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アンバランサー・ユウと世界の均衡「星の船」編
わたしたちは、フラグと戦う。
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「これは、おかしい」
わたしたちは、荒野のなかの一本道を進んでいた。
見晴らしはよく、わたしたちキャラバン隊の姿もよく見える代わりに、敵にも隠れる場所がなく、もし襲撃してくるとしても、かなり前から発見できる、そんな場所であった。
狙われていると分かった以上、ぎゃくにこういうルートの方が安全度が高い――はずだった。
ところが、その一本道をわたしたちが進むうち、しだいに日が陰り始めたのだ。
さっきまで、雲一つなかったはずだが、まるで嵐の前のように、日の光がさえぎられ、暗くなり始めている。
霧だ。
いつのまにか、霧が発生し、わたしたちを包んでいるのだ。
あまりに不自然だ。
「これって……」
わたしとジーナは顔を見合わせた。
二人の頭にあったのは、あの、エルフの里を石に変えようとした、禁呪の霧だ。
さいわい、この霧は、ただ視界を悪くするだけで、ふれたものに呪いをおよぼすようなことはなさそうだが……。
霧はどんどん濃くなっていき、ついには、前をいく馬車の姿もおぼろげにかすみはじめた。
まだ正午に近いはずだが、あたりは、まるで夕暮れのような暗さになっている。
「みんな、警戒をおこたるな」
リベルタスさんの言葉がひびく。
ヒュウン!
と、霧の中を、風音をたてて、何かが飛来した!
ガツン! ガツン! ガツン!
飛んできたのは幾本もの鋭い矢である。
矢は、わたしたちキャラバンを囲むように、地面に突き立った。
馬がおどろいて、前足を跳ね上げ、後ろ足立ちになろうとするのを、御者が必死で制止する。
「いかん、突っ切れ!」
なんとか制御をとりもどし、前進しようとするわたしたちの前に、
ヒュウン! ヒュウン! ヒュウン!
今度は、赤く尾を引いて、火矢が襲来し、行くてを阻むように突き立つ。
火矢の一部は、幌馬車の一台にあたり、乗員があわてて消火を始めた。
「我々ハ、盗賊団『地獄の猟犬』デアル。抵抗シテモ、ムダダ……」
バタバタと羽音をたてて近づいてきた、敵方の事告げ鳥が、耳障りな声で通告する。
「降伏セヨ、命ハトラナイ」
「何が望みだ?」
「幌馬車ノ積荷スベテ、ソシテ……」
「そして?」
「神官見習イノ娘ヲ、ヒキワタシテイタダク」
アーダが蒼白な顔になった。
リベルタスさんが、にやりと笑い、
「はっ、ふざけるな。やなこった!」
目にも止まらない速さで短刀を投げつけた。
「ギャッ!」
見事に事告げ鳥に命中。事告げ鳥は墜落して、消えた。
「敵の人数は、三十人くらいです。こちらの戦力は十八人、数で行けば、そう引けをとらないでしょう」
ユウが、力をつかって気配をさぐったのだろう、報告した。
「あたしも、そのぐらいだと思います」
ジーナも獣人族の超感覚を働かせていった。
「こちら一人に、敵二人ぐらいか。なら、どうってことないな」
リベルタスさんが不敵に笑う。
「おいおい、俺らもその十八人にはいってるのかなあ?」
「そりゃそうだろ」
「ひぃいいだいじょうぶかな……」
「盗賊こわい……」
不安な会話を「暁の刃」が交わしている。
あんたらねえ……。
「問題は、ふつうならこのていどの戦力では襲ってこないはずということです。
こちらの戦力もわかっているわけですから。
これは、なにか、隠し玉がある」
「古代文明のなにか、か?」
「可能性はあります。警戒は必要です」
「わかった! 戦闘要員以外は、防御馬車の陰に!」
リベルタスさんが指示を下す。
ヒュウン! ヒュウン! ヒュウン!
火矢が飛んでくる。今度は、警告ではなく、完全に殺傷をねらっている。
「えぃ!」
ジーナがイリニスティスで、火矢をなぎはらう。
「火と風の精霊が、お互いの周りを廻るとき熱が生じる、炎球弾!」
こちらの魔法使いが、集団で魔法の火球を放つ!
