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第一部 「エルフの禁呪」編
終章 「雷の女帝のしもべ」たち
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おれたちは、今売り出し中の冒険者パーティ「暁の刃」だ。
リーダーである剣士の俺アーネスト、槍術士のヌーナン、盾使いのパルノフ、そして魔法使いのエミリアの四人からなるパーティだ。
全員、同じ村で育った幼なじみだ。
おれたちには、夢がある。
冒険者として活躍して、いつかは都にも上がり、そして「暁の刃」の名を、この国にとどろかすのだ。裕福になったら、まあ、少しでも村に寄付して、おれたちの村の生活をもっと良くしたいという望みもある。
そのために、日々、がんばっているのだが、道は遠い。
魔物は強い。
かけだしのおれたちでは、正直いって、まだまだ、力が及ばないことが多い。
今も、ダンジョンでたいへんなことになっている。
「ひぃいいいいい!」
エミリアの悲鳴。
エミリアは、銀色の糸でぐるぐる巻きにされ、ダンジョンの天井から吊り下げられていた。
「エミリア! 今、助ける!」
おれたちは、エミリアのもとに駆け寄る。
ダンジョンに、冒険者を狙う盗賊が出る、その盗賊を捕まえてほしいという依頼をギルドでみつけて、さっそく、ダンジョンに突入したおれたち。
しかし、盗賊など影も形もなく、あきらめて帰ろうとしたその時、いきなりエミリアのからだが銀の糸に包まれて、自由を奪われ、天井まではねあげられた。
なにものかの罠にかかってしまったのだ。
おれたちがエミリアのもとに近寄ると、ダンジョンの奥、いくつも突き出した、ごつごつした石筍のかげから、もぞりと、巨大な影があらわれた。
「うわぁ、で、出た!」
八本の足をもぞもぞと動かす、家ほどもある蜘蛛のからだに、人間の上半身、それも長い髪をふりみだした裸の女のからだが、上下逆に生えている。
さかさまの女の顔が、にたりと笑った。
「アラクネの女王だぁ!」
まずい、まずすぎる。
深い階層の、フロアボスレベルの怪物である。
どうして、おれたちがダンジョンに入ると、こんな、レベル外れの怪物ばかり出てくるのか?
おかしいじゃないか。
こんな化け物相手に、かけだしのおれたちになにができる。
でも、なんとしても、エミリアを助けなければ。
おれたちは、「暁の刃」は、ひとりでも欠けたら、だめなんだ。
行くしかない!
おれたちが、勇気をふりしぼって、アラクネに突撃しようとしたとき
「また、あんたたちじゃん……」
うしろで、聞きなれた声がした。
振りかえると、おれたちを見ている、四人の冒険者。
フレイルを手にした美しい銀髪のエルフ、あれは「麗しき雷の女帝」、伝説の大魔導師ルシア・ザイク。
その横に立つ、茫洋とした神秘的な少年は、アンバランサー・ユウ。
今、声を上げたのは魔剣を構えた獣人少女ジーナ。
そして、もうひとり、ローブを身にまとい杖をもつのは魔法使いのライラ。
世界の危機を救ったということで、今巷のうわさの中心となっている、スーパーパーティ「雷の女帝のしもべ」だ。
「盗賊を退治にきてみれば……、あんたらって、つくづく……」
ジーナさんが言う。
「た、助けて!」
「エミリアが捕まった!」
「なんで、この階層にこんな化け物が出るんだよぉ……」
「あんたたち、どういう運の持ち主なのか、ほんとうに感心するねえ」
とライラ。
「いや、そんなことはいいから、とにかく助けて!」
「しかたないわね、ジーナ、ライラ、やっちゃいなさい!」
ルシアさまが、凛とした声でいい、
「はいっ!」
獣人少女が魔剣イリニスティスを構えて、跳躍する!
その刀は、エミリアを拘束している銀の糸をすぱりと切断。
「ああーっ」
落下するエミリアに、アンバランサーが手をつきだし、エミリアのからだは空中を移動して、おれたちの前にそっと下ろされる。
「あたしはねえ、もう、蜘蛛にはさんざんつきあわされて、慣れてるのよ。アラクネごとき、なんでもないわよ。
神々の怒りよ天降り来たれ、地獄の雷撃!
雷撃よ、行けっ!」
魔法使いライラさんの放つ、青紫の魔法の雷が、大音声とともに大気を引き裂き、一発でアラクネを黒焦げにする!
「よし!」
結果をみとどけ、満足げにフレイルを立てる、大魔導師ルシア。
その横で、静かにほほえむ、アンバランサー。
――「雷の女帝のしもべ」か……。
おれは、その姿を目に焼き付けた。
なんだか、胸があつくなる。
がんばれば、いつかはおれたちも、こんなパーティになれるだろうか?
