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「これからはシアンも食事に参加しろ」
「えっ、オレも!?」
「最近、噂も流れはじめた。今が良い機会だろう。おまえを王族の連中に披露する。すぐそばで食事をしていれば俺に万一のことがあっても対処できるだろ」
対処とは王族の面々の前で王子に口付けをしろということか。想像しただけで嫌な汗が出る。
ここに来てからこの部屋と湯殿以外で出入りした部屋はない。セシルから外には出ないように言いつけられているからだ。せめて王族にばったり出くわしても焦らずにやり過ごせるようになるまでは、と。
「噂って、どんな噂?」
良い噂でないのは確かだろう。なんせ一国の王子が奴隷を部屋に囲って、そこに寝泊まりしているのだから。それに食事が終わるたびにすぐにここへやって来るのだから、シアンがおとなしくしていても目立つ。
王子が足繁く通う部屋だと。
「この国の王子はあろうことか男に惚れ込みうつつを抜かしている、今に囲っている男のわがままをあれこれ聞いて国を破滅させるだろう、と」
「なにそれっ」
王子が自分にうつつを抜かすなんてあり得ない。既に何度か抱かれてはいるけれど、彼は行為中は優しくしてくれるが朝起きたらそれが夢だったのではないかと思えるくらい普通なのだ。
毎回、焚かれる香のせいで甘く感じてしまうだけで、その効果が切れれば王子にとってシアンはただの治療薬。
抱かれるたびに勘違いしそうになり、朝起きて現実を思いしる。そのたびに心が擦り切れそうになる。
「その噂を利用して毒を盛っているのが誰か炙り出せたらいいんだが……」
「どうやって? 盛ってるのは何人もいるんだろ?」
「俺の予想では大元は一人だ。そいつが陰で何人にも唆しているんだろう。自分だけ安全な場所から高みの見物をして、あらゆる毒を俺で試しているんだ。相手は相当、口のうまいヤツだな」
「じゃあ、そいつを捕まえたら毒は盛られなくなる?」
「おそらくな。まあ、今まで尻尾を出さなかったのだからそんな簡単にはいかないとは思うが」
上手くいけば自分はそこで用無しになるな、とシアンは一瞬だけ横切った考えを振り払った。
王子の命が奪われないならそれでいいではないか。
無事に国王になったら奴隷は今よりいい扱いが受けられるのだから、それだけを目的に協力していく。そう決めたのだ。
「さ、もう寝よう」
「うん」
蝋燭の火をいくつか消して薄明かりにすると王子はベッドの中に潜り込んだ。シアンもその後すぐに王子が横になるベッドの隣に入る。
王子に背を向けて目を閉じる。何度同じベッドで寝ても、この瞬間だけは慣れない。
抱かない日は自室で休めばいいのにどうしてこの部屋に来るのか。この部屋が王子の部屋なのかとセシルに訊ねたこともあるが、王子にはこの部屋よりも広くて警備の行き届いた自室があると言っていた。
「シアン」
不意に名前を呼ばれ、肩に王子の冷たい手が置かれた。
今夜は何もしないと思っていたシアンは、思わずビクリと肩を揺らした。
「な、なに?」
王子に背を向けたまま返事をすると、肩に置かれた手が髪に触れた。
「こっちを向け」
言われてゆっくりと王子の方へと向きを変えると、薄暗い中にぼんやりと紺碧色の瞳が見えた。
シアンはこの瞳に弱い。初めて顔を合わせた時に感じた、吸い込まれそうな視線。
心の奥に隠した温もりが、透けて見えてしまいそうで逸らしたいのに逸らせない。ずっとその瞳に見つめられていたい。
このまま、溺れるように吸い込まれたい。
「……王子……?」
じっとシアンを見つめてくる王子の瞳に操られるようにシアンは手を伸ばして、金色のその髪に触れた。王子がいつもシアンにそうするように、優しく丁寧な手つきで。
「どうか、した……?」
黙ったままシアンをただ見つめるだけで、何もしてくる様子もない。
「常に命を狙われていると、夜もぐっすり眠ることはできない」
しばらくの沈黙のあと、王子は絞り出すように声を出した。
「寝ている間に遅効性の毒が効いて、そのまま目が覚めないかもしれないと何度も考えた。その一口が俺を死に追いやるかもしれないと……」
「……王子」
それまでは王位継承など関係ないところで生きていた。当然、二番目の兄が継承するものだと誰もが思っていたし、それに異議を唱える者もいなかった。
「前に、抱く必要があるのかと訊いたな」
「うん……」
今まで見たことのない頼りない表情に思わず髪に触れていた手で王子の頭を撫でた。王子はそれを払いのけることもせず、シアンの胸に顔を埋めた。
「……ずっと怖かった。いつまで毒に耐えられるか。この身体はどのくらい毒に蝕まれてしまったのか。毎日、気が気ではなかった。毒と解毒薬の副作用で体調も悪い。でもそれを表に見せるわけにはいかない。俺は強くなければ」
胸の上で王子が小さく震えているのを感じた。
