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アンバランサー・ユウと世界の均衡「星の船」編
わたしだけ、変装になってない。
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「あたしらは、別に実技審査なんか受けなかったけど?」
と、ジーナが不思議そうな顔できいた。
「実績が十分なら、実技審査は必要ないですから」
と、フェリシアさん。
「それに、みなさんの場合、師匠が師匠ですからねえ……」
「まあ、たしかにいきなりダンジョンに連れて行かれ、ルシア先生がヘイトで呼び寄せた、コボルドキング率いる軍団と戦ったり、クラーケンの相手をしたり、だもんね、あれが実技審査みたいなもんかも……」
「えっ、それは……」
フェリシアさんも驚いている。
「ということは、今日の受験者というのは」
「そうですね。ピンからキリまで。まだ、あまり実戦経験のない駆け出しもいますし、なにかの事情で十分なクエストをこなせなかったけど、実力はそれなりにあるので、評価する必要があるものとか」
「なるほど」
「まあ、まれに、実力はあるのですが、倫理的にギルドカードを与えてはいけないような連中もいて、そういう輩を門前払いするために行うこともありますが」
「いいね、いいね、あたし、そういうの大好き! うう、来ないかな?」
と、ジーナが嬉しそうにいった。
控え室で支度を調えていると、ユウが
「ねえ、ライラ、ジーナ」
「なんですか?」
「あんまり、ぼくたち、目立たない方が良いと思うんだよ」
「いまさら、なにいってるんですか」
「そうだよ、これで目立たないわけないじゃん」
「それに、ユウさん、わたしたちがぶざまな姿をみせたら、ルシア先生の名前に泥を塗ることになりますからね!」
「だね! あたしは全力でやるよ!!」
「うん、それはそうだけど、ぼくに、良い考えがあるんだ」
「へえ、どんな考えですか」
そして。
闘技場にあつまった冒険者をまえにして、ギルド長が熱弁をふるった。
「実技審査参加者の諸君! 本日参加の君たちは、たいへん幸運です。
たまたま、このギルドを訪れた、あの『雷の女帝のしもべ』が、なんと、特別に審査官をひきうけてくださったのです。
多忙をきわめる彼らは、君たちが、優れた冒険者として今後活躍できるようにと、こころよく、無償でひきうけてくだっさたのであります!」
「おおっ?!」
「すげー!」
参加者がどよめく。
「なんか、かってにずいぶん話を盛っている感じがする……」
「さすがギルド長ともなると、したたかだなあ」
などとわたしたちは後ろで演説を聞いていた。
「それでは、『雷の女帝のしもべ』のみなさん、どうぞ、いらして下さい!」
演説がおわり、ギルド長が、わたしたちに手をふった。
「しょうがないね、行こうか」
「うう、果たし合い、楽しみ」
「ジーナ、果たし合いは違うから」
わたしたちは、ギルド長のうしろからさっそうと登場し、冒険者たちの前に立った!
「えっ?」
「えっ?」
ざわついていた冒険者たちが、いっしゅんに静まる。
「ユウさん……」
わたしは小声で
「これ、なにかしくじってないですか?」
「いやー、そんなはずないよ。ぼくはいいと思うけど」
「でも、なにか、みんな静まりかえってますよ」
「ぼくらがかっこいいから、見とれてるんじゃないの?」
とてもそうは思えない。
ユウは、要はぼくたちだとわからなければいいんだからと、変装するように提案したのだ。
変装なんていっても、急にできませんよ、と反論すると、だいじょうぶ、用意してあるから、そういって、例のいんふぃにてぃ・ぼっくすから、いつこんなものを用意したというのか、次々におかしな小道具をとりだしてきた。
そしてわたしたちが、今、どんな格好になっているかというと。
まず、ユウ。
頭に白い布をまいて(たーばんというらしい)色の付いた覆いを目の前につけて(さんぐらす、というらしい)なにか南国風のだぶだぶの服をきている。手には、ユウが使ったことなんかいちども見たことがない、革の鞭。
