都市伝説探偵イチ2 ~はじまりのイサキ~

菱沼あゆ

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呪いの(?)雛人形

おじさんの正体

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 結局、ジュンペイはタクシーで移動し、乃ノ子とイチが車で帰った。

 車の中で乃ノ子は言う。

「さっきの人、気になりますね」

「さっきの人?」

 前を見たままイチが訊き返してくる。

「さっき物陰に居た競馬場のおじさんです」

「競馬場のおじさん……?」
とまたイチに訊き返されて気がついた。

 そうか。
 競馬場のおじさんなのは、私の心の中だけだったな。

「さっき、イチさんが写真に撮って何処かに送ってた人ですよ」

 ああ、とイチは頷く。

「あの人、私のこと知ってたんじゃないですかね?

『暗黒の乃ノ子っ!?』
 って叫んでましたけど」

 あれはあまりにも厨二病なフレーズに驚いたから、というわけではなかったのではないか。

「暗黒の乃ノ子という呼び名を知っているのは……」
 まで乃ノ子が言ったとき、車が止まった。

 少し渋めのカラーの中華料理店の看板の下でジュンペイが待っていた。

 小さく手を振ったあと、駐車場はあっち、と指差してくる。

 そっちに停め直したあと、車を降りたイチは乃ノ子の側に来ると、いきなり頭をぐしゃぐしゃ撫でてきた。

「乃ノ子、莫迦になれ~」
と言いながら。

「いやいやいやっ。
 なんなんですかっ」

 乃ノ子は手に持っていたマリンキャスケットで頭を守る。

「いや、今、なんか顔がちょっと賢くなって、イサキっぽくなってたから」

 スタスタ歩いていってしまうイチの背に向かい、乃ノ子は叫んだ。

「いやいやっ。
 普段の私、莫迦っぽいですか~っ!?」

 まったくと思いながら、歩いていこうとした乃ノ子の目に、建物の壁沿いに置いてあるポリバケツが止まった。

 乃ノ子の家の辺りは、全部ステンレス製の共同ゴミ入れになっているので、あまりこの手のポリバケツは見かけない。

 あの不思議な場所で見たポリバケツを思い出し、ふと、開けてみたくなったが。

 いや、汚いよな、と思って、やめた。

 黒いスーツのイチについて歩きながら、あのポリバケツの裏に書いてあった文字の羅列を思い出す。


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