冒険者ギルドの受付でチート持ち主人公の噛ませ犬にされた男の一生

雨宮ヤスミ

文字の大きさ
27 / 222
アドイック編

27.決勝戦開始

しおりを挟む
 
 
『さあ、盛り上がって参りました! 本年の「天神武闘祭」も遂に決勝戦!』

 丸い武舞台の中心に立つ大闘技場コロシアム付きの魔道士・セドリックは声を張り上げた。

 セドリックは風の魔法を得意としており、自分の声を増幅して闘技場全体に響き渡らせている。この「天神武闘祭」だけでなく、普段行われている戦車レースや円盤投げなどの競技会でも実況解説、試合の運営までもを任される、言わば大闘技場コロシアムの顔であった。

『では、決勝を戦う2組にご登場願いましょう!』

 盛り上がりは、例年よりも小さいようであった。決勝戦だというのに観客の反応が悪いことを、セドリックはひしひしと感じていた。

 理由はいくつか思いつくが、あの勇者の作業じみた戦い方がその最大の要因であろう。一回戦、二回戦、準決勝を同じように勝ち上がった彼らのやり方に、先ほどの試合では遂にブーイングが上がった。

 それだけでなく、タクトの態度もよくない。ともすれば10代も前半に見える少年の、気負わないといえば聞こえはいいが、どことなくダルそうに見える立ち姿を見て、「勇者として品格に欠けている」という声さえ聞こえてくる。

 セドリック自身も、勇者の一瞬で終わる戦い方に、如何に観客を盛り上げるかに苦慮していた。一回戦こそ『さすがは勇者! すさまじい、なんともすさまじい力です!』と煽ってはいたものの、こうも同じ展開ばかりが続くと厳しい。相手にも技を出させてくれよ、と内心では途方に暮れていた。

 決勝ぐらいはまともな戦いが観れますように、と半ば祈るような気持ちでセドリックは右手を挙げた。

『まずは東のゲートより入場いたしますは、300年ぶりに降臨せし新たなる勇者、タクトォ、ジィィンノォォォ!』

 ゆったりとした、いやうんざりしているようですらある足取りで、タクトが武舞台へ歩みを進めてくる。拍手はまばらだ。引っ込めー、という声すら聞こえる中、貴賓席からの「タクトさま頑張ってー!」という声援がどこか空虚に響いた。

 勇者はその少ない声援に応えるでもなく、かといってブーイングにも何の感情もリアクションも示さない。

『アドニス王国に彗星のごとく現れた「ゴッコーズ」の勇者! その力はみなさまご存知の通り、並み居る戦士たちをことごとく一撃でなぎ倒す凄まじいもの! この決勝でも、その奥義が炸裂するのかぁ!?』

 しなくていいぞー、というヤジが降ってきたが、タクトはあくびをしている。神経が太いのか眼中にないのか、はたまた別の理由か。セドリックは気を取り直して続ける。

『そんな勇者がパートナーに選んだのが、この戦士ィィ!』

 東門から、長身の金髪の剣士が姿を現した。

『「アドイック冒険者ギルド」所属! 魔法剣士カタリナァァ、カァームベルトォォ!』

 やはり拍手はまばらだ。そもそも、カタリナ自身は観衆の前で一度も戦闘していない。これまで3試合あったというのに、多くの観客にとっては謎の戦士であった。小さな拍手に応じるように、カタリナは控えめに手を振った。

『勇者が一撃で試合を決めるため、その実力は決勝まできても全くの謎! しかし、資料によりますと、「戦の女神」の信徒ということは判明しております! 女神に選ばれし勇者の剣として、その力を遂に見せるのかぁ!』

 楽しちゃってさー、というヤジが聞こえて、カタリナは顔をしかめた。その側で、タクトはぽりぽり頰をかいている。

『えー、これに対しますはぁ!』

 セドリックは対面、西のゲートを指す。

『「自由都市」ヤーマディスからの刺客! 「五大聖女」の末裔の力を、この試合でも見せつけるのか! 「紅き稲妻の双剣士」! フィィィオラァァーナッ、ダンッケルゥゥス!』

 フィオは優雅な足取りでゲートをくぐり、武舞台へと歩いていく。対照的に大きな歓声が客席から降り注ぐ。その多くは女性で、「フィオラーナ様ー!」とか「こっちを向いてー!」などと男性と誤解しているようであった。

『およそ10年前の「天神武闘祭」! あの時、準決勝まで戦いましたフレデリック・ダンケルスは、このフィオの兄上にあたる人物! 兄のなしえなかった決勝の舞台で、どんな戦いを見せるのか……!』

