【R-18】冷徹な公爵が迎えた隣国の令嬢※現在不定期連載

みるく

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アリスの家

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昨日言った事。

「アリス、『俺の休みを全て君との時間に使いたい。』そう言ったんだ。」

「・・え」
赤く染まる頬と気恥ずかしさからか視線が下を向いている。
愛らしいとはこう言う事なのだろうか。
湧き出る感情が心地よい気がする。

「ぁ。あの、クロヴィス様」
「なんだ?」
「私のような者に貴重なお休みを使っても宜しいんですか?」
潤んだ瞳でこちらを下から覗く姿に、不覚にも俺のモノが軽く反応する。
この顔は・・・あまりにも目に毒だ。
出来る限り紳士的に振る舞おうにも些細なアリスの言動に我慢が効かなくなりそうになる。
感情が揺さぶられる。

「クロヴィス様?」
不安そうに俺をみるアリスに慌てて言葉を返す。
「もちろんだ。 アリスと過ごすためにある休みだ。」
押し倒して既成事実を作り。
自分のものにするのは容易い、今までならばそうしていただろう。
だが、それでアリスの何が得られると言うのか。
少しずつでも距離を縮めて、最終日には婚姻の約束をしたい。


「私、そんな風に言われた事なくて・・嬉しいです。」
ポロリと一粒の涙が落ちる
「アリス」
アリスの頬に手を当て涙を拭う。

「クロヴィス様、ありがとうございます。 さ、冷めないうちにお紅茶とケーキを頂きましょう!」
頬に当てた俺の手をギュッと握りニコリと笑う
「あぁ。そうだな」
なんだか少しいい雰囲気だったような気もするが、焦らずいこう。


それからアリスとお茶をして、家の近くの花畑で花を摘み、それを家に持ち帰り花瓶に生けたり、ドライフラワーにしたりとなかなか充実した日だった。

明日は市場に行こうと約束をして帰宅した。離れたくなくて、帰る時間を引き延ばしたがアリスの帰宅時間が遅れてしまっても良くないので渋々帰ることにした。
「明日も、こちらに来るから」
「はい、お待ちしております。」
ニコニコと手を振ってくれるアリスの手をとり手の甲にキスを落とす。
するとあっという間に耳まで赤くなった。
昨日もこんな顔をしていたのか。
身体の中がくすぐったいような感覚がする。

離れ難いが馬に乗り帰る
帰宅途中も今日の事を思い出す

アリスは貴族令嬢ではあるが、料理も掃除も自らこなす。
だからなのか?あかぎれが目立つ。
男爵位にもなれば、多少の貧富の差はあれどどこの家もメイドや執事がいる。
男爵令嬢ならば手にここまであかぎれが出来るかといえば否だ。
肌が弱いだけなのかもしれないが、、、
それともウィドーソン男爵は娘にメイドの仕事をさせているのか?

我が家も大概な親ではあるが、アリスの親もまた癖のある者なのだろうか。

宿に着くとマルクスが書状の返事を持って待っていた。
「旦那様、お帰りなさいませ。 こちら、国王陛下からの書状です。」
「ご苦労だった。 アル近衛隊長は元気だったか?」
「はい、最近奥方が4人目を懐妊したそうです。旦那様がこちらにいらっしゃる間にぜひ1度飲みたいとおっしゃっておりました。」
少し疲れた顔をして思い出しながら話すマルクス。
そういえば、アル近衛隊長は愛妻の話と子どもの話をさせると日が暮れるまで語り続けるやつだったな。
大方犠牲になったんだろう。
「わかった。また時間を作ろう。マルクス、ご苦労だった。」
思わず2度目の労いを言うと、一瞬驚いたような顔をしてから深々と頭を下げて下がっていった。


「あの旦那様が、2度も労いの言葉を!? 恋とは人を変えるというが、こういう事なのか・・?」
というマルクスの声は俺に聞こえることはなかった。



マルクスが下がってすぐ書状を読んだ。
すると、アリス・ウィドーソンの親。
ウィドーソン男爵について是非調べて欲しいと書かれていた。
国王も調べているが、娘については10歳の頃までしかわからず、調べようにも男爵が娘を隠している為娘が本当に生きているかも謎だったらしい。
ただ、昨日のパーティーでアリスが生きていた事が確認出来たので、次の段階に入るところだったようだ。
アリスの母親は心を病み隣国の大きな病院で療養後亡くなったそうだが、その療養話が出たと同時期にアリスの所在不明と男爵の妾と妾との子どもが屋敷に入り込んだ。
アリスに母親の事を聞きたくても男爵がそれを許さずここまで来てしまったらしい。
さらに、男爵家は前妻の家系の物で現在の男爵は名義を変えて自分名義にしたらしい。
そこまではまだいいが、領地経営に関して今まで前妻がやっていたのが男爵に変わったら税の徴収が段々と厳しくなり、現在民は貧困に喘いでいると報告があったそうだ。
その割には王国への報告書には例年と変わらない事が記されている。

これを読んですぐ頭によぎった
「横領か。」
だが、おかしい。
その割にはアリスの身なりが貧相どころの話ではない。
後妻である妾とその子どもに贅沢をさせているのか?
そういう類はままある話だ。

だがそういう時前妻の子どもは外に出され前妻の方の親戚に預けたりされる事が多い。
「アリスを隠していたのは何かを喋らさない為か・・?」
出逢ってすぐからそんな話をしてくれるわけがないだろう。
ましてや、アリスの家の話を振ると暗くなる。
あの状態のアリスに何かを聞くのは難しい。
それにしても、ここまで領民を蔑ろにしているとわかればすぐ断罪しても良さそうなものをこの国の王は一体どういう考えがあって泳がせているんだ。

ふぅ。と椅子にもたれ掛かりため息をつく。
とりあえず、国王からの許可も得たから調べるのは容易いだろう。
マルクスはそういった類の事もなかなか得意だからな。
「隣国の大きな病院・・・アプト国国立病院か?」
あそこは心身が病んだ者が入院する施設があったはずだ。
妾の存在が分かり心が病んだのだろうか。
流石に10年も前になると病床履歴もないか。
「いや・・・貴族ならもしかしたら。」
貴族のものなら残っているかもしれんな。
「1度探してみるか。」



あとは、アリスの気持ちをどうこちらに向けられるか・・
なんでも卒なくこなしてきたが、こういった恋愛事は経験がない。
どれが正解かもわからない。

今までは娼館へ行けば自然と女がまとわりついてきた。
だが、アリスは追いかけて捕まえられるかもわからない。
「・・・必ず捕らえてみせるがな。」

まずは明日、今日よりもより親密になれるよう努力しよう。

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