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落ち着け、私((((;゜◇゜)))

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魔法師団の姿で旦那様がこっちに1人で歩いて来ます。
チェリエとマリエが私の後ろに頭を下げ控えます。
私も礼を取り待ちます。

私が屋敷から出たのを感知してから、騎士団を抜けて来たのでしょう。
歩く旦那様に木漏れ日がスポットライトの様に当たって、金髪が光を反射してキラキラキラキラ…………イケメンめっ!!

「……入れ違いにならなくて済んだ様だな。」

「……何故…………。」

墓の方を見ながら、

「……報告、はしておかないとと思ってね……。」

報告?結婚のですか?形だけの……?

「……必要無い、ですよ?母は、私の事など知りたく無いでしょうから……。」

旦那様の眉間に皺が……。

「それこそ、何故だ?」

ああ……。
余計な事言っちゃった……。

俯いて話そうとしない私に痺れを切らした旦那様は、チェリエを見ます。
チェリエは困ってマリエを見ます。
旦那様がマリエを見詰めます。

「……あなたは?」

「私はチェリエの母で、ミリアお嬢様の乳母で御座います。」

「なら、知ってる事を話せ。」

不安気にマリエが見てくるので、私は軽く頭を振って……。

「自分で話しますわ。…………お母様は産後の肥立ちが悪く亡くなったとなってますが、本当は…………自ら命を絶ったんです……。産んだばかりの私を……残して……。」

「!?」

旦那様が目を見開いて驚いてます。
まぁ、当然の反応でしょう。

「元々、お父様が嫌いだったのか……侯爵夫人が嫌いだったのか……私が……要らなかったのか……それ以外に理由が有ったのか……もしかしたら、全てかも知れないですね。今となっては分かりませんが。」

だから……報告なんて……要らないんですよ?

ふふ、
本当は知ってます。
だって…………私には記憶が有るから。
何を言ってるのか分からなかったけど…………。
言葉が分かるようになったら、言ってた意味を理解した。


お父様以外の「男性の名前」と「ごめんなさい」。


お父様が無理矢理、とかは流石に無いと思う。
だから、恋人や婚約者じゃない。
お母様の片思い。

それに、泣きながらごめんなさいって何?
愛せなくてごめんなさい?
産んでしまってごめんなさい?
死ぬからごめんなさい?
それとも…………男に産めなくてごめんなさい?

「私は……お母様に……望まれてない……要らない子……ですわ。」

言葉がポロポロと口から零れていきます。
話すつもりも無い事が……きっと、場所のせい。

嫌いなお母様の墓の前だから……。
チェリエとマリエが居てくれるから……。
副団長の旦那様が優しくて親切だったから……。

「きっと……お父様が、私に構うのも……罪悪感、から……。」

旦那様もこんな話し聞かされても、迷惑でしょう?

「多分……ここには、もう……」

来ない、と言いたかったんですけど…………何故か旦那様に抱き締められてます。
暫しフリーズ……。

「思い出した。」

「…………へっ?えっ……あの、それより何故抱き締められてるのでしょうか?」

旦那様の胸におでこが当たってて、ちょっと痛いです。

「あ、あぁ……泣きそうだったから、つい?」

つい?ついで抱き締めるの!?

「いや、この前も泣いてたし今も泣きそうだったから、か?」

この前のは目薬…………。

「お陰様で、涙は引っ込みましたわ……。」

だから離して~!
チェリエとマリエに見られてるから~!
何とか顔を上げて旦那様を見れば、ニヤリと笑って……。

「で、思い出したんだが?10年位前に会ってるよな?」

「…………。」

ああああああ、マジで思い出しちゃったの!?
忘れてて良いのに!?
つか、シリアス!
今、ちょっとシリアスな雰囲気だったはず!
カムバック!

「……き、きっと、人違い、ですわ~。」

「ダリル侯爵家の庭。夜。黒髪。メイド服。薬草園。合ってるよな?」

うわ~い。
完璧に思い出してる~。
ヤ・バ・イ!!

「……何故、メイドの格好だったんだ?」

「お母様がメイドでしたから、お父様が居ない日はメイドをしていましたの。(これ位はバレても大丈夫)」

「病弱なのに?」

はい!来たあああああ!!
落ち着け、私~~~!

「病弱……と言いますか、自分の魔力に身体が耐えられない日が有るのですわ。それで、突発的に熱が出てしまうのです。」

この言い訳……実例が有るのです。
特に貴族と平民の間に出来た子供に、私にピッタリの言い訳です。
実際には何とも無いんですけど!

「…………あの日も今日みたいに、要らない子と言ってたな。」

「そう、ですわね。」

「だから、メイドとして「うちに来るか」と誘った訳だが……。」

旦那様は腕をほどくと、私の頬っぺたをムニッ!?

「それを「幼女趣味ですか?変態さんはお断りです。」は無いよな?人の善意を!幼女趣味の変態は無いよな!」

旦那様が少し涙目です。
酷い事を言う子供も居たものです。
10年前なので、旦那様は14歳ですね。
傷付き易いお年頃です。
因みに、言い逃げしてます。あはは。

「お、おめんにゃはい、れふ。」

はぁ~、と溜め息を吐いてから頬っぺたは解放されました。

「なら……無理をしなければ、大丈夫なんだな?」

「命に関わる様な物ではありませんわ。セバス達も良くしてくれますし、刺繍やレースを編んでゆっくりさせて頂いてます。」

ええ、間違っても魔法師団員なんてやってませんよ~ミリアは!

心から安堵してますね、旦那様。
そして、いいって言ったのにお墓に報告して黙祷を捧げてます。

その後はチェリエ達を先に帰して、旦那様と昼食を一緒に取りました。
「予約してあるから」と言われて断れなかったんです。

殆ど魔法師団の話し(愚痴とも言う)でしたけどね。
どうして、こう、男の人って愚痴が多いんでしょうね?













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