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呪いの(?)雛人形
来たよ
しおりを挟む「会長は私たちと居たのに、勝手に戻ってましたもんね、雛人形。
会長が無意識のうちにやっているのなら、会長に催眠術とかかけたらわかりそうですけど」
そう乃ノ子が言うと、
「催眠術か……」
とイチは呟く。
なんとなくその流れで、
「雛人形にかけてみるとか」
と乃ノ子は言ってみた。
「雛人形に魂が宿ってて。
それがなにかに操られてやっているのなら。
雛人形に催眠術をかけてみたら、なにかしゃべるかも」
「雛人形に?
……お前やれよ。
俺は嫌だ。
変な人かと思われる」
私は変な人だと思われても良いのですか。
そのための助手ですか、と思う乃ノ子は、雛人形の段飾りの前で、
「あなたは眠くな~る」
と言いながら、糸にぶら下げた五円玉を振る自分を想像してみた。
確かにちょっとご遠慮したい、と思ったとき、背後から声がした。
「催眠術かあ。
乃ノ子ちゃんにかけてみたいよね、一度」
振り返ると、ジュンペイが立っていた。
ジュンペイは相変わらず、何処を変装してるつもりなんですか、と問いたくなるような、メガネだけの変装だ。
「おい」
とイチが弟を見て眉をひそめる。
「その仮装でどうにかなると思ってるのか」
「……変装だよ」
とジュンペイは言い直したが。
何処も変装にも仮装にもなっておらず、早速気づいた会長が孫娘を呼んでいた。
ジュンペイは嫌がりもせず、
「内緒だよ」
と言いながら、サインしていた。
その様子を見て、
「すみません。
私もいいですか?」
と客のおじさんもその辺にあった木の小さな椅子を買い、そこに書いてくれとサインをねだる。
愛想よくサインして、握手までしているジュンペイを見て、
「大人気だな」
とどうでもよさそうにイチは呟く。
客も孫娘もはけたあとで、ジュンペイはこちらを振り向いた。
「兄貴はおばあちゃんとか幼児に大人気だよね、やさしいから。
……僕はいまいち、やさしくないからね」
ととてもそうは思えない柔和な笑顔でジュンペイは言う。
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