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42:会いたい
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「そうなんですね!」
「えぇ、ミラが実家の領地に住んでいた頃に病気が思わしくなく、色んな貴族御用達の医師にも沢山診てもらっていたんです。
私もちょくちょく領地へ行き様子を見ていたのですが、もう手を尽くしたと思った時に、民間の医者の元で働いている若者が大変優秀と聞いて、ミラの実家へ呼んだのがきっかけです。」
「へぇ・・・」
セラはまるで物語を聞く子どものように、ハリスの話を真剣に聞いていた。
自分の知らない世界の話に、思わず引き込まれていた。
「ヴィクトルとミラ様のおかげもあって、俺は平民から男爵の位を授かったんだ。
はじめは貴族になるって聞いて辞退したんだが、貴族になる事で今まで出来なかった医術の研究も出来ると聞いて喜んで受け取ったよ。」
そう言って、アルフレッドはハリスの方を向いた。
ハリスは照れたように微笑んで口を開く
「何を言うんですか。アルの能力が素晴らしいと私たちは進言したまでです。そこから先は王様の采配。あなたの実力あっての事ですよ。」
その言葉にアルフレッドは照れたように鼻を掻いた。
「とても素敵なお話でした!それはもう唯一無二の親友と言っても過言ではないですね!」
パチパチと手を叩き二人の関係に胸が熱くなるセラ。
そんなセラにアルフレッドはニヤリと笑みを浮かべてハリスに聞こえるように話す。
「まぁ、でもはじめは酷かったんだぜ。俺がミラ様の診察の度にヴィクトルが付き添って、俺が変なことするんじゃないかって睨みながら見てきてたんだぜ。」
下手すりゃ殺されてたぜ!と言いながらハリスを見るアルフレッド。
「あ、あれは!アルが思ったよりも若くて、ミラを好きにならないようにと思って!」
ハリスは顔を赤くしてアルフレッドに話すとアルフレッドは手をパタパタと振って口を開く
「もうわかってるって!まっ、平民だった俺が貴族様にアタックするなんて到底出来ないって!」
アハハと大きな口を開けて笑うアルフレッドの姿にハリスはホッとした顔をして、セラはアルフレッドの言葉にチクリと胸に痛みを感じ、キュッと手を握った。
アルフレッドはそんなセラに声をかけた。
「ん?セラ・・・?」
「お疲れ様です。ダリル様。」
「あぁ・・・まさか辺境伯領まで遠征する事になるとは思わなかったな。」
庭園でセシルとのあのやりとりをしたあの日。
執務室に戻りマルコやジャンにセラとセシルの関係を調べさせるつもりが、王様から呼ばれ、王都から離れた領地の抜き打ち視察の命を受けた。
翌日の朝から急遽立つこととなり、セラとどう接するかも考える暇なく、各領地を回った。
「途中で王太子が視察に回っていると貴族間で話が回っていた時はどうなることやらと思いましたよ。」
ダリルの自室でダリルの着替えを手伝いながら、マルコは大きくため息を吐きながら話す。
そんなマルコにダリルはなんでもないような顔をした。
「まぁ、そのおかげで私に媚を売るために賄賂をチラつかせるような、不届な者を捕えることもできたからな。」
ダリルはそう言って外着から少し簡単な服に着替える。
その動きは、普段よりもわずかに鈍かった。
「そうですが・・・。ひとまず無事に帰還できてよかったです。」
マルコはそう話すと、お茶を持ってくると言って部屋を出て行った。
「ジャン、お前も疲れただろう。今日は休め。」
ダリルは部屋の隅に立つジャンにそう声をかけると、ジャンは頭を下げた後部屋を出て行った。
「ふぅ・・・」
ジャンが部屋から出て扉が閉まったのを見てダリルはソファにドサリと音を立てて座った。
高い天井を見てボーッとする。
「・・・セラ・・・」
