まず、後宮に入れませんっ! ~悪役令嬢として他の国に嫁がされましたが、何故か荷物から勇者の剣が出てきたので、魔王を倒しに行くことになりました

菱沼あゆ

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ホンモノの勇者を探す旅に出ます

フェリシア、素性を語る

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「ほう!
 大聖女さまはカタリヤの王女でいらっしゃるのですか。

 先ほどから大聖女さまの近くに行くと、高貴な香りが漂っているなと思っていたのです。
 きっと、位の高い魂が放つ香りなのでしょうな」

 そう感心したように、僧侶のひとりが言ったが、魔王は、

 いや、それは、あの王族が使う石鹸の香りのせいでは?
という顔をしていた。

「カタリヤといえば、イニシエの血を引く王族の国。
 ですが、あそこは今、もともとの王の一族以外のものが君臨しているとか」

 はあ、直系の最後の末裔である私が追い出されましたからね、とフェリシアは思う。

 国を追い出されたのだと僧侶たちに告げると、

「では、こんなところを旅している場合ではないではないですか!」
と今、うちに来て手伝ってくれと言っていた僧侶にまで言われてしまう。

「それが、私は今は、トレラントの国王のもとに嫁がされてまして――。
 まあ、結局、なんだかんだでここにいるのですが」

「トレラント王っ」
とみながざわめく。

「あのぱっと見、優美で高貴な感じがするが、残忍と噂の」
「とても穏やかな微笑みで、品の良い語り口調だが、とてつもない好色男だと評判の」

「いやあのー、優美で高貴で、穏やかで品が良いと自分の目で見て思ったのなら、それが真実ではないですか?」

 トレラント王はとても良い方ですよ、と言うと、魔王が何故か渋い顔をした。

「そういえば、カタリヤでは、ウィリカとかいう姫が聖女を名乗りたがってるとか聞きましたな」
と僧侶の一人がふと思い出したように言った。

 それは名乗りたかったら名乗れる感じのものなのでしょうか?

「カタリヤの現国王一家はあまりいい評判を聞きませんが……。
 おっと、評判は鵜呑みにしてはいけないんでしたな」
と照れたように僧侶は言ったが。

 いや、そこは評判通りですよ、とフェリシアは思っていた。

「実際、どのような感じなのですか?」
と問われ、フェリシアは大聖女らしく(?)微笑んで言った。

「それは申せません。
 人の悪評を口にするのは、失礼かなと思うので」

「いやそれ、ほぼ言ったも同然だろう」
と後ろで魔王が言っていた。


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