はるよ こい。

たみやえる

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見つけた

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 思わず出た呟きに、おやおやと驚いてしまう。すっかり肩入れしている。自然とそう思わせてしまうのがモテ子のモテ子たる所以かもしれない。


 話すつもりだったわけじゃない。
 しかし気づけば、話していた。
 聞いた途端、カゲの両目がキラキラと光を放ち始めた。
「……見つけた」
 ブルっと身震いして自分で自分を抱きしめ机に額を押し当てたカゲが低くうめいた。
「俺には気配しかわからないから。ずぅっと探してた。待っていたんだ……」
 寒い、寒い、と繰り返すからアヤは可哀想になって彼の黒い学ランの背中を何度もさすってやる。
 それでも震えは止まらなくて、カゲの座る椅子の足が床を弾いてガタガタ跳ね回った。
 異様な光景にすくむ前にアヤはカゲに被さり抱きしめていた。
 触れてみるとカゲの身体は芯から冷えているのか、昔、冬のある日、小学校の頃校庭の隅に設置されていた二宮金次郎像に戯れで張り付いた時のことを思い出した。
 あっちから冷たさが押し寄せてきて、肌のなかへ、その結晶がフラクタルに広がっていく感覚。
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