<アンバランサー・ユウ 第一編「エルフの禁呪」 完>
リーダーである剣士の俺アーネスト、槍術士のヌーナン、盾使いのパルノフ、そして魔法使いのエミリアの四人からなるパーティだ。
全員、同じ村で育った幼なじみだ。
おれたちには、夢がある。
冒険者として活躍して、いつかは都にも上がり、そして「暁の刃」の名を、この国にとどろかすのだ。裕福になったら、まあ、少しでも村に寄付して、おれたちの村の生活をもっと良くしたいという望みもある。
そのために、日々、がんばっているのだが、道は遠い。
魔物は強い。
かけだしのおれたちでは、正直いって、まだまだ、力が及ばないことが多い。
今も、ダンジョンでたいへんなことになっている。
「ひぃいいいいい!」
エミリアの悲鳴。
エミリアは、銀色の糸でぐるぐる巻きにされ、ダンジョンの天井から吊り下げられていた。
「エミリア! 今、助ける!」
おれたちは、エミリアのもとに駆け寄る。
ダンジョンに、冒険者を狙う盗賊が出る、その盗賊を捕まえてほしいという依頼をギルドでみつけて、さっそく、ダンジョンに突入したおれたち。
しかし、盗賊など影も形もなく、あきらめて帰ろうとしたその時、いきなりエミリアのからだが銀の糸に包まれて、自由を奪われ、天井まではねあげられた。
なにものかの罠にかかってしまったのだ。
おれたちがエミリアのもとに近寄ると、ダンジョンの奥、いくつも突き出した、ごつごつした石筍のかげから、もぞりと、巨大な影があらわれた。
「うわぁ、で、出た!」
八本の足をもぞもぞと動かす、家ほどもある蜘蛛のからだに、人間の上半身、それも長い髪をふりみだした裸の女のからだが、上下逆に生えている。
さかさまの女の顔が、にたりと笑った。
「アラクネの女王だぁ!」
まずい、まずすぎる。
深い階層の、フロアボスレベルの怪物である。
どうして、おれたちがダンジョンに入ると、こんな、レベル外れの怪物ばかり出てくるのか?
おかしいじゃないか。
こんな化け物相手に、かけだしのおれたちになにができる。
でも、なんとしても、エミリアを助けなければ。
おれたちは、「暁の刃」は、ひとりでも欠けたら、だめなんだ。
行くしかない!
おれたちが、勇気をふりしぼって、アラクネに突撃しようとしたとき
「また、あんたたちじゃん……」
うしろで、聞きなれた声がした。
振りかえると、おれたちを見ている、四人の冒険者。
フレイルを手にした美しい銀髪のエルフ、あれは「麗しき雷の女帝」、伝説の大魔導師ルシア・ザイク。
その横に立つ、茫洋とした神秘的な少年は、アンバランサー・ユウ。
今、声を上げたのは魔剣を構えた獣人少女ジーナ。
そして、もうひとり、ローブを身にまとい杖をもつのは魔法使いのライラ。
世界の危機を救ったということで、今巷のうわさの中心となっている、スーパーパーティ「雷の女帝のしもべ」だ。
「盗賊を退治にきてみれば……、あんたらって、つくづく……」
ジーナさんが言う。
「た、助けて!」
「エミリアが捕まった!」
「なんで、この階層にこんな化け物が出るんだよぉ……」
「あんたたち、どういう運の持ち主なのか、ほんとうに感心するねえ」
とライラ。
「いや、そんなことはいいから、とにかく助けて!」
「しかたないわね、ジーナ、ライラ、やっちゃいなさい!」
ルシアさまが、凛とした声でいい、
「はいっ!」
獣人少女が魔剣イリニスティスを構えて、跳躍する!
その刀は、エミリアを拘束している銀の糸をすぱりと切断。
「ああーっ」
落下するエミリアに、アンバランサーが手をつきだし、エミリアのからだは空中を移動して、おれたちの前にそっと下ろされる。
「あたしはねえ、もう、蜘蛛にはさんざんつきあわされて、慣れてるのよ。アラクネごとき、なんでもないわよ。
神々の怒りよ天降り来たれ、地獄の雷撃!
雷撃よ、行けっ!」
魔法使いライラさんの放つ、青紫の魔法の雷が、大音声とともに大気を引き裂き、一発でアラクネを黒焦げにする!
「よし!」
結果をみとどけ、満足げにフレイルを立てる、大魔導師ルシア。
その横で、静かにほほえむ、アンバランサー。
――「雷の女帝のしもべ」か……。
おれは、その姿を目に焼き付けた。
なんだか、胸があつくなる。
がんばれば、いつかはおれたちも、こんなパーティになれるだろうか?
<アンバランサー・ユウ 第一編「エルフの禁呪」 完>
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