 そしてそれを手助けいたしますは、とセドリックが言った時、西のゲートをやや狭そうに、角のついた兜をかぶった大男が姿を見せた。

『今大会最大のダークホース! 神の悪戯か悪魔の配剤か、フィオラーナ・ダンケルスに見出されしこの巨漢、「アドイック冒険者ギルド所属」! ザァァゴスッ、ガーマァァスッッ!』

 途端に起こるブーイング。主に冒険者と、先ほどフィオに黄色い歓声を上げていた女性が、その主な発生源である。

 何が「ザゴス、負けろー」だ、「悪人顔は引っ込め」だ。「お前だけは勇者にやられとけ」とはどういう意味だ。

 口ばっかりのクソ共が、決勝に来たんだから応援ぐらいしやがれ。ザゴスは内心の怒りを咆哮に変え、「オラァァッ!」と右拳を振り上げ威嚇した。

『えー、毎度地元とは思えない程の大ブーイングでありますが、この戦士ザゴス、これまでの全試合で献身的な盾ぶりを見せ、何とフィオ・ダンケルスに一筋の傷も負わせないという戦いを見せています!』

 セドリックは精一杯のフォローを入れた。

 客受けの悪い勇者と知名度の低い女剣士。それに対するのが別の街のギルドのエースと、この街の冒険者一の嫌われ者とあっては、盛り上がらないのは必定か。

 それでも「アゲて」いかねばならない。それがセドリックの仕事だからだ。

『果たしてこの巨大な盾を、「ゴッコーズ」が貫くのか! はたまた秘めた実力を魔法剣士が見せ、巨人の進撃を止めるのか! あるいは「紅き稲妻」がその剣技の冴えを勇者に見せつけるのか!』

 両組とも武舞台へ! セドリックの声に応えて、タクトとカタリナ、ザゴスとフィオが舞台上に上がる。

「オラァ! 決勝に来てやったぜクソガキがぁ!」

 ザゴスは開口一番そう言ったが、タクトの視線はフィオに注がれている。

「あんたが強いんだね」
「おい、無視してんじゃねぇぞ!」

 隣でがなるザゴスをフィオは手で制した。

「どうだろうな。ザゴスの力が大きいさ」
「そういう傷があるのは、絶対強いやつだ……」

 つぶやくように言って、今度はカタリナを見上げる。カタリナもまた、フィオを一直線に見据えている。

「勝てるんだよね、ホントに」
「お任せを。ですので……」
「わかってる。決着つくまで手は出さない」

 お、とザゴスは言って口元を歪める。

「こいつはチャンスだな。クソガキは『超光星剣ルミナスブレード』を使わねぇつもりらしい」
「そのようだ。ならば……」

 フィオはカタリナに視線を返す。バチリ、と何かが弾けたようなにらみ合いに、近くにいたセドリックもビクリとなる。

「フィオラーナ・ダンケルス! 長きに渡る先祖の、『戦の女神』の信徒たちの恨み、この舞台で貴様を倒し、晴らしてくれる!」
「いいだろう。ボクなりの答えを示そう」

 両者の醸す空気に気圧されたのか、セドリックは咳払いをして居住まいを正すと「両者とも、よろしいですね」と見比べる。

『では、「天神武闘祭」決勝戦……』

 その声が響き渡ると、ざわめいていた大闘技場コロシアムは一時、静寂に包まれた。

『いざ、尋常にぃ!』

 セドリックは武舞台の真ん中から大きく場外ぎりぎりへ飛び退る。それを合図に、フィオは双剣の柄に手をかけ、ザゴスは斧を抜き放つ。一方のカタリナも剣を抜いて、タクトは得物も手にせず数歩後ろに下がった。

