿を見て、素直に感心する。



「ていうかヨロ、朝から勉強か。頭のいいやつは意識が高いな。」



そう言うと、



「い、いや、これくらいなんでもないですよ。ぼ、僕なんて、長距離走の時はいつも最下位ですし。」



褒められて恥ずかしかったのか、彼は顔を赤らめてそっぽを向きながら、ベッドから降りてきた。



「さ、さて、もう時間も経つので、皆さんもそろそろ起きましょう。」



ヨロが皆に対してそう言うと、俺は重い腰を上げて立ち上がった。



「…まあ、確かにいつまでもぐったりしているわけにはいかないな。貯金も一昨日尽きて、学食も食えねえし、生活必需品なんて尚更買えない。早いとこ狩りして金稼がないと。」



月曜日に狩りをしてお金稼ぎをした後、俺は一度も狩りには行っていなかった。というより体の疲労がきつすぎていけなかった。



お金は一昨日で尽きた。



昨日は昼も食べられていない。



明後日からは、朝夜の分の食費も自分で稼がなければいけなくなる。



とても今日一日狩りをしたところで足りるとは思えない。



「さぁ、ナルキ、ミナクール、起きて朝飯食いに行こうぜ。」



体は重いが、俺は意識を切り替えて、2人にそう声をかけた。



しかし…



「ははははは、はははははははは。」

「僕は丁重にお断りする。ミラクルミミチップを探しに行かなければならないのさッ!」



ナルキは気持ち悪い笑いを続けて、ミナクールは意味の分からない事を言い残して二度寝に入っていった。



てかなんなんだよミラクルミミチップって。



動く様子を微塵も見せない二人を横目に俺達は呟いた。



「駄目そうだな。」

「そ、そうですね。」



俺は、二人を部屋に残し、ヨロと一緒にご飯を食べに行くことにした。







★☆★☆★







午前八時、俺達はロビーにて朝ごはんを食べる。



休日の朝飯にはちょうどよさそうな時間帯だったので、沢山人がいると思いきや案外少なめだった。



先輩が数人いるだけで、同級生は誰もいない。



早く起きる人はもっと朝早いし、それ以外の人は疲れすぎてまだ眠っているのだ。



ご飯を食べる上で、人が少ないのは俺にとってかなり好条件だ。



ゆっくり食べられるし、何より落ち着いていられる。



俺は食事中は、リラックスしたい派なのだ。



だから、この空間は居心地が良かった。







俺達はささっとご飯を食べ終えると、ゆっくり準備して、狩りへと向かった。



これから一週間分の食事代を集めるためだ。



毎日あんな地獄みたいな訓練させられていれば、狩りなんてやってられる余裕なんかない。



お金なんか稼げず、すぐに餓死してしまう。



出来るだけ休日の動ける時に金稼ぎしなければ。



俺は沢山魔物を狩るぞと、心の中で意気込んでいた。





道中、俺はヨロに話しかける。



「そう言えば、ヨロは今持ち金何エルなんだ?」



「ぼ、僕の持ち金ですか? 200くらいです。」



「俺とほぼ同じか。じゃあ、お前も学食食えない状態なんだな。」



「そ、そうですね。二日前から昼飯抜きの状態ですね。」



ヨロは俺以上に体力がない。



午後訓練の後に狩りなんて、俺以上に無理だろう。



そもそも昼飯抜きというのが大分きつかったりする。



午前中の授業でもかなりカロリーを使うから、午後に体力なんて残っていない。



しかも空腹状態であのスパルタ訓練をしなければならないと来た。



地獄だ。



「なるべくたくさん狩って、昼飯抜きを回避しないといけないな。」



俺は自分に言い聞かせるようにそう言い放った。



「そ、そうですね。」



そう返事する彼は、なんだか元気なさげだった。



まだ、体力が回復しきっていないのか?



俺はそんなヨロをじっと見つめる。



不意に首元が気になったので質問してみた。



「そういえばヨロ、お前喧嘩でもしたのか?」



「え? どどど、どうしてですか?」



彼は急にきょどり始めた。



元気なさげなのが一転なんか焦っているように見え始めた。



「いや、首元。」



そう言って俺はヨロに伝えるように首の付け根のあたりを指さした。



彼は何かに気づいたかのように、指摘された場所を手で覆い隠す。



そこには、青黒い大きめのあざが広がっていた。



普通、どこかにぶつかったくらいじゃ、首にあんなサイズのあざなんてできない。



喧嘩で殴られたとか、そんなんじゃなければ。



だからあんな質問をしたのだが、なんだか彼の反応が胡散臭かった。



「なんで隠すんだよ。」



「い、いや、何でもないんです。ただ………そう、剣術の訓練の時にミスって殴られちゃったんですよ。相手がドジだったので、、、はは、ははは。」



なんか滅茶苦茶怪しい動作だった。



別に怪我一つ隠す必要もなかろうに。



何をそんなに焦っているのだろうか。



俺は少しヨロの反応が気になったが、本人は触れられて欲しくなさげにしていたので無視することにした。



物凄く気になるが…!



「まあ、いいや。とっとと狩りをしに行こう。」



「そ、そうですね。」



俺達はほんの少し歩くスピードを早めた。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)

MisakiNonagase
恋愛
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

嘘つきな君の世界一優しい断罪計画

空色蜻蛉
ファンタジー
誰も傷つけないよう付いた嘘が暴かれる時、誰よりも優しい青年の真実が明らかになる。 悪逆非道な侯爵家に生まれたリトスは、王太子妃を狙っている妹の野望を阻止し、実家を良い感じに没落させて、自分は国外追放されたいな~と考えていた。 軟派で無能な侯爵令息を装い、妹の対抗馬である庶民出身のテレサ嬢を支援したり、裏でいろいろ画策していた。 しかし、リトスの完璧な計画は、国外から招聘された有名な魔術師レイヴンによって徐々に暴かれていく。 リトスとレイヴン、二人の【星瞳の魔術師】が織りなす、オリジナル世界観の異世界ファンタジー物語。 ※女性向けハイファンタジー&ブロマンス作品です  恋愛がメインではないので既存の女性向けカテゴリに分類できず・・主役二人の関係性はBLに近いです。  主人公最強、かつ相方も最強で、対等に戦うライバル&相棒です。  主役二人が水戸黄門よろしく事件を恰好よく解決していくお話になります。いっそ文芸の方がいいのかも? ※カクヨム、エブリスタ、Talesで連載中。掲載サイトによって進行がちがいます。  また、番外編の掲載の仕方も各サイトの仕様に合わせて変えています。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

処理中です...