不意に出た自分の言葉に顔が熱くなる。
こんなにも自身の中でセラが大きくなっていると自覚して胸が苦しくなり、ダリルは自分の胸に手を当てた。
久しぶりに帰って来た王宮にまだセラがいるかもしれない。
そう考えたら居ても立っても居られなくなり椅子から起き上がる。
その時、マルコが紅茶を持って部屋に入って来た。
「ダリル様、お待たせしました。」
「マルコ、まだセラはいるだろうか。」
ダリルはシャツのボタンを留めながらマルコに話しかける。
「え?えぇ、この時間ならまだいるかと・・・え?ダリル様?!」
「少しだけセラの顔を見てくる!」
「え!?ちょっ、ダリル様!待ってください!!」
さっさと部屋を出て行ったダリルに、マルコは慌ててテーブルに紅茶を置いて追いかける。
少しだけ、少し顔を見たら今日は満足しよう・・・そう思いダリルは駆け足で図書室へ向かっていく。
「・・・いないな・・・」
ダリルは図書室の入り口から中をそっと覗く。
「研究室にいるのでは?」
「そうかもしれん。」
あの日から会っていなかったから、緊張して口から心臓が出そうなほどドキドキと胸が高鳴っていたのに拍子抜けしてしまったダリルは、今度は研究室へ向かう。
図書室の隣にある司書長室の向かい側、古文書解読研究室の扉のノックしようと扉に近づいた時。
「おーい、セラー?」
中から聞き覚えのない男の声が聞こえ、胸の奥に、言葉にできないざわめきが走ったダリルはノックも忘れて扉を開けた。
「セラ!!」
「!?・・・ダリル様」
ダリルが扉を開けると、そこにはダリルを見て驚くセラとその隣に見知らぬ男。
そしてその奥にハリスがいた。
男の手が、セラに向かって伸ばされているのを見て、ダリルはセラと男の間に入り睨みつけた。
「ダ、ダリル様!」
セラはダリルの後ろで声をかけるがダリルには聞こえていない。
男はいきなり現れたダリルに驚き目を見開く。
マルコはハラハラとそんな二人の顔を見ている。
その時、ハリスがダリルと男の間に手を入れ話しかける。
「えぇ、ミラが実家の領地に住んでいた頃に病気が思わしくなく、色んな貴族御用達の医師にも沢山診てもらっていたんです。
私もちょくちょく領地へ行き様子を見ていたのですが、もう手を尽くしたと思った時に、民間の医者の元で働いている若者が大変優秀と聞いて、ミラの実家へ呼んだのがきっかけです。」
「へぇ・・・」
セラはまるで物語を聞く子どものように、ハリスの話を真剣に聞いていた。
自分の知らない世界の話に、思わず引き込まれていた。
「ヴィクトルとミラ様のおかげもあって、俺は平民から男爵の位を授かったんだ。
はじめは貴族になるって聞いて辞退したんだが、貴族になる事で今まで出来なかった医術の研究も出来ると聞いて喜んで受け取ったよ。」
そう言って、アルフレッドはハリスの方を向いた。
ハリスは照れたように微笑んで口を開く
「何を言うんですか。アルの能力が素晴らしいと私たちは進言したまでです。そこから先は王様の采配。あなたの実力あっての事ですよ。」
その言葉にアルフレッドは照れたように鼻を掻いた。
「とても素敵なお話でした!それはもう唯一無二の親友と言っても過言ではないですね!」
パチパチと手を叩き二人の関係に胸が熱くなるセラ。
そんなセラにアルフレッドはニヤリと笑みを浮かべてハリスに聞こえるように話す。
「まぁ、でもはじめは酷かったんだぜ。俺がミラ様の診察の度にヴィクトルが付き添って、俺が変なことするんじゃないかって睨みながら見てきてたんだぜ。」
下手すりゃ殺されてたぜ!と言いながらハリスを見るアルフレッド。
「あ、あれは!アルが思ったよりも若くて、ミラを好きにならないようにと思って!」
ハリスは顔を赤くしてアルフレッドに話すとアルフレッドは手をパタパタと振って口を開く
「もうわかってるって!まっ、平民だった俺が貴族様にアタックするなんて到底出来ないって!」
