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岩の町
勇者とはっ
しおりを挟む「……そもそも、勇者とはなんなんですかね?」
とフェリシアは呟く。
勝手に勇者にされようとしているが。
そもそも、『勇者』とはなんなのだ、と思ったのだ。
今、フェリシアたちは、帰りたくないという使者を気分転換のため、川辺に連れてきていた。
一緒に星など眺めてみる。
例の三角帽子を被った、顔だけの古い石像が対岸の木々の陰に見える。
何処か遠くを見上げているようなその目は穴になっているのだが。
ちょうどそこに星が入り、煌めいていた。
それを見ながらサミュエルが言う。
「それを言うなら、『勇者の剣』って、なんなんですかね?」
「『かつて、魔王を倒した勇者が持っていた剣』なんじゃないの?」
そうフェリシアが言うと、ファルコが小首をかしげて言う。
「でも、たぶん、魔王様を倒したのは、勇者のチカラによるところが大きいと思うので。
剣はそのとき、勇者がたまたま持っていただけのもの、かもしれませんよね」
「それだと、勇者の剣自体にチカラはないってことになるわよね?
魔王を倒した縁起のいい剣ってだけで」
腕組みして川辺に立つ魔王が、
いや、縁起悪いだろうという顔をしながら言う。
「トス、と当たっただけでラスボスが霧散する剣、みたいに私は聞いていたんだが」
ちょっと落ち着いてきたらしい使者が、その話に入ってくる。
「最初はただの剣だったのかもしれませんが。
今は、その勇者様の魂が剣に宿っているのではないですか?」
「勇者、魔王を倒して死んだのか?」
と魔王が言い、フェリシアが、
「年とって死んだんじゃないですか?
それから剣に宿ったとか」
「もしかして、勇者の剣が自動的に魔王を倒してくれるとかっ?」
と使者が言い、
「それなら、勇者はいらないだろう」
とサミュエルが言った。
まあ、魔王、今のところ、自動的に倒れされていないのだが――。
くだらない話で気が紛れたらしい使者が笑顔で言ってきた。
「勇者の資格のある人が持つとすごいチカラを発揮し。
一薙 で、世界中のありとあらゆる敵を倒せるとかっ」
魔王が、
「すごいチカラだな。
もういっそ、そいつが魔王なんじゃないのか?」
と言っていた。
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