『始めぇぇぇ!!』

 高らかにセドリックが宣言したのと同時に、カタリナは剣を振り上げ、フィオに殺到する。

 だが、フィオの姿は不意にカタリナの視界から消えた。

「な……!?」

 高い金属音と共に、カタリナの剣を受け止めたのはザゴスだった。

「退け、ザゴス殿! さっきのやり取りを聞いていただろう!」
「悪ぃなカタリナ、お前の相手は俺だ!」

 一方のフィオは雷の強化魔法で加速し、タクトに斬りかかっていた。

「え!?」
「覚悟、雷鳥閃サンダー・ビーク!」

 突き出された雷を帯びた刃は、丸腰で驚くタクトの体に触れる直前で止まった。

「これが、ザゴスの言っていた……!」
「『星雲障壁ネビュラシールド』。びっくりしたけど、オレに攻撃は当たらないよ」

 タクトは突きつけられた刃に怯まずに、自分の剣を抜こうとする。フィオは瞬時に側面に回って、再び「雷鳥閃サンダー・ビーク」を繰り出す。

「もう、鬱陶しいな!」

 タクトは剣から手を離す。再び刃は「星雲障壁ネビュラシールド」に阻まれている。

「……っくそ!」

 カタリナは体格と腕力に勝るザゴスの斧をなんとか振りほどき、飛びすさって間合いを取った。

「卑怯だぞ、フィオラーナ・ダンケルス! わたしとの勝負ではなかったのか!」
「ボクは答えを出すと言っただけだ! 戦ってやるとは一言も言ってないぞ!」

 タクトの後ろに回り込みながら、フィオは怒鳴り返した。

「そして、これがボクの答えだカタリナ! 先祖のことは先祖のこと、とやかく言ってくる輩をいちいち相手にはせん!」

 フィオは三度目の「雷鳥閃サンダー・ビーク」を放った。タクトは「星雲障壁ネビュラシールド」で受け止めず、急加速して後ろに下がり、それをかわした。「ゴッコーズ」の一つ、「流星転舞メテオテンポ」である。

「逃がさん!」

 距離を取ろうとしたタクトに、フィオは雷の加速で追いすがる。

「なんだよ、クソッ!」

 タクトは明らかに苛立っていた。思わぬ勇者の苦戦に、客席は大いにわいている。

「ダンケルスめ……、世迷言を!」

 歓声の中、カタリナはタクトの援護に回ろうとするが……。

「悪いな、カタリナ! テメェの相手はこの俺だぜぇ!」

 ザゴスが文字通り大きな壁となって立ち塞がる。

 フィオ対タクト、ザゴス対カタリナ。武舞台上の攻防は完全に二つに分かれた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編

クラス全員で転移したけど俺のステータスは使役スキルが異常で出会った人全員を使役してしまいました

髙橋ルイ
ファンタジー
「クラス全員で転移したけど俺のステータスは使役スキルが異常で出会った人全員を使役してしまいました」 気がつけば、クラスごと異世界に転移していた――。 しかし俺のステータスは“雑魚”と判定され、クラスメイトからは置き去りにされる。 「どうせ役立たずだろ」と笑われ、迫害され、孤独になった俺。 だが……一人きりになったとき、俺は気づく。 唯一与えられた“使役スキル”が 異常すぎる力 を秘めていることに。 出会った人間も、魔物も、精霊すら――すべて俺の配下になってしまう。 雑魚と蔑まれたはずの俺は、気づけば誰よりも強大な軍勢を率いる存在へ。 これは、クラスで孤立していた少年が「異常な使役スキル」で異世界を歩む物語。 裏切ったクラスメイトを見返すのか、それとも新たな仲間とスローライフを選ぶのか―― 運命を決めるのは、すべて“使役”の先にある。 毎朝7時更新中です。⭐お気に入りで応援いただけると励みになります! 期間限定で10時と17時と21時も投稿予定 ※表紙のイラストはAIによるイメージです

勇者パーティーを追放されたので、張り切ってスローライフをしたら魔王に世界が滅ぼされてました

まりあんぬさま
ファンタジー
かつて、世界を救う希望と称えられた“勇者パーティー”。 その中で地味に、黙々と補助・回復・結界を張り続けていたおっさん――バニッシュ=クラウゼン(38歳)は、ある日、突然追放を言い渡された。 理由は「お荷物」「地味すぎる」「若返くないから」。 ……笑えない。 人付き合いに疲れ果てたバニッシュは、「もう人とは関わらん」と北西の“魔の森”に引きこもり、誰も入って来られない結界を張って一人スローライフを開始……したはずだった。 だがその結界、なぜか“迷える者”だけは入れてしまう仕様だった!? 気づけば―― 記憶喪失の魔王の娘 迫害された獣人一家 古代魔法を使うエルフの美少女 天然ドジな女神 理想を追いすぎて仲間を失った情熱ドワーフ などなど、“迷える者たち”がどんどん集まってくる異種族スローライフ村が爆誕! ところが世界では、バニッシュの支援を失った勇者たちがボロボロに…… 魔王軍の侵攻は止まらず、世界滅亡のカウントダウンが始まっていた。 「もう面倒ごとはごめんだ。でも、目の前の誰かを見捨てるのも――もっとごめんだ」 これは、追放された“地味なおっさん”が、 異種族たちとスローライフしながら、 世界を救ってしまう(予定)のお話である。

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった

ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます! 僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか? 『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