本当の王子はそんなに強くない。ノアという存在はつい最近までただの第三王子でしかなかった。王位に興味もなく、兄が即位したのちは新王の支えになれたらと考えていた。
「精神的にも追い詰められていたこともあって、誰かを抱いて気を紛らわすなんて思わなかった。このままでは俺もいつか近いうちに毒にやられて二番目の兄のようになると……」
王子の中にあった不安が自分にも流れ込んでくるみたいで、シアンは王子をギュッと抱き締めた。
自分よりも体格のいい王子の背中に回した腕は細すぎて、こんな腕では彼を守れないと口惜しくなる。
「でも、おまえが見つかった。いるかいないかもわからない存在の赤い髪の一族。文献に書かれていたより綺麗な赤い色」
胸から顔を離して、王子はシアンの髪にまた触れた。
髪が綺麗だと言われると胸がときめく。ドキドキと高鳴る。
王子にそう言われることが何より嬉しいのだ。
たとえそこに深い意味はなくても。
「シアン、おまえに毒を中和する力があるかどうかをまだ試す前……この部屋で初めて会ってその髪を見て確信した。おまえなら大丈夫だと」
「大丈夫って、なにが……?」
「おまえに中和する力がなくても、俺はあの日、おまえを抱いていた。おまえがどんなに嫌がってもだ」
赤い髪に口付けが落とされる。
王子はこの髪が好きなのだろう。この赤い色が。
では、その髪の持ち主のことはどう思っているのだろう。
「毒から楽になりたいと思っていた。けれどそんなことよりもおまえを抱きたいと思った。それが、おまえを抱く理由だ」
「それって……」
シアンの声は王子の唇によって塞がれ、それ以上なにも話せなくなった。
いつもよりずっとお甘い、蕩けるような口付けをされてシアンはすぐに何も考えられなくなってしまったからだ。
香を焚いたわけでもないのに、その口付けは今までのどの口付けよりも甘く痺れ、舌を絡ませながらまさぐられる肌は粟立ち、香油を垂らされた身体は熱く火照る。
「シアン、名前を呼んでくれないか……」
王子のささやかな願いに腰を揺さぶられながら喘ぐシアンは必死にそれを叶えようと息を吸った。
「ノ……ア……」
「もう一度……」
「んっ……あっ……ノアっ……ノア……」
「シアンっ……」
その日の営みはどこか哀しく、どこか切なかった。
そんな弱い部分を見せてくれた王子が愛おしくて、シアンは何度も王子の名前を呼んだ。
彼が少しでもその哀しみや切なさを癒やせるように。
毒以外のものも中和できればいいのにと祈りを捧げながら、名前を呼び続けた――。
「えっ、オレも!?」
「最近、噂も流れはじめた。今が良い機会だろう。おまえを王族の連中に披露する。すぐそばで食事をしていれば俺に万一のことがあっても対処できるだろ」
対処とは王族の面々の前で王子に口付けをしろということか。想像しただけで嫌な汗が出る。
ここに来てからこの部屋と湯殿以外で出入りした部屋はない。セシルから外には出ないように言いつけられているからだ。せめて王族にばったり出くわしても焦らずにやり過ごせるようになるまでは、と。
「噂って、どんな噂?」
良い噂でないのは確かだろう。なんせ一国の王子が奴隷を部屋に囲って、そこに寝泊まりしているのだから。それに食事が終わるたびにすぐにここへやって来るのだから、シアンがおとなしくしていても目立つ。
王子が足繁く通う部屋だと。
「この国の王子はあろうことか男に惚れ込みうつつを抜かしている、今に囲っている男のわがままをあれこれ聞いて国を破滅させるだろう、と」
「なにそれっ」
王子が自分にうつつを抜かすなんてあり得ない。既に何度か抱かれてはいるけれど、彼は行為中は優しくしてくれるが朝起きたらそれが夢だったのではないかと思えるくらい普通なのだ。
毎回、焚かれる香のせいで甘く感じてしまうだけで、その効果が切れれば王子にとってシアンはただの治療薬。
抱かれるたびに勘違いしそうになり、朝起きて現実を思いしる。そのたびに心が擦り切れそうになる。
「その噂を利用して毒を盛っているのが誰か炙り出せたらいいんだが……」
「どうやって? 盛ってるのは何人もいるんだろ?」
「俺の予想では大元は一人だ。そいつが陰で何人にも唆しているんだろう。自分だけ安全な場所から高みの見物をして、あらゆる毒を俺で試しているんだ。相手は相当、口のうまいヤツだな」
「じゃあ、そいつを捕まえたら毒は盛られなくなる?」
「おそらくな。まあ、今まで尻尾を出さなかったのだからそんな簡単にはいかないとは思うが」
上手くいけば自分はそこで用無しになるな、とシアンは一瞬だけ横切った考えを振り払った。
王子の命が奪われないならそれでいいではないか。
無事に国王になったら奴隷は今よりいい扱いが受けられるのだから、それだけを目的に協力していく。そう決めたのだ。
「さ、もう寝よう」
「うん」
蝋燭の火をいくつか消して薄明かりにすると王子はベッドの中に潜り込んだ。シアンもその後すぐに王子が横になるベッドの隣に入る。