怪しい。怪しすぎる。
この格好、なにかモデルがあるんですか、と聞いたら
「うん、はりまお」
と、わけのわからないことをいう。
そういう人が、ユウの世界にはいるらしい。
きっと、この「はりまお」という人は、向こうでも怪しい人なんだと思う。
ジーナは。
いちおう、剣士と言える格好をしているが、イリニスティスは腰に下げ、黒いマントをはおり、そして顔には、たてがみのついた獣の仮面をかぶっているのだった。
「たてがみは、本来は女性にはないけれど、ジーナ、あったほうがかっこいいから、かんべんしてね。そうしないと、らいおんまるにならないし…」
と、ユウは、わけのわからないことをいいながら、ジーナに謝っていた。
「うん、いいよこれ! あたし獣人だから、なんかこれ、かっこ良くて、気合いが乗るよ!」
ジーナは、なんと気に入ったようだ。
そして、わたしはといえば。
赤を基調とした、からだをおおう長衣に、要所を皮で覆い、靴はブーツ。
そして手にはフレイル。
頭には、王冠のようなティアラ。
いちおう、目の周りだけをおおう皮のマスクをつけているが、これって
「まんま、ルシア先生じゃないですか」
「うん、ライラは女帝の後継者だからね、そういう感じでいいんじゃない?」
「あたしだけ、変装になってないような気がする……」
「そうかい、なら、もっとなにか、派手なのを考えた方がいいかなあ……ええと、いまから用意できそうなのは、そうだ、きゅーてぃーはにーとか……」
ユウが何事か不穏なことを考えはじめたのがわかったので、
「いいです。あたしはこの格好でいきます!」
あわててそう答えたのだった。
「と、とにかく、諸君。まあ、その、『雷の女帝のしもべ』の方々にもいろいろと事情があるので、あまり気にしないで、とにかく、審査をはじめます!」
われにかえったギルド長が、なんだか、微妙な言葉を発し、そして審査がはじまった。
ユウが力を働かせ、わたしたちは、ふわりと宙を舞って、高い貴賓席から、闘技場の土の上に降り立った。
ユウのターバン、ジーナの黒いマント、そしてわたしの髪が、ひらりとひるがえる。
フレイルが、ジャランと鳴る。
おもいっきり派手である。
目立ちたくない、というユウの言葉は、いったいどこにいったのか。
「おおーっ!」
観客がどよめいた。観客といっても、むろん、みんなギルドの冒険者たちだ。一般人はいない。
「では、まず、パーティ『虹の向こう』でてきて」
そう告げられて、おずおずとでてきたのは、いかにも冒険者に成りたてです、という感じの四人組のパーティだった。男性剣士二人、男女の魔法使い、という構成だ。
見るからに緊張している。
「や、やあー」
剣士二人が刀を構え、声をあげるが、切っ先は震えている。
「さあ、どっからでもかかってきなさいよ!」
イリニスティスを抜いたジーナが、一歩前に出て、両手をひろげ、宣言する。
「うんうん、そうでなくちゃ。ゆけ、かいけつらいおんまる!」
ユウが例によって、わけのわからないことをつぶやく。
ジーナの目が黄金色に光る。
「よおし、血祭りだ、フハハハ!」
とイリニスティス。
「ひぃっ」
それをきいておびえる「虹の向こう」の剣士。
「だから、血祭りはだめだって、イリニスティス」
「い、いくぞー」
「おうっ!」
かけ声は勇ましいが、なかなか前にでるきっかけがつかめないようだ。
ジーナの前で、一歩進んだり、戻ったりをくりかえしている。
「うーん、ちょっと手伝ってあげるか」
ユウがつぶやいて、
「「おわっ?」」
二人の剣士は、後ろから押されたかのように(じっさい、押されたのだが)飛び出した。
しかし、一歩出てしまえば、度胸が決まったのか、それとも身体が自然に動くのか、
「「だぁーっ!」」
鋭く、刀を繰り出してくる。
二人の連携もいい。
一人が上から、一人が横から、ジーナに襲いかかった!
「むっ?」
キンッ! キンッ!