スキルで最強神を召喚して、無双してしまうんだが〜パーティーを追放された勇者は、召喚した神達と共に無双する。神達が強すぎて困ってます〜

東雲ハヤブサ
ファンタジー
勇者に選ばれたライ・サーベルズは、他にも選ばれた五人の勇者とパーティーを組んでいた。 ところが、勇者達の実略は凄まじく、ライでは到底敵う相手ではなかった。 「おい雑魚、これを持っていけ」 ライがそう言われるのは日常茶飯事であり、荷物持ちや雑用などをさせられる始末だ。 ある日、洞窟に六人でいると、ライがきっかけで他の勇者の怒りを買ってしまう。  怒りが頂点に達した他の勇者は、胸ぐらを掴まれた後壁に投げつけた。 いつものことだと、流して終わりにしようと思っていた。  だがなんと、邪魔なライを始末してしまおうと話が進んでしまい、次々に攻撃を仕掛けられることとなった。 ハーシュはライを守ろうとするが、他の勇者に気絶させられてしまう。 勇者達は、ただ痛ぶるように攻撃を加えていき、瀕死の状態で洞窟に置いていってしまった。 自分の弱さを呪い、本当に死を覚悟した瞬間、視界に突如文字が現れてスキル《神族召喚》と書かれていた。 今頃そんなスキル手を入れてどうするんだと、心の中でつぶやくライ。 だが、死ぬ記念に使ってやろうじゃないかと考え、スキルを発動した。 その時だった。 目の前が眩く光り出し、気付けば一人の女が立っていた。 その女は、瀕死状態のライを最も簡単に回復させ、ライの命を救って。 ライはそのあと、その女が神達を統一する三大神の一人であることを知った。 そして、このスキルを発動すれば神を自由に召喚出来るらしく、他の三大神も召喚するがうまく進むわけもなく......。 これは、雑魚と呼ばれ続けた勇者が、強き勇者へとなる物語である。 ※小説家になろうにて掲載中

ザコ魔法使いの僕がダンジョンで1人ぼっち!魔獣に襲われても石化した僕は無敵状態!経験値が溜まり続けて気づいた時には最強魔導士に!?

さかいおさむ
ファンタジー
戦士は【スキル】と呼ばれる能力を持っている。 僕はスキルレベル1のザコ魔法使いだ。 そんな僕がある日、ダンジョン攻略に向かう戦士団に入ることに…… パーティに置いていかれ僕は1人ダンジョンに取り残される。 全身ケガだらけでもう助からないだろう…… 諦めたその時、手に入れた宝を装備すると無敵の石化状態に!? 頑張って攻撃してくる魔獣には申し訳ないがダメージは皆無。経験値だけが溜まっていく。 気づけば全魔法がレベル100!? そろそろ反撃開始してもいいですか? 内気な最強魔法使いの僕が美女たちと冒険しながら人助け!

無能認定され王宮から追放された俺、実は竜の言葉が話せたのでSSS級最凶竜種に懐かれ、気がついたら【竜人王】になってました。

霞杏檎
ファンタジー
田舎の村から上京して王宮兵士となって1年半…… まだまだ新人だったレイクは自身がスキルもろくに発動できない『無能力者』だと周りから虐げられる日々を送っていた。 そんなある日、『スキルが発動しない無能はこの王宮から出て行け』と自身が働いていたイブニクル王国の王宮から解雇・追放されてしまった。 そして挙げ句の果てには、道中の森でゴブリンに襲われる程の不遇様。 だが、レイクの不運はまだ続く……なんと世界を破壊する力を持つ最強の竜種"破滅古竜"と出会ってしまったのである!! しかし、絶体絶命の状況下で不意に出た言葉がレイクの運命を大きく変えた。 ーーそれは《竜族語》 レイクが竜族語を話せると知った破滅古竜はレイクと友達になりたいと諭され、友達の印としてレイクに自身の持つ魔力とスキルを与える代わりにレイクの心臓を奪ってしまう。 こうしてレイクは"ヴィルヘリア"と名乗り美少女の姿へと変えた破滅古竜の眷属となったが、与えられた膨大なスキルの量に力を使いこなせずにいた。 それを見たヴィルヘリアは格好がつかないと自身が師匠代わりとなり、旅をしながらレイクを鍛え上げること決める。 一方で、破滅古竜の悪知恵に引っかかったイブニクル王国では国存続の危機が迫り始めていた…… これは"無能"と虐げられた主人公レイクと最強竜種ヴィルヘリアの師弟コンビによる竜種を統べ、レイクが『竜人王』になるまでを描いた物語である。 ※30話程で完結します。

処理中です...