48 / 66
包囲されたはじめての街
1590年6月10日・山中城の戦い1
しおりを挟む
山中城は元々北条氏が築いた城であり、今回の小田原攻めに際して西の守りの拠点として大規模な改修が行われていた。
豊臣方に奪われた後は清水港に届く補給物資の中継拠点として機能し、城兵はさほどいなかったが、小田原を包囲していた蒲生氏郷隊4千と宇喜多秀家隊1千が入り元の城兵と合わせて6千で守備していた。
蒲生隊、宇喜多隊も当初は山中城で休憩した後、国元に戻る予定だったのだが、物流の中継拠点だけあって、兵糧・武器・弾薬とも豊富にある。
北条の追手が来た場合、逃げる途中で追いつかれ野戦になるより、ここに留まって抵抗した方が良いという結論になったのだ。
一方、北条方は御屋形様・北条氏直の本隊と、一門の北条氏房隊、北条氏光隊にご隠居様の兵も一部借り山中城の奪還に向かった。未だ小田原の周辺は混沌としている中で御屋形様直々の出陣に止める意見も多かったが強行した。氏直としては、一刻も早く山中城を取り返し、さらに、駿河に向かい、駿府に戻った妻の督姫を早く保護したかった。
氏直以下北条軍総勢1万が山中城に迫る。氏直の相伴衆の一人、間宮直元は山中城めていた時期もあり城・周辺に詳しく、道案内の役を果たしていた。
この時点では、北条方は山中城にはそれほど兵はいないと思っていたのだ。
街道に面した南櫓を突破しようとしたところで、突如、城内から銃撃を受けた。
本丸へと続く本城三の丸と後ろの出丸から挟撃されたのである。
思いもよらぬ敵の攻撃に、氏直は一時討ち死にを覚悟したが、何とか体制を立て直し、箱根方面に退却した。
北条側も種子島は装備している上、新型炮烙玉5玉とバリスタも持って来ていたが、山中城は名前の通り駿河への街道の斜面に作られた山城であり、銃撃戦となれば上から下に狙える城側が有利だ。
この時、山中城は本丸に宇喜多秀家隊1千と蒲生氏郷本体1千、南櫓に近い三の丸に蒲生分隊2千、街道をはさんだ出丸側に旧来の守備兵と蒲生分隊合わせて2千を配していた。大筒こそないものの鉄砲や弾薬は十二分にある。
北条方では軍議を繰り返した結果、小田原に援軍の使者を派遣する一方、本丸南下の虎口を攻めようという結論になった。というのは山中城は西からの攻撃に備えた城であり、今回のように東側からの攻撃は想定されていなかったからである。
南虎口から入れば、容易に本丸まで行ける。実際、豊臣の攻撃にさらされた際、間宮直元が父によって逃がされたのは、この南虎口だったのだ。
城内の地理に明るい間宮がいるので、南虎口から夜襲をしかけることになった。
夜間であれば、敵の抵抗も弱まっているに違いないと思われた。
日付が替わった11日の0時頃、北条軍から選抜された千の兵が南虎口に向かった。皆、闇に眼をならしており松明は使用していない。
予想通り南虎口の守りはあまり固くなかった。さしたる戦闘もなく虎口裏に潜入城門を開け、北条軍は城内に侵入した。同時に使者を本隊に派遣、虎口を突破したことを伝えた。
豊臣方に奪われた後は清水港に届く補給物資の中継拠点として機能し、城兵はさほどいなかったが、小田原を包囲していた蒲生氏郷隊4千と宇喜多秀家隊1千が入り元の城兵と合わせて6千で守備していた。
蒲生隊、宇喜多隊も当初は山中城で休憩した後、国元に戻る予定だったのだが、物流の中継拠点だけあって、兵糧・武器・弾薬とも豊富にある。
