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キャンペーン情報2

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「こんなに小さくて密度の高過ぎる文字数、読んでられないよっ!!!

 とりあえずこの呪いのような冊子は後にして、次はどうすればいいの?」



「ハハッ(笑)

 まあそれを真面目に読む人なんてよっぽどの暇人だけだろうね。

 じゃあ、次は今の住所と年収、嫌いな未来から来たネコ型ロボットを一台この用紙に記入してくれるかい?」



「ええええっ?!

 未来から来たネコ型ロボットなんてひとつしか思い浮かばないよっ!!!

 無理だっ!!! 子供の頃の夢や希望をドブに投げ捨てるみたいで俺の心が痛いっ!!!」



「ハハッ(笑)

 じゃあ、好きなゴブリンのタイプでもいいよ」



「それをゴブリン恐怖症の俺に聞くのかっ?!!!

 ゴブリンっていうだけでもう大っ嫌い!!!

 無理に答えるなら色白で性格がおっとりしてて優しいタイプだけど、多分それはもうゴブリンじゃないよねっ!!!」



「ハハッ(笑)

 それが終わったら、この薬草10枚セットを購入してくれるかな? 代金は一万円だよ!」



「薬草のキャンペーンに応募するのに薬草を100倍の値段で買わなきゃいけないの?

 何だかネズミ講のようにも見えるけど、10枚以上採取できればお得なはず。

 よしっ!!! まだ大丈夫っ!!! 買った!!!」



「最後に、一日に20回以上テレパシーで頭の中へ直接、新興宗教の勧誘があるけどその項目の欄の『希望する』にチェックを入れてくれるかな?」



「うわっ!!! そんなの絶対に嫌だけど、さっき買った高値の薬草が無駄になっちゃう。

 ここは後で解約するとして、とりあえずは希望するにチェックしておこう」



「ハハッ(笑)

 ここまでで、薬草買取価格100倍キャンペーンの手続きは終わりだけど……、残念だったね」



「えっ?! 残念? どういうこと???」



「ハハッ(笑)

 一番始めのエントリーを押していないから、このキャンペーンはたった今、無効になったんだよ」



「エントリーって一番始めの文字の小っちゃい冊子のことか?

 うわわわわっ!!! 失敗したっ!!!

 き、キャンセル。キャンセルするよっ!!!

 それで、始めからやり直しさせて!!!」



「ハハッ(笑)

 それは、無理だね。

 だってこのキャンペーンは、初回限定だしエントリーを後回しにしたのはキミのミスじゃないか」



「ちっ、チクショ――――!!! だまされた――――!!!」



 俺はそう言いながら、このエントリー方式のキャンペーン情報に踊らされたのが何回もあったことに今さらながらに思い出した。



「このエントリー方式キャンペーン、いつも騙されちゃうのはなぜなんだ(涙)」
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