昼と夜の間の女

たみやえる

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 年齢的にはどストライクだが、人妻に手を出す趣味はない。これまでだってずっとそうしてきた。こうまで彼女のことを気にしてしまう理由は林自身にもわからなかった。


 昼休み、今日も外食しようと腰をあげた林に隣の女子社員が声をかけてきた。
「林さん、それネットで話題のハンドトリートメントじゃありません? 容器も可愛いんですよね。もしかして、誰かにプレゼントですか?」
 デスクに置いた小さな卵形の容器を指さされた。じろじろと不躾な目つきが林の気に触った。もそもそと羽織ったコートのポケットにしまうと、彼女は探るように見てくるから林はうんざりしてしまった。
「……別に。買ってきてって、知り合いに頼まれただけだよ」
と適当に答えてから、何を俺は言い訳してるんだ、と林は自分に腹を立てた。


 コンビニの女は、林が立ち寄る昼時だけ灰皿を出してくれる。ちょっとしたことでも手間だろう。好意を持たれていると思う。それにしても女の態度は素っ気ない。そもそもちゃんと話したことがない。申し訳に缶コーヒーを買う時に視線が絡む程度だ。こんにちは、とかいらっしゃいとか、そんなのは男女の会話のうちには入らない。

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