【完結】大魔法師様は運命の恋人を溺愛中。〜魔法学院編〜

みるくくらうん

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一年生・春の章

シルフクイーンの祝福②

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 ミネルウァのアリーナでは、一年A組の生徒がぞろぞろと集まり、全員が教科書と杖を用意している。


「こんな複雑な魔法陣、上手く組めないって。絶対失敗する……スライムしか召喚出来ない……」


 セオドアは教科書を見ながら呟き理論を頭に入れるが、召喚魔法は特殊で繊細な魔法なため、不安げに項垂れた。


「別にドラゴン召喚しろって言われてる訳じゃねーだろ。何がそんなに難しい?」

「出来る奴は出来ない奴の気持ちが分かんないって本当なんだなー」


 セオドアは深く溜息をしながら恨めしそうにルイを見ると、ルイはセオドアの肩を叩き笑う。


「悪かったよ。教えてやるって」

「ありがたいけどさー、これって結構センスも必要じゃねー?フィンちゃんやった事ある?」

「んーん?初めてやるよ、できるかな」


 フィンは杖を持ちウキウキしながら横に揺れる。


「召喚魔法って古代魔法とか特級魔法までは行かないけど、呼び出すモノによってはアホみたいに魔力使うから、ガス欠には気を付けろ」


 ルイはピンッと指を立てながらフィンに詰め寄る。


「魔力補助の腕輪もあるし大丈夫!(本当は魔力を借りるんだけど!)」


 フィンは左腕を掲げ、碧色の魔石が埋め込まれた腕輪を見せると、二人はじっとそれを見つめる。


「え、なんかスゲーのつけてるね」


 セオドアは目を凝らしその腕輪を観察する。魔石の奥で光る無数の魔法陣を認識すると、驚きの表情を見せた。


「ルイ、もっと奥の方見てみろよ、すごくねー?」

「どれどれ」


 ルイも同じように目を凝らし魔石を覗くと、セオドアと同じ反応を見せた。


「コレはどういう……何でこれだけの魔法陣が安定して魔石に定着して失活しないんだ!?」


 ルイはフィンの左腕を掴み、腕輪を指差し驚きの表情を浮かべる。


「うーん、分かんない!(やっぱこれすごいんだ……)」

「分かんないっておま……」



 ルイが問い詰めようとすると、授業開始の合図である鐘が鳴り響き、だだっ広いアリーナの中心にリリアナとジャスパーが箒で飛んで現れると、生徒達は自ずと整列し出す。


「(あ、せんせーじゃん……)」


 セオドアはドキッと胸を高鳴らせジャスパーを見るも、一瞬目が合っただけで、ジャスパーはすぐに目を逸らし無表情のままだった。


「(そっけないなぁー)」


 セオドアは余裕そうにフッと軽く笑みを浮かべると、やれやれと両手を広げる。



「はぁーいこんにちはぁー、午後は召喚魔法の時間ですよー」



 おっとりとした声色で話すリリアナに、生徒一同は注目した。
 ここ数ヶ月は座学が多かったため、実践の授業に緊張する者、高揚感を感じている者、不安げな者、反応は様々だったが、リリアナの抱擁感のある雰囲気は周囲を和ませていく。


「今日は実際に魔獣を召喚する授業になりまぁーす!ここには未来の大召喚士がいるかもしれませんねぇーフフフ」

「…………」


 横にいたジャスパーは杖を取り出し、アリーナの最も中心の位置に移動し始めた。



「召喚魔法は、危険を伴うこともありますのでぇー!念のため、アリーナ全体に防御魔法をかけたいとおもいまぁーす。ではランベール先生、お願いしますねー」

「はい」


 ジャスパーはリリアナの合図で杖を頭上に上げると、アリーナの上から徐々に防御魔法が生成されていく。
 何やらブツブツと呪文を唱えているが、それは生徒の耳には届かないぐらいの声量だった。



「完了しました。それでは私は邪魔にならない場所で待機しております」


 ジャスパーは軽く礼をしてその場を少し離れていく。


「はぁーい。ありがとうございますねー!(あら?ずっといてくれるのかしらー?ま、いっかぁー)」


 ジャスパーが頃合いを見て戻ってくるのではなく、その場にいる様子だったのをみたリリアナ。一瞬疑問に思うも、すぐに授業を始めた。

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