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高級魔法人形・アネモネ②
しおりを挟む「ご命令であれば善処します」
魔法人形はぱちっと瞬きをして無表情でそう言うと、フィンは優しく笑った。
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「むむ…………」
チェスの本を読みながら、魔法人形と対決するフィン。チェス自体貴族の遊びなため、フィンはもちろん知るはずもなかったのだが、本を読みながら真剣に取り組んでいた。魔法人形も、聞かれればルールを説明し、時折アドバイスをしながら10回ほど試合に付き合っている。
「チェックメイト」
魔法人形がそういうと、フィンは口をあんぐりさせる。
「あー!!!なんでー!!!」
「クイーンはナナメに動かせますので、ここが空いているとそうなるます」
「ああ……見落としてた~。ねぇドールさん、30分後にもう一回遊んでくれない!?」
フィンが手を合わせぎゅっと目を瞑り魔法人形にお願いすると、魔法人形はコクリと頷いた。側から見れば遊びたがりの弟と、無口で真面目な姉のような雰囲気。
「命令さえ頂ければ、いつでもお相手致します」
人形に対しても、まるで生きている者へ話しかけるような態度のフィンに、魔法人形は対応方法の模索をしながら会話をするようになった。
「ありがとう……!!」
フィンはそれから表情をスッと変えて驚くべき集中力を発揮し、本を速読していく。ぶつぶつと何かを呟きながら、本を捲る手が素早くなっていくのをみた魔法人形は、その姿をただじっと見つめていた。
30分経つ頃に、フィンはパタリと本を閉じ大きく深呼吸をする。
「覚えた!!!いざ勝負!!!」
「承知いたしました」
魔法人形は無表情で頷く。
「あ……ねぇ!ドールさん」
「はい」
「この勝負、僕が勝ったらお願いがあるんだ。名前を付けたいなーなんて」
フィンは真剣な表情で、魔法人形の赤い瞳を見つめる。
「名前、ですか。勝たずとも、言ってくださればご命令はお聞きしますが」
わざわざゲームで勝つという条件を付けるフィンに、魔法人形は首を傾けた。
「それじゃあゲームにならないの!」
フィンは魔法人形相手にすっかり無邪気な態度で接するようになり、楽しそうに笑みを浮かべる。
「……仰せのままに」
フィンは魔法人形の返事を聞くと、ニコッと笑みを浮かべ、白いポーンの駒を手に取った。魔法人形は、姿勢を変えず盤上を見つめる。
「絶対に手加減しないでね、ドールさん」
「はい」
盤上を見るフィンの澄んだ茶色の瞳が揺れ、やがて駒を置く音だけが響き渡っていった。
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