「ぎゃっ!」
悲鳴が遠くから聞こえた。敵に着弾したようだ。
向こうから、魔法攻撃が来ないのは、この異常な霧を維持することに力を注いでいるのか。
たしかに、この霧がなければ、こんな簡単には襲撃できない。
「神々の怒りよ天降り来れ、地獄の雷撃!」
わたしも、これは本当にルシア先生直伝の雷撃を放った!
紫の雷が、霧をジグザグに引き裂いていく。
「うっぎゃああ」
うん、当たったようだ。
「す、すげぇ……女帝の後継者、こわいよ」
後ろで声がする。
だから、あんたらねえ……。
ヒュウン!
わたしの前に飛んできた矢を、ジーナがさっと打ち払う。
「ホラね、ライラ、あんたがさんざんフラグをたてたからだよ」
「いや、これって、わたしのせいなの?」
霧の向こうにちらっとみえた人影に詠唱する。
「水と土、風の混合により氷の季節来たる、氷柱の槍!」
生み出された氷の槍が人影にむかって、光を放ちながら突き進み
「ぐわっ」
これも命中し地面に倒れ伏す。
「ひえっ、また新しい魔法だ! ライラさんこわいよ……」
「暁の刃」が騒いでいる。
だからさあ、あんたら、なにしにきてるのよ……。
そのときだ。
「危ない! くる! みんな伏せて!」
ユウが緊張した声で叫んだ。
その瞬間、
シュオン!
霧を貫いて赤い光が走り、
「うわーっ!」
馬車から叫びが上がる。
「しまった、れーざーだ!」
ユウがつぶやく。
「ウォリスがやられた!」
そんな声が聞こえた。
「ライラ、傷を見に行って! 治癒魔法、全力で使って!」
「はいっ」
ユウに言われ、わたしは馬車に駆けつける。
「おい、ウォリス、しっかりしろ! 死んだらだめだ!」
そこでは、ウィリスさんが血塗れになって、横たわっていた。
右胸に、丸い小さな焼け焦げた穴が開いている。
そこからの出血は多くないが、激しく喀血していた。
(あのときのユウと同じだ!)
おそらく、ユウの時みたいに、肺に穴が開いたのだ。
顔色がどんどん悪くなる。
まずい!
わたしは、あのときのことを思い出しながら、治癒の力を注ぎ込む。
だが、ああ、もうひと押しが足りない。
だめか? だめなのか?
「魔力が足りない!」
わたしは思わず声を上げた。
そのとき、そのひと押しがわたしの後ろから来た!
治癒の魔力が、わたしの中に追加される。
ふりかえると、「暁の刃」の魔法使いエミリアが、必死な顔で、わたしに杖を向け、治癒の魔力を送り込んでいた。
それはたしかに、魔力としてはそんなに多いものではなかったが、今、必要とされるひと押しには、それで十分だったのだ。
ウォリスさんのなかで、治癒の力が働き始めるのが分かった。
顔色も改善し始める。
やるじゃん、エミリア!
わたしは、エミリアに「よくやった!」サインを送った。
エミリアは、それを見てほっとした顔をしたが、お約束どおりそこで力を使い果たし、へなへなとその場にへたりこんだ。
うん、最後まで期待をうらぎらないね、このパーティは。
敵の事告げ鳥が再びやってきた。
「ヒヒヒヒヒ、ドウダ、古代武器ノ威力ハ。
アキラメテ、ワレ――」
グシャ!
事告げ鳥は、言葉を最後まで発することはできなかった。
一瞬で押し潰されるように、地面に叩きつけられて、消滅した。
「あれは、ユウさん、そうとう、怒ってるよ」
とジーナが言う。
ユウの、アンバランサーとしての力が、危険なほど、ふつふつと周囲に満ちてくるのがわかる。
シュオン!
再度、れーざーとかいう赤い凶暴な光が発射されたが、その光は、ユウの直前で、ぐいっと曲がり、空のかなたにのびていった。
シュオン! シュオン! シュオン!
