都市伝説探偵 イチ ~言霊町あやかし通り~

菱沼あゆ

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学校VR ~七不思議~

七不思議を全部知ったら……

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「さあ、そろそろ切り上げろ。
 もう遅いから」

 三つ目の七不思議、トイレの花子さんまで行ったところで、イチが言った。

「花子さん、なんで出ないのよ~っ」
と紀代が暴れたので、通りかかったあの頭に白い三角をした人が気を利かせて、左から三番目のトイレから顔を出してくれたりしたのだが。

 どのみち、紀代には見えていなかった。

「えーっ。
 まだ半分も行ってないのにっ」
と文句を言う紀代に、乃ノ子は言う。

「でもさ。
 七不思議って、全部知ったら、なにかが起こるって言うじゃない」

「なにかってなによ……」

「いや、知らないけど、なにかよ……」
と適当な話をしているうちに、結局、帰ることになった。

 先生がやってきて、
「お前ら、なにやってんだ。
 さっさと帰れー」
と言ってきたからだ。

 先生が去ったあと、乃ノ子はイチを振り向いて訊く。

「今、先生、イチさんに誰だとか言わなかったですね。
 見えてなかったんですかね?」

 また消えてました? と。

「隠れてたんだよ……。
 面倒臭いことになったら嫌だから」

「それを言うなら、私なんて隠れてないのに、なにも言われなかったんだけどっ」

 私、消えてるっ?
 みんな、私、見えてるっ?
と彩也子が悲鳴を上げる。

「あのー、単に、うちの生徒だと思われたんじゃないですか?」
と苦笑いして紀代が言ったが、

「いやいやいやっ。
 それはそれで問題でしょうよ。

 私の大人としての魅力は何処に……っ」
と彩也子はわめいていた。

「だって、そもそも私たちとそんな年違わないじゃん。
 大人って程じゃ……」
と乃ノ子は真実を口にしかけて、手にしていたVRゴーグルを取られ、それで額を小突かれた。



 職員室を覗いて、
「すみません。
 忘れ物とってきました。

 帰りますー」
とみんなで言う。

 かなり長い間校舎で遊んでいたのを先生たちも知っているだろうから、見え見えの嘘だったが。

「おう、早く帰れよー」
と残っていた先生たちは怠惰に言ってきただけだった。

「おっと、VRゴーグル戻してこないと」
 乃ノ子がまだ持っていたゴーグルを見ながらそう呟くと、ひっ、という顔を神川がした。

「お前、それ、何処に戻すつもりだっ?」

「神川の机」
と女子全員で声を合わせて言う。

「そもそもそれ、俺のじゃねえしっ。
 拾ったお弁当屋に戻せよ、付いてくからっ」
と神川は叫んで、彩也子に、

「冗談じゃないわよっ。
 白骨死体が現れたらどうすんのよっ。

 そして、その白骨死体が私だったら、どうすんのよーっ」
と叫び返されていた。



 みんなを先に返し、疲れたという彩也子も駅まで送っていった。

 そのあと、乃ノ子はイチと二人で、
「落とし物です」
と交番にあのVRゴーグルを届ける。

「わざわざありがとう。
 じゃあ、書類作るからちょっと待ってね。

 これ、何処で拾ったの?」

 そう年配のおまわりさんに問われ、乃ノ子は小首を傾げ、

「えーと。
 ちょっと前にお弁当屋さんのところで。

 ……それと、今日は学校で」
と言って、

「なんで落とし物移動してんのっ!?
 っていうか、なんで二回拾ってんのっ?」
と叫ばれた。


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