ジーナはイリニスティスを傾け、上からの攻撃を束で、横からの攻撃を刀の背で受け止める。
「「やあっ」」
間をおかず、二人の次の攻撃が来る。
なるほど、この二人は息の合った同時攻撃を得意とするようだ。
しかし、ジーナはそれをものともしない。イリニスティス一本で、すべての攻撃を受け流す。
「「火と風の精霊が、お互いの周りを廻るとき熱が生じる、炎球弾!」」
ようやく、それまで気を呑まれていた向こうの魔法使いが参戦した。
たてつづけに、火球を放ってくる。
この魔法使い二人組も、息が合っていて、一人は水平に、一人は高いところから落下するようにと、軌道とタイミングをわけて、防ぎにくいように打ち出している。
「ほう、なかなかやるねえ。このパーティはコンビで攻撃をするのが特徴か」
ユウがのんきに言う。
まあ、刀と魔法と、一度にぜんぶの攻撃をかわすのは、ジーナもたいへんだろうから、
「水と土、風の混合により氷の季節来たる、氷柱の槍!」
わたしが、氷の槍で、すべての火球を迎撃する。
ついでに、あまった槍を、魔法使いにも向けて、打ち出しておく。
「あっ」
「わっ」
氷の槍が自分たちに突進してくるのを見て、魔法使いはあわてて、守りの魔法を詠唱しようとするが、焦りすぎてまにあわない。
目の前にぐんぐん迫ってくる氷の槍に、
「ひゃああ!」
うろたえて、悲鳴を上げる。
「た、たすけてー!」
「はいっと」
そこで、ユウが力を働かせ、氷の槍は、魔法使い二人の直前で消滅。
ジーナの方も、
ガィーン!
「「ああっ」」
二人の剣士の刀を、同時に弾き飛ばし、刀はくるくるまわって、闘技場の土に突き立った。
「そこまで!」
ギルド長の声がかかる。
「えっ? もう?」
ジーナは不満げだが、汗だくになり、力尽きた『虹の向こう』の冒険者たちは、その場にすわりこんだのだった。
「たてがみの獣人剣士すげー。あんなちっこいのに、二人がかかりでも余裕だよ!」
「いや、女帝の後継者もすごい。最後に、槍を消したのを見たか?
なんで、いちど出した魔法を消せるんだよ? 詠唱し終わった魔法を、あとからどうこうするなんて、そんなこと、魔法の原理から言ってありえないよ」
「それにしても、あのへんなヤツはなにをしてるんだ? ずっと後ろに立ってるだけで、なにもしてないよね? おまけなのか?」
などと、観客は感想を言いあっている。
ずいぶん誤解があるようです……。
と、ジーナが不思議そうな顔できいた。
「実績が十分なら、実技審査は必要ないですから」
と、フェリシアさん。
「それに、みなさんの場合、師匠が師匠ですからねえ……」
「まあ、たしかにいきなりダンジョンに連れて行かれ、ルシア先生がヘイトで呼び寄せた、コボルドキング率いる軍団と戦ったり、クラーケンの相手をしたり、だもんね、あれが実技審査みたいなもんかも……」
「えっ、それは……」
フェリシアさんも驚いている。
「ということは、今日の受験者というのは」
「そうですね。ピンからキリまで。まだ、あまり実戦経験のない駆け出しもいますし、なにかの事情で十分なクエストをこなせなかったけど、実力はそれなりにあるので、評価する必要があるものとか」
「なるほど」
「まあ、まれに、実力はあるのですが、倫理的にギルドカードを与えてはいけないような連中もいて、そういう輩を門前払いするために行うこともありますが」
「いいね、いいね、あたし、そういうの大好き! うう、来ないかな?」
と、ジーナが嬉しそうにいった。
控え室で支度を調えていると、ユウが
「ねえ、ライラ、ジーナ」
「なんですか?」
「あんまり、ぼくたち、目立たない方が良いと思うんだよ」
「いまさら、なにいってるんですか」
「そうだよ、これで目立たないわけないじゃん」
「それに、ユウさん、わたしたちがぶざまな姿をみせたら、ルシア先生の名前に泥を塗ることになりますからね!」
「だね! あたしは全力でやるよ!!」
「うん、それはそうだけど、ぼくに、良い考えがあるんだ」
「へえ、どんな考えですか」
そして。
闘技場にあつまった冒険者をまえにして、ギルド長が熱弁をふるった。
「実技審査参加者の諸君! 本日参加の君たちは、たいへん幸運です。
たまたま、このギルドを訪れた、あの『雷の女帝のしもべ』が、なんと、特別に審査官をひきうけてくださったのです。
多忙をきわめる彼らは、君たちが、優れた冒険者として今後活躍できるようにと、こころよく、無償でひきうけてくだっさたのであります!」
「おおっ?!」
「すげー!」
参加者がどよめく。
「なんか、かってにずいぶん話を盛っている感じがする……」
「さすがギルド長ともなると、したたかだなあ」
などとわたしたちは後ろで演説を聞いていた。
「それでは、『雷の女帝のしもべ』のみなさん、どうぞ、いらして下さい!」
演説がおわり、ギルド長が、わたしたちに手をふった。
「しょうがないね、行こうか」
「うう、果たし合い、楽しみ」
「ジーナ、果たし合いは違うから」
わたしたちは、ギルド長のうしろからさっそうと登場し、冒険者たちの前に立った!