焦ったように、なんども赤い光が伸びてくるが、すべてユウの前で弾かれる。
「いちど、その威力とやら、自分自身で味わってみろ!」
ユウに向けて再度放たれた光が、反射されたように方向を逆転してもどっていった!
「ギャアアーッ!」
霧の彼方から、断末魔の叫び声が聞こえた。
「この武器は、今のこの世界にあってはならない」
ユウの言葉とともに、ずうん! という振動と、バキバキ、ベキベキという激しい音が響き渡り、
ドドドオオン!
霧の向こうで爆発が起こった。
みるみる霧が晴れていく。
いまの爆発に巻き込まれ、霧を発生させていた魔法使いも倒れたのだろう。
「よし、いまだ! 戦闘部隊、全員突撃!!」
リベルタスさんが号令をかけ、
「おう!!」
我が陣営の冒険者が、武器を手に、いっせいに突進する!
「うーん、あいつら、れーざーを使ってきたか。のくとびじょんも持ってたみたいだな」
そうつぶやくユウに、
「ああ、あの光はレーザー光線でしたか……」
と、納得したようなアーダの言葉。
なんだか、アーダって、異常に古代機械に詳しくない?
古代武器を使っていた、盗賊団の首領と、魔法使い、およびその近くにいたものたちは、爆発によって、あとかたもなく吹き飛ばされていた。その場所は、今や、地面がえぐれて、大きな窪地が生じていた。
「うーん……ウォリスさんがあんな目にあったんで、かっとなって、ちょっとやりすぎた……」
とユウが頭をかいた。
「ほんとうなら、首領は生かしておいて情報をとらないと……」
古代武器を破壊され、首領と魔法使いも失った盗賊団は、もはやわたしたちの敵ではない。
生き残りが必死で抵抗するが、あっという間に制圧された。
「足りぬ、これしきでは血が足りぬぞ!」
「ちょっと、ジーナ、またイリニスティスがへんなこといってるわよ!」
「やった……」
「俺ら、みんな生きのこったな……」
「はあ、やれやれ……こわかった」
「ふぅ……魔力切れです……」
「暁の刃」が話している。
あんたらねえ……。
まあ、正直だけどさ。
でも、エミリアだけは良くやったな。あとで褒めてあげよう……。
わたしたちは、荒野のなかの一本道を進んでいた。
見晴らしはよく、わたしたちキャラバン隊の姿もよく見える代わりに、敵にも隠れる場所がなく、もし襲撃してくるとしても、かなり前から発見できる、そんな場所であった。
狙われていると分かった以上、ぎゃくにこういうルートの方が安全度が高い――はずだった。
ところが、その一本道をわたしたちが進むうち、しだいに日が陰り始めたのだ。
さっきまで、雲一つなかったはずだが、まるで嵐の前のように、日の光がさえぎられ、暗くなり始めている。
霧だ。
いつのまにか、霧が発生し、わたしたちを包んでいるのだ。
あまりに不自然だ。
「これって……」
わたしとジーナは顔を見合わせた。
二人の頭にあったのは、あの、エルフの里を石に変えようとした、禁呪の霧だ。
さいわい、この霧は、ただ視界を悪くするだけで、ふれたものに呪いをおよぼすようなことはなさそうだが……。
霧はどんどん濃くなっていき、ついには、前をいく馬車の姿もおぼろげにかすみはじめた。
まだ正午に近いはずだが、あたりは、まるで夕暮れのような暗さになっている。
「みんな、警戒をおこたるな」
リベルタスさんの言葉がひびく。
ヒュウン!
と、霧の中を、風音をたてて、何かが飛来した!
ガツン! ガツン! ガツン!
飛んできたのは幾本もの鋭い矢である。
矢は、わたしたちキャラバンを囲むように、地面に突き立った。
馬がおどろいて、前足を跳ね上げ、後ろ足立ちになろうとするのを、御者が必死で制止する。
「いかん、突っ切れ!」
なんとか制御をとりもどし、前進しようとするわたしたちの前に、
ヒュウン! ヒュウン! ヒュウン!