北条の追手が来た場合、逃げる途中で追いつかれ野戦になるより、ここに留まって抵抗した方が良いという結論になったのだ。
一方、北条方は御屋形様・北条氏直の本隊と、一門の北条氏房隊、北条氏光隊にご隠居様の兵も一部借り山中城の奪還に向かった。未だ小田原の周辺は混沌としている中で御屋形様直々の出陣に止める意見も多かったが強行した。氏直としては、一刻も早く山中城を取り返し、さらに、駿河に向かい、駿府に戻った妻の督姫を早く保護したかった。
氏直以下北条軍総勢1万が山中城に迫る。氏直の相伴衆の一人、間宮直元は山中城めていた時期もあり城・周辺に詳しく、道案内の役を果たしていた。
この時点では、北条方は山中城にはそれほど兵はいないと思っていたのだ。
街道に面した南櫓を突破しようとしたところで、突如、城内から銃撃を受けた。
本丸へと続く本城三の丸と後ろの出丸から挟撃されたのである。
思いもよらぬ敵の攻撃に、氏直は一時討ち死にを覚悟したが、何とか体制を立て直し、箱根方面に退却した。
北条側も種子島は装備している上、新型炮烙玉5玉とバリスタも持って来ていたが、山中城は名前の通り駿河への街道の斜面に作られた山城であり、銃撃戦となれば上から下に狙える城側が有利だ。
この時、山中城は本丸に宇喜多秀家隊1千と蒲生氏郷本体1千、南櫓に近い三の丸に蒲生分隊2千、街道をはさんだ出丸側に旧来の守備兵と蒲生分隊合わせて2千を配していた。大筒こそないものの鉄砲や弾薬は十二分にある。
北条方では軍議を繰り返した結果、小田原に援軍の使者を派遣する一方、本丸南下の虎口を攻めようという結論になった。というのは山中城は西からの攻撃に備えた城であり、今回のように東側からの攻撃は想定されていなかったからである。
南虎口から入れば、容易に本丸まで行ける。実際、豊臣の攻撃にさらされた際、間宮直元が父によって逃がされたのは、この南虎口だったのだ。
城内の地理に明るい間宮がいるので、南虎口から夜襲をしかけることになった。
夜間であれば、敵の抵抗も弱まっているに違いないと思われた。
日付が替わった11日の0時頃、北条軍から選抜された千の兵が南虎口に向かった。皆、闇に眼をならしており松明は使用していない。
予想通り南虎口の守りはあまり固くなかった。さしたる戦闘もなく虎口裏に潜入城門を開け、北条軍は城内に侵入した。同時に使者を本隊に派遣、虎口を突破したことを伝えた。
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
『イージス艦長、インパール最前線へ。――牟田口廉也に転生した俺は、地獄の餓死作戦を「鉄壁の兵站要塞」に変える』
月神世一
SF
【あらすじ】
「補給がなければ、戦場に立つ資格すらない」
坂上真一(さかがみ しんいち)、50歳。
かつてイージス艦長として鉄壁の防空網を指揮し、現在は海上自衛隊で次世代艦の兵站システムを設計する男。
背中には若き日の過ちである「仁王」の刺青を隠し持ち、北辰一刀流の達人でもある彼は、ある日、勤務中に仮眠をとる。
目が覚めると、そこは湿気と熱気に満ちた1944年のビルマだった。
鏡に映っていたのは、小太りで口髭の男――歴史の教科書で見た、あの「牟田口廉也」。
しかも時期は、日本陸軍史上最悪の汚点とされる「インパール作戦」決行の直前。
部下たちは「必勝の精神論」を叫び、無謀な突撃を今か今かと待っている。
(……ふざけるな。俺に、部下を餓死させろと言うのか?)