「えっ?」
「えっ?」
ざわついていた冒険者たちが、いっしゅんに静まる。
「ユウさん……」
わたしは小声で
「これ、なにかしくじってないですか?」
「いやー、そんなはずないよ。ぼくはいいと思うけど」
「でも、なにか、みんな静まりかえってますよ」
「ぼくらがかっこいいから、見とれてるんじゃないの?」
とてもそうは思えない。
ユウは、要はぼくたちだとわからなければいいんだからと、変装するように提案したのだ。
変装なんていっても、急にできませんよ、と反論すると、だいじょうぶ、用意してあるから、そういって、例のいんふぃにてぃ・ぼっくすから、いつこんなものを用意したというのか、次々におかしな小道具をとりだしてきた。
そしてわたしたちが、今、どんな格好になっているかというと。
まず、ユウ。
頭に白い布をまいて(たーばんというらしい)色の付いた覆いを目の前につけて(さんぐらす、というらしい)なにか南国風のだぶだぶの服をきている。手には、ユウが使ったことなんかいちども見たことがない、革の鞭。
怪しい。怪しすぎる。
この格好、なにかモデルがあるんですか、と聞いたら
「うん、はりまお」
と、わけのわからないことをいう。
そういう人が、ユウの世界にはいるらしい。
きっと、この「はりまお」という人は、向こうでも怪しい人なんだと思う。
ジーナは。
いちおう、剣士と言える格好をしているが、イリニスティスは腰に下げ、黒いマントをはおり、そして顔には、たてがみのついた獣の仮面をかぶっているのだった。
「たてがみは、本来は女性にはないけれど、ジーナ、あったほうがかっこいいから、かんべんしてね。そうしないと、らいおんまるにならないし…」
と、ユウは、わけのわからないことをいいながら、ジーナに謝っていた。
「うん、いいよこれ! あたし獣人だから、なんかこれ、かっこ良くて、気合いが乗るよ!」
ジーナは、なんと気に入ったようだ。
そして、わたしはといえば。
赤を基調とした、からだをおおう長衣に、要所を皮で覆い、靴はブーツ。
そして手にはフレイル。
頭には、王冠のようなティアラ。
いちおう、目の周りだけをおおう皮のマスクをつけているが、これって
「まんま、ルシア先生じゃないですか」
「うん、ライラは女帝の後継者だからね、そういう感じでいいんじゃない?」
「あたしだけ、変装になってないような気がする……」
「そうかい、なら、もっとなにか、派手なのを考えた方がいいかなあ……ええと、いまから用意できそうなのは、そうだ、きゅーてぃーはにーとか……」
ユウが何事か不穏なことを考えはじめたのがわかったので、
「いいです。あたしはこの格好でいきます!」
あわててそう答えたのだった。
「と、とにかく、諸君。まあ、その、『雷の女帝のしもべ』の方々にもいろいろと事情があるので、あまり気にしないで、とにかく、審査をはじめます!」
われにかえったギルド長が、なんだか、微妙な言葉を発し、そして審査がはじまった。
ユウが力を働かせ、わたしたちは、ふわりと宙を舞って、高い貴賓席から、闘技場の土の上に降り立った。
ユウのターバン、ジーナの黒いマント、そしてわたしの髪が、ひらりとひるがえる。
フレイルが、ジャランと鳴る。
おもいっきり派手である。
目立ちたくない、というユウの言葉は、いったいどこにいったのか。
「おおーっ!」
観客がどよめいた。観客といっても、むろん、みんなギルドの冒険者たちだ。一般人はいない。
「では、まず、パーティ『虹の向こう』でてきて」
そう告げられて、おずおずとでてきたのは、いかにも冒険者に成りたてです、という感じの四人組のパーティだった。男性剣士二人、男女の魔法使い、という構成だ。
見るからに緊張している。
