恋と愛を知ったのは、陰謀だらけの王宮でした。

みるく

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37:サプライズ

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あれから1ヶ月が経ち、ハリスの身内のみの結婚式が行われた翌週


本来ならば新婚休暇で休みであるはずのハリスは図書室に向かっていた。

「君たち、呼び出しってなんの」
「「「おめでとうございまーす!!!」」」
急な呼び出しを受けてハリスが図書室に入ると、普段静かな司書達の明るい声と花びらが舞う

その光景にハリスは驚き目を見開く

「・・・これは・・・」
ハリスの前には職員が立ち、その後ろの壁に
『ご結婚おめでとう御座います』と書かれた紙が大きく貼られていた。


「ハリス様、みんなでハリス様のご結婚のお祝いがしたく、サプライズパーティーを開かせて頂きました!」
セラが一歩前に出て、ハリスに声をかけた
「セラ・・・みんな・・・」
目を潤ませながらセラを見て、そして図書室司書達へゆっくりと視線を移す


「司書長!泣かないでください!まだサプライズが残ってるんですから!」
マギーがそう声をかけると、目を擦っていたハリスがコテンと首をかしげる

「サプライズ?」




「こちらです!」
そう言ってセラや司書達に誘導され向かった先は、王宮内にある庭園。

セラが試験後に訪れた場所だった。


「ここは・・・」
ボーッと満開の花々を見ているハリスの背中を男の司書が押す
「司書長!こちらですよ!」
「わっ!!え?!」
急に押されて転びそうになりながらも奥の東屋の方まで歩いて行くと誰かが立っている。




その人物をみて目を見開き頬を染めるハリス
「ミラ・・・」
そこには白金に近いウェーブの髪を流し、薄い水色のシンプルなドレスを着たハリスの妻ミラと、ミラの侍女が居た
「ヴィクトル・・・」
名前を呼ばれ、少し照れながら立つミラの元に駆け寄るハリスはミラの手にそっと触れる

「どうしてここに?」
「王太子殿下から直々にお手紙を頂いたの。貴方には秘密で今日ここへ来るようにと。」
「殿下が?」
そう話すと、ミラの侍女がハリスにスッと手紙を渡してきた。




『親愛なるハリス伯爵
君の素晴らしい部下達の願いを叶えるために一肌脱いだ。
私は直接そちらには行けないが、どうかそのひと時を楽しんでくれ   ダリル』




「殿下・・・」
手紙を大切そうに抱きしめ、目の前のミラに目を向ける

「殿下の計らいに感謝しよう」
「えぇ。」
ミラはハリスに握られた手を握り返す


その二人の世界を司書達は羨ましそうに見つめた
「こんなにお美しい奥様だから、司書長がデレデレだったんですね」
「羨ましいわ~」
みんなハリスから聞いていた日々の惚気を語りだし、ハリスは慌てる

「こ、こら!君たち!!」
「うふふ、ヴィクトルはとても素敵な所で働いているのね」
ミラはハリスの慌てた様子をみて微笑ましく感じた

「さぁ!時間も少ないですし、奥様のご体調の兼ね合いもありますから、早くお祝いしましょう。」
マギーがそう言って周りをまとめる。

「そうですね!では、はじめましょう。」
セラがそう言って、可愛らしい花でまとめられた小さなブーケをミラに手渡す。
「これは?」
「ブーケです。今日のお祝いは小さな結婚式をイメージしているので、ぜひこれをお持ちください。」
セラはミラに説明すると、ミラはニコリと微笑み受け取る
「まぁ、ありがとう。ハリスの仕事仲間の皆さんにも祝って貰えるなんて、幸せだわ。」
そう言うと、胸の前でそのブーケを持つ

「とても美しいよ、ミラ」
「ヴィクトル、ありがとう。こうしてあなたの周りの方々にも祝って貰えると思っていなかったから、少し驚いているけれど、素敵な思い出の一つになるわ。」
そう言うミラの頬にそっと手を添えるハリス
「そうだね。そして、これからも新しい思い出をいくつも作っていこう。夫婦として。」
「ええ。」

みんなの前でそっとキスをする二人

周りは静かにその様子をみる。
照れる者、目を覆う者、顔を両手で隠しながらも指の隙間から覗く者などいた。
セラとマギーは頬を染めながらも、まるでロマンス小説をリアルに見ているようだと思った。

ケーキを食べたり、二人の馴れ初めを聞いたりと、図書室のみんなで祝った楽しい時間はあっという間に過ぎ、庭園が少しずつオレンジ色に染まり出した
「みんな本当にありがとう。そろそろミラを連れて帰ろうと思う。」
「みなさん、本日は私達の為に本当にありがとうございます。」
ハリスはミラの方を抱き寄せ最後の挨拶をする。
「僕はまたしばらく休暇に入るけど、何かあればすぐ呼んでくれ」
「何言ってらっしゃるんですか。ゆっくりご夫婦で過ごしてください!」
「そうですよ!その為に副室長がいるんですから!」
口々にみんながそう言うのを聞いて、ハリスは安心したように笑う。

「あ、そうだわ。最後はブーケトスをしなきゃね。」
ミラが手に持っていたブーケをハリスに渡し目配せすると、ハリスはセラの前に立った。



「?」
セラはなぜハリスが自分の前に来たのかわからず首を傾げた。


その時、ハリスからセラにブーケが手渡される
「え?!」
「セラ、ミラは君に受け取ってもらいたいそうだ。」
「え!!」
ハリスの後ろにいるミラの方に顔を向けると、ミラはニコリと微笑んでいる

「え、でも私・・・相手とか居なくて・・・」
あたふたと慌てるセラを見てハリスは微笑み口を開く

「きっと近くにいると思うよ。」
「・・・え?!」
その言葉になぜかダリルの顔が浮かび、顔が熱くなるのを感じた。
その顔を見てハリスは満足気に笑う。

「君にも素敵な未来を」

そう言ってミラを連れて帰って行った。


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