現代の知識と、冷徹な計算、そして海自仕込みのロジスティクス能力。
すべてを駆使して、坂上(中身)は歴史への介入を開始する。
精神論を振りかざすふりをして上層部を欺き、現地改修で兵器を強化し、密かに撤退路を整備する。
これは、「史上最も無能な指揮官」の皮を被った「現代の有能な指揮官」が、確定した敗北の運命をねじ伏せ、数万の命を救うために戦う、逆転の戦記ドラマ。
【架空戦記】狂気の空母「浅間丸」逆境戦記
糸冬
歴史・時代
開戦劈頭の真珠湾攻撃にて、日本海軍は第三次攻撃によって港湾施設と燃料タンクを破壊し、さらには米空母「エンタープライズ」を撃沈する上々の滑り出しを見せた。
それから半年が経った昭和十七年(一九四二年)六月。三菱長崎造船所第三ドックに、一隻のフネが傷ついた船体を横たえていた。
かつて、「太平洋の女王」と称された、海軍輸送船「浅間丸」である。
ドーリットル空襲によってディーゼル機関を損傷した「浅間丸」は、史実においては船体が旧式化したため凍結された計画を復活させ、特設航空母艦として蘇ろうとしていたのだった。
※過去作「炎立つ真珠湾」と世界観を共有した内容となります。
王国の女王即位を巡るレイラとカンナの双子王女姉妹バトル
ヒロワークス
ファンタジー
豊かな大国アピル国の国王は、自らの跡継ぎに悩んでいた。長男がおらず、2人の双子姉妹しかいないからだ。
しかも、その双子姉妹レイラとカンナは、2人とも王妃の美貌を引き継ぎ、学問にも武術にも優れている。
甲乙つけがたい実力を持つ2人に、国王は、相談してどちらが女王になるか決めるよう命じる。
2人の相談は決裂し、体を使った激しいバトルで決着を図ろうとするのだった。
四代目 豊臣秀勝
克全
歴史・時代
アルファポリス第5回歴史時代小説大賞参加作です。
読者賞を狙っていますので、アルファポリスで投票とお気に入り登録してくださると助かります。
史実で三木城合戦前後で夭折した木下与一郎が生き延びた。
秀吉の最年長の甥であり、秀長の嫡男・与一郎が生き延びた豊臣家が辿る歴史はどう言うモノになるのか。
小牧長久手で秀吉は勝てるのか?
朝日姫は徳川家康の嫁ぐのか?
朝鮮征伐は行われるのか?
秀頼は生まれるのか。
秀次が後継者に指名され切腹させられるのか?
二重のカーテン (スカートの下の黒い意志)
MisakiNonagase
青春
洗濯物の隙間に隠したのは、母としての祈りと、娘のプライド。
かつて、女子高生という生き物はもっと無防備で、自由だった。
44歳の主婦、愛子が朝のベランダで手にするのは、娘たちが毎日履き替える漆黒のオーバーパンツ、通称「黒パン」。それは、令和を生きる娘たちが自らの尊厳を守るために身に着ける、鉄壁の「鎧」だった。
小学校時代のママ友たちとのランチ会。そこで語られるのは、ブルセラショップに下着を売っていた奔放な50代、無防備なまま凛と歩くしかなかった40代、そして「見せないこと」に命を懸ける10代の、あまりに深い断絶。さらには、階段で石像のように固まる父、生徒の背後に立たないよう神経を削る教師……。
一枚の黒い布を通して浮き彫りになる、現代社会の歪さと、その根底にある不器用なまでの「優しさ」。
ベランダに干された黒いカーテンの向こう側に、あなたは何を見ますか?
対ソ戦、準備せよ!
湖灯
歴史・時代
1940年、遂に欧州で第二次世界大戦がはじまります。
前作『対米戦、準備せよ!』で、中国での戦いを避けることができ、米国とも良好な経済関係を築くことに成功した日本にもやがて暗い影が押し寄せてきます。
未来の日本から来たという柳生、結城の2人によって1944年のサイパン戦後から1934年の日本に戻った大本営の特例を受けた柏原少佐は再びこの日本の危機を回避させることができるのでしょうか!?
小説家になろうでは、前作『対米戦、準備せよ!』のタイトルのまま先行配信中です!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる