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万千湖と駿佑の日常
昔は一行日記を書いていました
しおりを挟む「そういえば、『太陽と海』やってたときも、一行日記書いてたんですよ。
黒岩さんに言われて」
と万千湖は語り出す。
「……小学生か。
なに書いてたんだ?」
「そうですねー。
今日のイベントはいい天気でした、とか。
ケータリング美味しかったです、とか。
ちょっと寒かったです、とか。
あっ、この間来てくれたファンの人、また来てくれてました、とか」
「……最後のはともかく、あとは完全に小学生が無理やり書かされてる宿題の日記みたいだな」
「だって、一行なんですよ。
書くスペースからいって、それくらいしか書けないじゃないですか。
……って思ってたんですけど。
あとで黒岩さんに、しょうもないこと書いてたの、お前だけだと言われました。
みんな、本日の反省点とか書いてたみたいです……」
「だろうな」
と冷ややかに言われたが。
「でも、黒岩さん、花丸くれてたんですよ、いつも」
と万千湖は訴える。
「完全に駄目な子を見守る先生だな。
っていうか、俺、あの人に結婚式で言われたぞ。
『あいつのおかげで人間的修行ができました』って」
……お前、あの人に一体なにをしたんだ、と言われてしまった。
深夜、駿佑は、万千湖のところに行く前に、ひっそり買って来ていたものを寝室のデスクに並べてみていた。
10冊の10年日記だ。
あいつに対して思うところのことはいろいろとあるが。
相手に求めすぎてばかりもいけないな、とは思っている。
ほんとうは、万千湖の日記には、ぎっしり俺とのことだけ書いて欲しい。
だが、相手に求めるより、まず、自分だ。
駿佑は、デスクに積まれた10冊の10年日記を眺める。
人生、100年時代だからな。
いや、今すでに20年以上生きているので、これ全部書こうと思ったら、120歳を越えてしまうのだが。
この100年分の日記すべてを俺とお前との歴史で埋め尽くしたい。
「……まあ、わざわざ、万千湖とのことだけ書こうと誓わなくとも。
100年分、万千湖のマヌケ話で埋め尽くされそうだけどな」
そう呟き、駿佑は笑った。
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