アハハと大きな口を開けて笑うアルフレッドの姿にハリスはホッとした顔をして、セラはアルフレッドの言葉にチクリと胸に痛みを感じ、キュッと手を握った。
アルフレッドはそんなセラに声をかけた。
「ん?セラ・・・?」
「お疲れ様です。ダリル様。」
「あぁ・・・まさか辺境伯領まで遠征する事になるとは思わなかったな。」
庭園でセシルとのあのやりとりをしたあの日。
執務室に戻りマルコやジャンにセラとセシルの関係を調べさせるつもりが、王様から呼ばれ、王都から離れた領地の抜き打ち視察の命を受けた。
翌日の朝から急遽立つこととなり、セラとどう接するかも考える暇なく、各領地を回った。
「途中で王太子が視察に回っていると貴族間で話が回っていた時はどうなることやらと思いましたよ。」
ダリルの自室でダリルの着替えを手伝いながら、マルコは大きくため息を吐きながら話す。
そんなマルコにダリルはなんでもないような顔をした。
「まぁ、そのおかげで私に媚を売るために賄賂をチラつかせるような、不届な者を捕えることもできたからな。」
ダリルはそう言って外着から少し簡単な服に着替える。
その動きは、普段よりもわずかに鈍かった。
「そうですが・・・。ひとまず無事に帰還できてよかったです。」
マルコはそう話すと、お茶を持ってくると言って部屋を出て行った。
「ジャン、お前も疲れただろう。今日は休め。」
ダリルは部屋の隅に立つジャンにそう声をかけると、ジャンは頭を下げた後部屋を出て行った。
「ふぅ・・・」
ジャンが部屋から出て扉が閉まったのを見てダリルはソファにドサリと音を立てて座った。
高い天井を見てボーッとする。
「・・・セラ・・・」
不意に出た自分の言葉に顔が熱くなる。
こんなにも自身の中でセラが大きくなっていると自覚して胸が苦しくなり、ダリルは自分の胸に手を当てた。
久しぶりに帰って来た王宮にまだセラがいるかもしれない。
そう考えたら居ても立っても居られなくなり椅子から起き上がる。
その時、マルコが紅茶を持って部屋に入って来た。
「ダリル様、お待たせしました。」
「マルコ、まだセラはいるだろうか。」
ダリルはシャツのボタンを留めながらマルコに話しかける。
「え?えぇ、この時間ならまだいるかと・・・え?ダリル様?!」
「少しだけセラの顔を見てくる!」
「え!?ちょっ、ダリル様!待ってください!!」
さっさと部屋を出て行ったダリルに、マルコは慌ててテーブルに紅茶を置いて追いかける。
少しだけ、少し顔を見たら今日は満足しよう・・・そう思いダリルは駆け足で図書室へ向かっていく。
「・・・いないな・・・」
ダリルは図書室の入り口から中をそっと覗く。
「研究室にいるのでは?」
「そうかもしれん。」
あの日から会っていなかったから、緊張して口から心臓が出そうなほどドキドキと胸が高鳴っていたのに拍子抜けしてしまったダリルは、今度は研究室へ向かう。
図書室の隣にある司書長室の向かい側、古文書解読研究室の扉のノックしようと扉に近づいた時。
「おーい、セラー?」
中から聞き覚えのない男の声が聞こえ、胸の奥に、言葉にできないざわめきが走ったダリルはノックも忘れて扉を開けた。
「セラ!!」
「!?・・・ダリル様」
ダリルが扉を開けると、そこにはダリルを見て驚くセラとその隣に見知らぬ男。
そしてその奥にハリスがいた。
男の手が、セラに向かって伸ばされているのを見て、ダリルはセラと男の間に入り睨みつけた。
「ダ、ダリル様!」
セラはダリルの後ろで声をかけるがダリルには聞こえていない。
男はいきなり現れたダリルに驚き目を見開く。
マルコはハラハラとそんな二人の顔を見ている。
その時、ハリスがダリルと男の間に手を入れ話しかける。
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