王子に背を向けて目を閉じる。何度同じベッドで寝ても、この瞬間だけは慣れない。
抱かない日は自室で休めばいいのにどうしてこの部屋に来るのか。この部屋が王子の部屋なのかとセシルに訊ねたこともあるが、王子にはこの部屋よりも広くて警備の行き届いた自室があると言っていた。
「シアン」
不意に名前を呼ばれ、肩に王子の冷たい手が置かれた。
今夜は何もしないと思っていたシアンは、思わずビクリと肩を揺らした。
「な、なに?」
王子に背を向けたまま返事をすると、肩に置かれた手が髪に触れた。
「こっちを向け」
言われてゆっくりと王子の方へと向きを変えると、薄暗い中にぼんやりと紺碧色の瞳が見えた。
シアンはこの瞳に弱い。初めて顔を合わせた時に感じた、吸い込まれそうな視線。
心の奥に隠した温もりが、透けて見えてしまいそうで逸らしたいのに逸らせない。ずっとその瞳に見つめられていたい。
このまま、溺れるように吸い込まれたい。
「……王子……?」
じっとシアンを見つめてくる王子の瞳に操られるようにシアンは手を伸ばして、金色のその髪に触れた。王子がいつもシアンにそうするように、優しく丁寧な手つきで。
「どうか、した……?」
黙ったままシアンをただ見つめるだけで、何もしてくる様子もない。
「常に命を狙われていると、夜もぐっすり眠ることはできない」
しばらくの沈黙のあと、王子は絞り出すように声を出した。
「寝ている間に遅効性の毒が効いて、そのまま目が覚めないかもしれないと何度も考えた。その一口が俺を死に追いやるかもしれないと……」
「……王子」
それまでは王位継承など関係ないところで生きていた。当然、二番目の兄が継承するものだと誰もが思っていたし、それに異議を唱える者もいなかった。
「前に、抱く必要があるのかと訊いたな」
「うん……」
今まで見たことのない頼りない表情に思わず髪に触れていた手で王子の頭を撫でた。王子はそれを払いのけることもせず、シアンの胸に顔を埋めた。
「……ずっと怖かった。いつまで毒に耐えられるか。この身体はどのくらい毒に蝕まれてしまったのか。毎日、気が気ではなかった。毒と解毒薬の副作用で体調も悪い。でもそれを表に見せるわけにはいかない。俺は強くなければ」
胸の上で王子が小さく震えているのを感じた。
本当の王子はそんなに強くない。ノアという存在はつい最近までただの第三王子でしかなかった。王位に興味もなく、兄が即位したのちは新王の支えになれたらと考えていた。
「精神的にも追い詰められていたこともあって、誰かを抱いて気を紛らわすなんて思わなかった。このままでは俺もいつか近いうちに毒にやられて二番目の兄のようになると……」
王子の中にあった不安が自分にも流れ込んでくるみたいで、シアンは王子をギュッと抱き締めた。
自分よりも体格のいい王子の背中に回した腕は細すぎて、こんな腕では彼を守れないと口惜しくなる。
「でも、おまえが見つかった。いるかいないかもわからない存在の赤い髪の一族。文献に書かれていたより綺麗な赤い色」
胸から顔を離して、王子はシアンの髪にまた触れた。
髪が綺麗だと言われると胸がときめく。ドキドキと高鳴る。
王子にそう言われることが何より嬉しいのだ。
たとえそこに深い意味はなくても。
「シアン、おまえに毒を中和する力があるかどうかをまだ試す前……この部屋で初めて会ってその髪を見て確信した。おまえなら大丈夫だと」
「大丈夫って、なにが……?」
「おまえに中和する力がなくても、俺はあの日、おまえを抱いていた。おまえがどんなに嫌がってもだ」
赤い髪に口付けが落とされる。
王子はこの髪が好きなのだろう。この赤い色が。
では、その髪の持ち主のことはどう思っているのだろう。
「毒から楽になりたいと思っていた。けれどそんなことよりもおまえを抱きたいと思った。それが、おまえを抱く理由だ」
「それって……」
シアンの声は王子の唇によって塞がれ、それ以上なにも話せなくなった。
いつもよりずっとお甘い、蕩けるような口付けをされてシアンはすぐに何も考えられなくなってしまったからだ。
香を焚いたわけでもないのに、その口付けは今までのどの口付けよりも甘く痺れ、舌を絡ませながらまさぐられる肌は粟立ち、香油を垂らされた身体は熱く火照る。
「シアン、名前を呼んでくれないか……」
王子のささやかな願いに腰を揺さぶられながら喘ぐシアンは必死にそれを叶えようと息を吸った。
「ノ……ア……」
「もう一度……」
「んっ……あっ……ノアっ……ノア……」
「シアンっ……」
その日の営みはどこか哀しく、どこか切なかった。
そんな弱い部分を見せてくれた王子が愛おしくて、シアンは何度も王子の名前を呼んだ。
彼が少しでもその哀しみや切なさを癒やせるように。
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