今度は、赤く尾を引いて、火矢が襲来し、行くてを阻むように突き立つ。
火矢の一部は、幌馬車の一台にあたり、乗員があわてて消火を始めた。
「我々ハ、盗賊団『地獄の猟犬』デアル。抵抗シテモ、ムダダ……」
バタバタと羽音をたてて近づいてきた、敵方の事告げ鳥が、耳障りな声で通告する。
「降伏セヨ、命ハトラナイ」
「何が望みだ?」
「幌馬車ノ積荷スベテ、ソシテ……」
「そして?」
「神官見習イノ娘ヲ、ヒキワタシテイタダク」
アーダが蒼白な顔になった。
リベルタスさんが、にやりと笑い、
「はっ、ふざけるな。やなこった!」
目にも止まらない速さで短刀を投げつけた。
「ギャッ!」
見事に事告げ鳥に命中。事告げ鳥は墜落して、消えた。
「敵の人数は、三十人くらいです。こちらの戦力は十八人、数で行けば、そう引けをとらないでしょう」
ユウが、力をつかって気配をさぐったのだろう、報告した。
「あたしも、そのぐらいだと思います」
ジーナも獣人族の超感覚を働かせていった。
「こちら一人に、敵二人ぐらいか。なら、どうってことないな」
リベルタスさんが不敵に笑う。
「おいおい、俺らもその十八人にはいってるのかなあ?」
「そりゃそうだろ」
「ひぃいいだいじょうぶかな……」
「盗賊こわい……」
不安な会話を「暁の刃」が交わしている。
あんたらねえ……。
「問題は、ふつうならこのていどの戦力では襲ってこないはずということです。
こちらの戦力もわかっているわけですから。
これは、なにか、隠し玉がある」
「古代文明のなにか、か?」
「可能性はあります。警戒は必要です」
「わかった! 戦闘要員以外は、防御馬車の陰に!」
リベルタスさんが指示を下す。
ヒュウン! ヒュウン! ヒュウン!
火矢が飛んでくる。今度は、警告ではなく、完全に殺傷をねらっている。
「えぃ!」
ジーナがイリニスティスで、火矢をなぎはらう。
「火と風の精霊が、お互いの周りを廻るとき熱が生じる、炎球弾!」
こちらの魔法使いが、集団で魔法の火球を放つ!
「ぎゃっ!」
悲鳴が遠くから聞こえた。敵に着弾したようだ。
向こうから、魔法攻撃が来ないのは、この異常な霧を維持することに力を注いでいるのか。
たしかに、この霧がなければ、こんな簡単には襲撃できない。
「神々の怒りよ天降り来れ、地獄の雷撃!」
わたしも、これは本当にルシア先生直伝の雷撃を放った!
紫の雷が、霧をジグザグに引き裂いていく。
「うっぎゃああ」
うん、当たったようだ。
「す、すげぇ……女帝の後継者、こわいよ」
後ろで声がする。
だから、あんたらねえ……。
ヒュウン!
わたしの前に飛んできた矢を、ジーナがさっと打ち払う。
「ホラね、ライラ、あんたがさんざんフラグをたてたからだよ」
「いや、これって、わたしのせいなの?」
霧の向こうにちらっとみえた人影に詠唱する。
「水と土、風の混合により氷の季節来たる、氷柱の槍!」
生み出された氷の槍が人影にむかって、光を放ちながら突き進み
「ぐわっ」
これも命中し地面に倒れ伏す。
「ひえっ、また新しい魔法だ! ライラさんこわいよ……」
「暁の刃」が騒いでいる。
だからさあ、あんたら、なにしにきてるのよ……。
そのときだ。
「危ない! くる! みんな伏せて!」
ユウが緊張した声で叫んだ。
その瞬間、
シュオン!
霧を貫いて赤い光が走り、
「うわーっ!」
馬車から叫びが上がる。
「しまった、れーざーだ!」
ユウがつぶやく。
「ウォリスがやられた!」
そんな声が聞こえた。
「ライラ、傷を見に行って! 治癒魔法、全力で使って!」
「はいっ」
ユウに言われ、わたしは馬車に駆けつける。
「おい、ウォリス、しっかりしろ! 死んだらだめだ!」
そこでは、ウィリスさんが血塗れになって、横たわっていた。
右胸に、丸い小さな焼け焦げた穴が開いている。
そこからの出血は多くないが、激しく喀血していた。
(あのときのユウと同じだ!)
