69 / 94
学校VR ~七不思議~
いや、それは呪いではない……
しおりを挟む「あ、それ、私も参加」
放課後、紀代たちと話しながらお弁当屋さんの前を通っていると、自動販売機のものではない紙パックのフルーツジュースを飲みながら、彩也子がいきなり手を上げてきた。
実体だ。
「……なんで霊みたいに此処にいるのよ」
と乃ノ子は言った。
小洒落た服を着て、薄化粧をしているので、実体のようだ。
「いやいや、今、来たのよ。
結局、先生とご飯食べに行ったりしてさ。
なんとなくこの時間までいたから。
私もそれ、参加したいわ。
今日はもう実家泊まるから」
「実家遠いんでしょ。
うち泊まってもいいよ」
と乃ノ子は言ったが、彩也子は、
「いやいや、遠慮するわ」
と手を振ってくる。
「だって、あんたと一緒に寝たりしたら、夜中に妙なものとか現れそうじゃない」
この間まで、此処に巣食う霊だった奴に言われてしまった……。
結局、彩也子は乃ノ子の家に来て、一緒に晩ご飯を食べ、慎司と呪われたゲームをやったりしていた。
「まあ、上品なお嬢さんねえ」
と絵美は彩也子を見て言う。
うん、まあ、ぱっと見は……、と思いながら、乃ノ子は絵美とともにダイニングテーブルから、ゲームをしている二人を眺めていた。
時計を見て、乃ノ子が、
「そろそろ時間だよ、彩也子」
と言ったが、呪われているゲームをやっている彩也子は、
「待ってーっ。
何故だかやめられないっ。
呪いーっ?」
と叫んでいたが。
いや、呪われてなくても、ゲームってそういうもんだよね……と乃ノ子は思いながら立ち上がった。
なんとかゲームを中断した彩也子とともに、乃ノ子たちは学校に行った。
「まだ先生いるかな?
誰もいなかったら、入れないよね。
最近の校舎、セキュリティしっかりしてるし」
と言ったが、まだ職員室にも玄関にも明かりがついていた。
そっと忍び込むと、紀代たちが教室の前にいた。
「なんで、中に入らないの?」
そう乃ノ子は訊いたが、紀代と風香は、
「美しいから」
とよくわからないことを言う。
ひょいと開いている扉から中を覗くと、イチが窓のところに立ち、外を見ていた。
月光に照らし出されたイチの白く端正な顔を見て、乃ノ子は、
……なるほど、と思う。
なんとなく、あの赤い甲冑のイチを思い出していた。
紀代は、
「相変わらず素敵ね、イチさんっ!
神川なんて霞むわねっ」
と小声で叫んで、背後にやって来ていた神川に、
「おい……」
と言われていた。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
50
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる