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1P:異世界召喚
しおりを挟む携帯端末を片手に、男は歩いていた。
表示される画面には、歩数記録と残り20歩で10PをGET!の文字が映し出されていた。
「19.18.17.16.15.」
すれ違う学生達を横目に、カウントを口ずさみながら歩く男の口元はにんまりと笑みがこぼれていた。
(あとちょっとで今月の目標ポイントまで到達する…!…近くにドラッグストアあったっけ…確かトイレットペーパーとシャンプーがなくなってたから貯めたポイントで買って…あ、あと髭剃り様の泡も…)
なんてことない、いつも通りの日々だった。
(よし…あと10歩…!今日は贅沢にビール2本飲んじゃおうかなぁ…!)
商社マンをする傍らで、ポイ活という趣味を見つけてからポイントを貯めてはちょっとした豪遊をする、という些細な喜びに浸る日々が、突如脅かされるなど思っても見なかったのだ。
残り10歩を歩く為に足を大きく振りかぶって、その足が見慣れたコンクリートを踏むことはなかった。
「………へ…?」
突然男の周囲を真っ白な光が覆った。
眩しさに踏み出した足を引っ込めて、顔を腕で隠して目が潰れるほどの光をやり過ごす。徐々に光が収まっていくのに気が付き腕から顔を覗かせれば、眼の前に広がるのは見慣れたビル街ではなくて───
「おぉ!勇者よ!聖女よ!この世界を魔王から救う者達よ!我等に力を貸してくれ!」
ゲームでしか見たことのないとんでもなく凝った作りの、そう、ここはまるで…
「おしろ…???」
ピコン、とどこかで高価い音が一つ鳴った気がした。
1P:異世界召喚クリア
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