おそらく、ユウの時みたいに、肺に穴が開いたのだ。
顔色がどんどん悪くなる。
まずい!
わたしは、あのときのことを思い出しながら、治癒の力を注ぎ込む。
だが、ああ、もうひと押しが足りない。
だめか? だめなのか?
「魔力が足りない!」
わたしは思わず声を上げた。
そのとき、そのひと押しがわたしの後ろから来た!
治癒の魔力が、わたしの中に追加される。
ふりかえると、「暁の刃」の魔法使いエミリアが、必死な顔で、わたしに杖を向け、治癒の魔力を送り込んでいた。
それはたしかに、魔力としてはそんなに多いものではなかったが、今、必要とされるひと押しには、それで十分だったのだ。
ウォリスさんのなかで、治癒の力が働き始めるのが分かった。
顔色も改善し始める。
やるじゃん、エミリア!
わたしは、エミリアに「よくやった!」サインを送った。
エミリアは、それを見てほっとした顔をしたが、お約束どおりそこで力を使い果たし、へなへなとその場にへたりこんだ。
うん、最後まで期待をうらぎらないね、このパーティは。
敵の事告げ鳥が再びやってきた。
「ヒヒヒヒヒ、ドウダ、古代武器ノ威力ハ。
アキラメテ、ワレ――」
グシャ!
事告げ鳥は、言葉を最後まで発することはできなかった。
一瞬で押し潰されるように、地面に叩きつけられて、消滅した。
「あれは、ユウさん、そうとう、怒ってるよ」
とジーナが言う。
ユウの、アンバランサーとしての力が、危険なほど、ふつふつと周囲に満ちてくるのがわかる。
シュオン!
再度、れーざーとかいう赤い凶暴な光が発射されたが、その光は、ユウの直前で、ぐいっと曲がり、空のかなたにのびていった。
シュオン! シュオン! シュオン!
焦ったように、なんども赤い光が伸びてくるが、すべてユウの前で弾かれる。
「いちど、その威力とやら、自分自身で味わってみろ!」
ユウに向けて再度放たれた光が、反射されたように方向を逆転してもどっていった!
「ギャアアーッ!」
霧の彼方から、断末魔の叫び声が聞こえた。
「この武器は、今のこの世界にあってはならない」
ユウの言葉とともに、ずうん! という振動と、バキバキ、ベキベキという激しい音が響き渡り、
ドドドオオン!
霧の向こうで爆発が起こった。
みるみる霧が晴れていく。
いまの爆発に巻き込まれ、霧を発生させていた魔法使いも倒れたのだろう。
「よし、いまだ! 戦闘部隊、全員突撃!!」
リベルタスさんが号令をかけ、
「おう!!」
我が陣営の冒険者が、武器を手に、いっせいに突進する!
「うーん、あいつら、れーざーを使ってきたか。のくとびじょんも持ってたみたいだな」
そうつぶやくユウに、
「ああ、あの光はレーザー光線でしたか……」
と、納得したようなアーダの言葉。
なんだか、アーダって、異常に古代機械に詳しくない?
古代武器を使っていた、盗賊団の首領と、魔法使い、およびその近くにいたものたちは、爆発によって、あとかたもなく吹き飛ばされていた。その場所は、今や、地面がえぐれて、大きな窪地が生じていた。
「うーん……ウォリスさんがあんな目にあったんで、かっとなって、ちょっとやりすぎた……」
とユウが頭をかいた。
「ほんとうなら、首領は生かしておいて情報をとらないと……」
古代武器を破壊され、首領と魔法使いも失った盗賊団は、もはやわたしたちの敵ではない。
生き残りが必死で抵抗するが、あっという間に制圧された。
「足りぬ、これしきでは血が足りぬぞ!」
「ちょっと、ジーナ、またイリニスティスがへんなこといってるわよ!」
「やった……」
「俺ら、みんな生きのこったな……」
「はあ、やれやれ……こわかった」
「ふぅ……魔力切れです……」
「暁の刃」が話している。
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