「や、やあー」
剣士二人が刀を構え、声をあげるが、切っ先は震えている。
「さあ、どっからでもかかってきなさいよ!」
イリニスティスを抜いたジーナが、一歩前に出て、両手をひろげ、宣言する。
「うんうん、そうでなくちゃ。ゆけ、かいけつらいおんまる!」
ユウが例によって、わけのわからないことをつぶやく。
ジーナの目が黄金色に光る。
「よおし、血祭りだ、フハハハ!」
とイリニスティス。
「ひぃっ」
それをきいておびえる「虹の向こう」の剣士。
「だから、血祭りはだめだって、イリニスティス」
「い、いくぞー」
「おうっ!」
かけ声は勇ましいが、なかなか前にでるきっかけがつかめないようだ。
ジーナの前で、一歩進んだり、戻ったりをくりかえしている。
「うーん、ちょっと手伝ってあげるか」
ユウがつぶやいて、
「「おわっ?」」
二人の剣士は、後ろから押されたかのように(じっさい、押されたのだが)飛び出した。
しかし、一歩出てしまえば、度胸が決まったのか、それとも身体が自然に動くのか、
「「だぁーっ!」」
鋭く、刀を繰り出してくる。
二人の連携もいい。
一人が上から、一人が横から、ジーナに襲いかかった!
「むっ?」
キンッ! キンッ!
ジーナはイリニスティスを傾け、上からの攻撃を束で、横からの攻撃を刀の背で受け止める。
「「やあっ」」
間をおかず、二人の次の攻撃が来る。
なるほど、この二人は息の合った同時攻撃を得意とするようだ。
しかし、ジーナはそれをものともしない。イリニスティス一本で、すべての攻撃を受け流す。
「「火と風の精霊が、お互いの周りを廻るとき熱が生じる、炎球弾!」」
ようやく、それまで気を呑まれていた向こうの魔法使いが参戦した。
たてつづけに、火球を放ってくる。
この魔法使い二人組も、息が合っていて、一人は水平に、一人は高いところから落下するようにと、軌道とタイミングをわけて、防ぎにくいように打ち出している。
「ほう、なかなかやるねえ。このパーティはコンビで攻撃をするのが特徴か」
ユウがのんきに言う。
まあ、刀と魔法と、一度にぜんぶの攻撃をかわすのは、ジーナもたいへんだろうから、
「水と土、風の混合により氷の季節来たる、氷柱の槍!」
わたしが、氷の槍で、すべての火球を迎撃する。
ついでに、あまった槍を、魔法使いにも向けて、打ち出しておく。
「あっ」
「わっ」
氷の槍が自分たちに突進してくるのを見て、魔法使いはあわてて、守りの魔法を詠唱しようとするが、焦りすぎてまにあわない。
目の前にぐんぐん迫ってくる氷の槍に、
「ひゃああ!」
うろたえて、悲鳴を上げる。
「た、たすけてー!」
「はいっと」
そこで、ユウが力を働かせ、氷の槍は、魔法使い二人の直前で消滅。
ジーナの方も、
ガィーン!
「「ああっ」」
二人の剣士の刀を、同時に弾き飛ばし、刀はくるくるまわって、闘技場の土に突き立った。
「そこまで!」
ギルド長の声がかかる。
「えっ? もう?」
ジーナは不満げだが、汗だくになり、力尽きた『虹の向こう』の冒険者たちは、その場にすわりこんだのだった。
「たてがみの獣人剣士すげー。あんなちっこいのに、二人がかかりでも余裕だよ!」
「いや、女帝の後継者もすごい。最後に、槍を消したのを見たか?
なんで、いちど出した魔法を消せるんだよ? 詠唱し終わった魔法を、あとからどうこうするなんて、そんなこと、魔法の原理から言ってありえないよ」
「それにしても、あのへんなヤツはなにをしてるんだ? ずっと後ろに立ってるだけで、なにもしてないよね? おまけなのか?」
などと、観客は感想を言いあっている。
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