甘い毒の寵愛

柚杏

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 王子が腰を振るたびに水音が響き、シアンの鼓膜の奥まで犯していく。
「はぁ……あ……」
 王子から汗が落ちてくる。
 その汗を拭うように手を伸ばして、王子の乱れた髪をかき上げると紺碧色の瞳がシアンを射貫いた。
 その瞳の強さと深い色に少しだけ残っていた理性が崩壊した。
「王子……おねが、いっ……」
 焦れた身体は熱病に魘されたように燃えていた。
 その赤い髪の色と同じくらいに。
「もっと奥……」
 自ら身体を捩って王子の塊を誘い込む。
 奥へ、もっと奥へと。
「はっ、あっ、ああ……」
 シアンの無自覚の誘惑に王子の楔も一層、屹立しシアンの中を蹂躙する。
 ポタポタと落ちてくる汗がシアンの胸に落ち、それすら刺激になってビクビクと痙攣する。
 グッと奥の一部を抉る王子の楔に強烈な衝撃を受け、叫び声に似た喘ぎを漏らす。
「ここがいいのか?」
 耳元で囁く王子の声は艶めかしく、シアンの背筋がゾクリと粟立つ。
「そこっ……そこ、いいっ……」
 もっとして、と呟くと王子はニヤリと笑んだ。
 シアンの腰を掴み、執拗にその箇所を攻める。抉られて身体がベッドの上で何度も跳ねる。攻め立てられるたびにおかしくなっていく。
 これが快楽。人間の欲望の一つ。
 奴隷でいたら知らないままだったかもしれない、最高の愉悦。
 王子の息が上がっている。腰を掴んでいた手がシアンのモノを握り香油で濡れたそこを扱いていく。
 ――溺れてしまう。
 王子から与えられる快楽に溺れて、ベッドの海に沈んでいく。
 海なんて見たこともないのに、目を閉じると瞼の裏に海が見えてくる。それは王子の瞳の色と同じ色をしていた。
 波に飲み込まれて浮遊する身体。
 気持ちいい。気持ちいい。もっと気持ちよくなりたい。
 頭の中はそればかりで、他には何も考えられない。
 グリ、と抉られた箇所と扱かれてしとどに鈴口から溢れる蜜。
「やっ、も、イくっ……出ちゃう……出っ……」
 首を横に何度も振りながら絶頂を迎える瞬間を回避しようと試みるが、王子は動きを止めずにさらに攻める。
 動きが強く速くなる。意識が飛んでしまいそう。
「ああっ……!!」
 真っ白になった瞬間、二度目の欲を放ち身体の奥に熱いものを感じた。王子もシアンの中で達し、力尽きてシアンの上にのしかかった。
「……はぁ……はぁ……」
 呼吸が荒いままの王子の背中にそっと手を回してみる。
 王子の肌はしっとりと汗をかいていて、シアンの手にピタリと吸い付くようだった。
 奥の方がまだ熱くて、溶けだしてしまいそうだ。
 吐き出された熱がじんわりとシアンの中に広がる。それが何故だか心地よくて、微睡みはじめると中に残されたままの王子自身がピクンと反応してまた堅さを取り戻した。
「まだ寝るな」
「え……」
 ぼんやりとしていたシアンの中を再び王子の熱が動き出した。
 香油と王子の欲が混ざった液体が淫猥な音を立てはじめた。
「まだだ」
「ちょ……あっ」
 繋がったまま身体を持ち上げられ王子の膝の上に座らされる。不安定な姿勢に王子の首に巻き付いた。
 王子の手がシアンの赤い髪をかき乱す。乱暴なその手つきがやけに情熱的で情欲を煽り立てる。
「はっ、あっ……」
 下から突き上げられそれまでとは違う箇所を突かれる。
 ずっと深い奥へと楔が入り込んで、また新しい刺激を与えられる。
 熱い欲がその中に放たれ、どくどくと脈打つのを感じながら三度目の絶頂に落ちる。
 このままずっと抱き合っていたい。もっと淫らに荒れくれていたい。
 無理やり、陵辱されて快楽を植え付けられてしまった。嫌なはずなのに拒絶できない。
 もうこの身体は元には戻らない。戻れない。
 求めあう悦びを知ってしまったから。
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